シビックプライドと「帰る場所」の概念。

今月下旬に、「関係人口」がテーマのとある場で、NPOとして事例発表をさせていただくことになり、あれこれ考えています。

数年前から注目され始めた「関係人口」ということば。移住や定住よりもライトに、でも観光よりは密に、地域にかかわるという人たちを可視化したことばです。

近年、都市圏に住む若者が地方とかかわりを持ちたがっている、という話は各所で聞いていて、実際にそういう動きも目の当たりにして、正直「へええ、そんなことが」と思ったのですが、最近読んだ文章の中に、若者が思う「帰る場所」の概念が変わりつつあるというものがあり、ちょっと納得できました。

かつて「ふるさと」と言えば「生まれた土地」「生まれ育った場所」という概念であり、人がどこかに「帰る」とき、その場所はひとつでした。

でも今は違う。「帰る家がある」「ふるさとがある」という安心よりも、全国各地に友達がたくさんいて、常に誰かとつながっていて、分かち合えるということをより重要視し、「安心」だと感じる人が多くなっているのだそうです。心のよりどころが、変わってきているのです。

各地に「つながった」人がいて、そのひとつひとつが自分とのかかわりを持つ土地である、という考え方。つまり、帰る場所は全国(全世界)あちこちにある、とも言えますね。「地元で家を建てること=まっとうな暮らし、地に足のついた暮らし」だと考えてきた人々にはちょっと分かり難い価値観。ふわふわしてるな~、と思ってしまいますが、これが関係人口をムーブメントに押し上げている理由なのかもしれません。

島根のような地方にとっては、都市圏にいながらでも、いろいろな地方に自分なりのやり方でかかわることができる、という考え方は大歓迎で、何年か前に東京で同じようにお話をさせていただいた際には、「島根のことを考えてくれる人がこんなにいるなんて、ありがたいなあ」と思ったものでした。それって、私たちが折に触れて発信している「シビックプライド」に他ならないからです。

郷土愛とはまた違う、「能動的に、その地域に対して自分がどんなふうに関われるかを考え、誇りに思う意識」こそがシビックプライド。島根という土地に対してそのような誇りを感じてくださる方が増えることは、本当に嬉しいことです。

「関係人口」という言葉でカテゴライズ化されたことで、分かりやすくなったのと同時に、また人の奪い合いになりはしないか、あるいは、かかわってくれる人たちを移住・定住まで引っ張り込むような圧が生まれはしないか、というところが心配ではありますが、「つながる場所」「帰る場所」のひとつとして島根を認識してくれる人が増えるならば、それは素晴らしいこと。「帰る場所」の概念が変わりつつあることと、シビックプライドという言葉が注目されていることは、リンクしているのだと思います。

土地に住む人以外の誰かがかかわることによって、土地に住む人自身の「シビックプライド」が呼び起こされ、再確認できるような動きになったらいい。そして、そこがかかわった人にとっての「帰る場所」のひとつになればもっといい。

そのためには、かかわった人の数をただ数えるのではなく、その人たちひとりひとりが、どんな考えを持ち、どんな「関係」を築きたいのか、「関係人口」というひとくくりではなく、「個」として向き合うことが大切だと思います。

ゆるやかに、多くの人が島根の未来を考えてくれるといいなあ、と、島根に住んで、暮らしている自分としては、切に願うところです。

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くらしアトリエ

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