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宇宙の始まりに迫る

こんにちは。旅のアドバイザーのさくらです。

子供の頃、宇宙はビッグバンという大爆発で無から始まったと教わりました。何もない「無」が、どうやって宇宙になったのか今でも不思議です。
現在では宇宙の始まりは138億年前頃と言われていますが、それも今後の観測で変わるかもしれません。

宇宙の始まりを知るには、より遠くの銀河(星)を観測することが一つの方法と言われます。それは遠くを見ることが過去を見ることになるからです。
具体例を上げると、オリオン座の左上に位置する赤い星ベテルギウスは、地球から642.5光年離れています。光は1秒間に30万キロメートル進むので、1秒で地球を7周半回るくらい早いのですが、その光の速さでもベテルギウスに到達するには642万5千年かかります。つまり、いま私達が見ているベテルギウスは642万5千年前の姿ということです。

そこでより遠くの銀河(星)を観測して、宇宙の始まりに迫ろうという試みが、ここ100年ほど進められてきました。最初は地上の望遠鏡の性能を上げることが中心でしたが、地上から観察する限り大気の揺らぎの影響が出て観測データにぶれが生じます。ちなみに私たちが夜空を見たときに星がきらめくのは大気の揺らぎのせいです。

大気の揺らぎの影響を無くすにはどうすればいいか。一つの画期的な答えが地球の大気圏の外に望遠鏡を打ち上げることでした。1990年にはアメリカ航空宇宙局(NASA)とヨーロッパ宇宙機関(ESA)が協力して、地上約600キロメートル上空にハッブル宇宙望遠鏡(HST)を打ち上げました。ハッブルの映像はどれも美しく、天文学は分からなくても見ているだけでワクワクします。ナショナルジオグラフィックが「ハッブル望遠鏡 50の傑作画像」というサイトを公開していますので、一度ご覧になって下さい。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/gallery/111600040/

地上の望遠鏡では、真っ暗にしか見えない宇宙の一角をハッブルで観測すると、差し渡し2.4分角の領域(満月の約1/150の面積)に2500個を超す銀河が観測されたのが1995年のことです。この時観測した領域および得られた画像を総称して「ハッブルディープフィールド」と言います。この成果を受けて、一見真っ暗に見える領域を少しずつ10年以上にわたり観測を続けた結果、129億光年先の恒星が見つかりました。この星は昇りくる光を意味する古英語にちなんで「エアレンデル」と呼ばれ、太陽の100万倍から1000万倍の明るさで、ビッグバンから約9億年後に誕生した恒星と考えられています。

ハッブル宇宙望遠鏡は、紫外線から赤外線までの波長で、撮像と分光の機能を持つさまざまな観測装置を搭載していますが、地上約600キロメートルを約100分の周期で地球を周回しているため、どうしても地球や太陽、月などが発する赤外線の影響を受けてしまいます。またハッブル自体が出す赤外線もあり、観測できる限界はビッグバンから約5億年後までだそうです。

そこで、地球や太陽、月などが発する赤外線の影響を受けず、望遠鏡本体も赤外線を出さない設計を取り入れたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の計画が1996年頃に始まりました。しかし難問をクリアするには多くの技術的・経済的な困難があり、計画は度々延期され2021年12月にやっと打ち上げられたのです。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、地球や太陽、月などが発する赤外線の影響を受けないために、地球から160万キロメートル離れたところを周回しています。160万キロメートルというと地球から月までの距離の4倍です。
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡と、宇宙の始まりに迫る旅については、次回書かせていただきます。

■参考サイト・参考資料
・NHK高校講座 地学基礎「ビックバンと宇宙の誕生」
https://www2.nhk.or.jp/kokokoza/watch/?das_id=D0022150141_00000&lib=on
・ナショナルジオグラフィック「ハッブル望遠鏡 50の傑作画像」
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/gallery/111600040/
・公益社団法人 日本天文学会 「天文学辞典」
https://astro-dic.jp/
「ハッブル宇宙望遠鏡」
https://astro-dic.jp/hubble-space-telescope/

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