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選ばれる「情報」。今の時代の情報発信について考える。

「シマシマしまね」でワークショップや勉強会などを企画するとき、「集客」というのはいつも最優先で考えなければならないことであり、そのためにどんな発信方法を行うのかも、その時々ですごく考えます。考える中で何となく気づいたことがあるので、今日はそのことについて綴ってみたいと思います。

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例えば10数年前、ウェブで発信すると言えばホームページやブログしかなく、ウェブで集客を図るのはすごく大変なことでした。イベントを開催するときも、1か月以上前から専用のホームページを立ち上げ、日々情報を発信し、ひとつひとつていねいに見ている方にお伝えし、イベント当日を迎えたものでした。

でも今は、ウェブといっても多彩な発信方法があります。ホームページはもちろんですが、Facebook、Instagram、LINEなど。そして、これが決定的に違うと思うのですが、スマホの出現によって、情報を「受け取る側」の体制が完全に変わりました。

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10数年前、人々はパソコンの前にはりついて「お気に入り」からホームページにアクセスし、「自分から」情報を取りに行っていました。それは1日の中で限られた時間であり、「さあ見るぞ」とパソコンの電源を立ち上げなければ受け取れない情報だったのです。

時は流れて2019年、ほとんどの人がスマホを持ち、情報は求めなくても24時間、携帯の中に入ってきます。あらかじめ、自分が好むテイストのお店やイベントのアカウントを「フォロー」しておくだけで、「こういうのが好きでしょ??」という、関連付けられた情報も勝手に入ってきます。

こうなると、情報は「受け取る」のではなく「選ぶ」もしくは「捨てる」ものに変わります。膨大な量の情報から「選ばれる」「捨てられない」ためにどうしたらいいのか。センセーショナルなもの、キャッチ―なもの、目立つものが増えて、それが「映え」につながります。

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さらに、活動の中で実感するのが情報の「速さ」「軽さ」です。1か月前から専用ホームページをつくって発信するよりも、「明日〇〇やりま~す」と「突発的に」「衝動的に」発信したもののほうが「何それ面白そう~」と受け入れられる。じっくりと重たく発信したテーマよりも、気軽に、勢いでできちゃうような、速くて軽いもののほうがわくわくして、行きたくなる。スマホネイティブな世代には、よりその傾向が強いように思います。

先日スタッフで話していて、「それってユーチューバーだよね」という結論に至りました。縁遠い世界なので的外れかもしれませんが、「ノリ」の世界。ゲリラ的に、勢いで「〇〇やっちゃいまーす」的な発信のほうが、おもしろがられる時代なのかもしれません。

もちろんユーチューバーさんもじっくりと計算したうえで、突発的なノリを演じているのかもしれませんが…とにかく今の世の中、スマホでパッと見て、あ、良さそうだから行ってみよ、みたいなフットワークの軽さを実感することが多い。そういえば何年か前、「ヒッチハイクでこっちに来たんすけど、今日なんか面白そうなワークショップやってるみたいなんすけど、参加していいっすか?」って連絡してきたお兄ちゃんがいたなあ…。今日の今日?ってびっくりしたけど、すごくいい人で楽しかった。ああいうのがイマドキなんだろうなあ、とあらためて感じました。

でも、思い返すと15年前にホームページだけで毎日愚直に発信を続けていた、あの時のほうが「届いた」という実感は強かったんですよね…。この情報を受け取っている人が、確かにいる、という確信があった。いまは、「いいね」の数は見れば分かるけど、「確かに届いた」かどうかはぼんやりして分からない。不思議な時代です。

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活動を長く続けていると、世の中の流れが何となく肌で感じられるところがあり、それを俯瞰で見て分析したりするのがすごく楽しいです。

突発的な速さや勢いも面白いし、じっくりとあたためられた企画も味わいがあって気持ちが温かくなる。その両方を知っているというのは案外私たちの強みなのかもしれません。

サポートありがとうございます。とてもとても励みになります。 島根を中心としたNPO活動に活用させていただきます。島根での暮らしが、楽しく豊かなものになりますように。