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「かわいさ」ってなんだろう?

今年も、梅干しを作りました。

庭の梅の木が、植えてから8年が経ってようやくたくさん実をつけるようになり、産直で買ってきた梅と合わせて60粒ほど。半分は梅シロップにして、梅干はジップロックで簡単に漬けましたが、塩は浜田市の天然塩を使ってちょっと贅沢に仕込みました。

できあがった梅干しを瓶に詰めると、「かわいいっ!」と気持ちが上がります。「自然のもの+瓶=かわいい」という法則が私の中にはあるのですが、同じように思ってくださる方、いらっしゃるでしょうか。

「かわいい」って何だろうね?と、よくスタッフと話します。デザインの仕事で打ち合わせでイメージを伝える時、「かわいい」は禁句かなと思ってさえいます。なぜなら「かわいい」の定義は本当に人それぞれで、具体的に提示をして確認しないと決して交わることはなく、うかつに使えないワードだから。うっかりするとおリボンいっぱいのピンクピンクしたもののことを言ってる、と勘違いされてしまいます!多分、「瓶に季節のものを詰めるのかわいさ」は男性にはなかなか伝わらないであろう…。

「かわいいの定義」の違いはどこから生まれるんだろう?というのが本当に不思議です。同じ家で育ち、毎日同じごはんを食べて暮らしてきた双子の姉妹でも、「かわいい」の定義は全然違う。それが不思議でもありおもしろくもあります。くらしアトリエの中心スタッフは「かわいい」の定義が重なるところがとても多いのですが、他のスタッフとは意見が合わないことも。
私たちがくらしアトリエとして「かわいい」ということばを使うとき、それは、自然のものが素敵に暮らしに映えるとき、活かされているとき…というのが多いように思います。

例えば、あじさいが、雨の中鮮やかに花を咲かせるかわいさ。

茶碗に盛った豆ごはんのかわいさ。

天然の素材で染め上げられた布のかわいさ。

冬、しんしんと山に雪が積もるかわいさ。

ていねいに編まれた竹かごのかわいさ。

シンプルなカンパーニュが木の皿に乗せられたかわいさ(最高!)

昨日、今日と日々を淡々と生きる、お隣のご夫婦のかわいさ(めちゃかわいい…)。

これらはいわゆる「ファンシーなかわいさ、ピンクなかわいさ」みたいなのとは違うのですが、「他所から持ってきた」のではなく、元からそこに「在る」からこその味わい深さがあり、ことさらに飾り付けせずとも、しみじみと心に響くいとしさのようなもの、だと思うのです。

逆に言えば、自分の足元・つまり住んでいる土地をいとしく思っていなければ、このしみじみとした「いいよね~」という気持ちは理解してもらえないのかもしれません。

自分たちなりにいろいろなものを見て聴いて触って、日々を重ねてきたからこそ見えてきた「かわいい」の定義。でももちろん、私たちも最初から山に雪が積もる様子をかわいい!と思えたわけではありません。

子どもの頃はそんなこと思いもしなかったし、気持ちが山陰の外に向いていた若い頃は、かわいい=雑貨屋さんのかわいさでした。それはそれで大切なかわいさで、みなそれぞれ、自分の「かわいい」の軸があるのだと思います。「かわいい」は十人十色、だからこそ、同じ「かわいい」の軸を持った人と出会うときの喜びも大きくなりますよね。逆に、まったく違う志向を持った人と「これが?かわいいの?」という話をするのも楽しいものです。いまはInstagramなどで、「かわいい」を共有することがとても簡単にできる世界!多様な「かわいい」を見ることで、新たな発見もあると思います。

「かわいい」は難解であり、それでいて心を熱くし、時に私を癒やしてくれる不思議な存在。皆さんもそれぞれ、自分なりの「かわいい」の定義を考えてみるのもおもしろいのではないでしょうか。

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