私たちが「自分で選んだ」働き方。

くらしアトリエが3人のメンバーでその歩みをスタートさせたのは、2005年3月のこと。

当時、まだブログもなく、ホームページが流行りだした頃。「星の数ほどあるサイトから私を見つけてくださってありがとうございます♪」と、相互リンクなどするのがブームだった、あの甘酸っぱい時代…。メンバーも2人がそれぞれ自分のプライベートサイトを持ち、島根で暮らす中で感じた「都市部では手に入らない、ここで生きることで得られる充足感」のようなものを表現していました。

そんな中で、転勤族の夫を持ち、夫が異動のときには「自分が」仕事を辞めなければならないという現状に、ちょっと虚しさを感じていた私たちは、どこにいても、どんな状況でもできる、「私たちにしかできない働き方」はないものか、と考えていました。

その答えが「ウェブで活動すればどこからでも発信できる」というもので、ホームページのデザインを始め、文章を書き、そこで販売するフラワーアレンジや雑貨の構想を練り…と、準備を進めて「SLOW+SLOW」を立ち上げた…のですが、ほどなくスタッフ3人のうち、ウェブ担当の2人がそれぞれ夫の異動で隠岐の島とアメリカに引っ越しする、というミラクルが…(ある意味両方海外)。

当時は「隠岐ってADSL通ってるのか?」というような時代でしたので、ホームページを運営することそのものが揺るがされ、本当に続けられるのか不安もありました。

でも、幸い私たちには拠点がなかった。某コンピューター会社の勤務形態を真似して(と言い張っている)、当時は珍しい「自宅勤務でログイン」というスタイルを取り、隠岐の島とアメリカでSkypeを使って打ち合わせを行いました。

どっちかが「おはよう」どっちかが「こんばんは」みたいな会話から始まり、試作した雑貨を航空便で送ったり、画像を見ながらサイトデザインを考えたり、ウェブ上でスタッフミーティングを行い、激論を戦わせたり…とにかく使える手段は使って、現状でできる自分たち史上最大の成果を出そう、と頑張っていたように思います。

とはいえ、夫から見たら朝から晩までパソコンの前で同じ格好をしている(時にずっとパジャマだったりした)妻の姿を見て、仕事をしているとはとても思えなかったでしょう。「私だって仕事してるもん!」という言葉の、なんと説得力のないことか…。それでも、本土でイベントをするときは子どもたちの面倒を見てくれ、失敗をして悲しくなった時は話を聞いてくれ…理解のあるパートナーを持ったものだと感謝しています。

その後、私たちはただの任意団体だった「くらしアトリエ」を、西ノ島町初のNPO法人として立ち上げ(役場の人がざわついた)、ほどなく夫の転勤を機に拠点を雲南市へ移し(役場の人ごめんなさい)、今の雲南市大東町はたひよどりに事務所を構えました。

なんで松江じゃないの?とよく言われますが、感覚的に自分たちが松江のテナントビルで仕事をしている姿は想像できなかったし、「仕事をしに、都市部から田舎に行く」というのが面白そうだな、と思ったのもあります。

「仕事っていうものは、それなりの格好をして9時から17時まで机の前でするもんだ」という考えに逆行したかったというのもあるかな。

1月から3月は事務所は閉めて、自宅でデザインの仕事に専念する、というワークスタイルも、選んだ事務所の場所が山の上すぎて、冬場は雪が多く、たどり着くことさえできない、という経験から思いがけず生まれたものでした。

そのサイクルが自分たちの仕事のやり方にとても合っていて、あらためていい場所を選んだものだ、と思います。

「楽しそうですねえ」「冬はお休み?そりゃあ贅沢な働き方だ」なんて言われることもあります。(むしろ冬場の方がデザインの仕事の締め切りに追われていてせわしないのですが…。)

そうなんです。私たちは実に楽しく、実に贅沢な働き方を、自分で選んでいるんです。

贅沢な働き方と言っても、いわゆる普通の働き方で得られるような報酬にはなかなか結び付きません。だから、お金持ちにはなれそうにない。

ただ、「プライスレス」な報酬は数えきれないほどもらえる。これが自分たちが選んだ働き方なのです。

興味深いのは、自分たちがこういう変わった(?)働き方をしていることで、わが子たちが「地域で働くとは」「地域を考えるとは」「ソーシャルグッドをどうビジネス化するか」ということを、ほかの子どもたちよりも深く、切実に進路のひとつとして考えていること。親が子どもに与える影響って思った以上に大きいんだなあ、と感じます。

どんどん働き方が多様化する方向へ流れている今、何があってもおかしくないこれからの未来。自分ならどう働くか?あるいは自分の子どもたちに、どんな働き方を導くか?大人も子どもも、「こうあるべき」から少し離れて、やわらかい思考で物事を考え、「心地よい働き方」を見つける時代になっているのかもしれません。



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