三発目:やっぱり俺ってカッケェぜ

みなさんこんにちは。
チュルソンになりたい、吉田裕太です。

※ファン・チュルソン(36)、韓国のボディービルダー。圧倒的でかさ。大胸筋下部のカットと肩周りよ。ラグビーボール埋め込んでんのか。

【カッコよくなりたい!!!!!!!!!】

断言する。
筋トレすればカッコよくなれる。
どんな男でも。どんな容姿でも。身長が低くても、スタイル悪くても。
カッコよくなれる、はずだ。

そう信じている。
てか、そうじゃなきゃ困る。
だって、カッコよくなるために筋トレしているんだから。
カッコよくなりたくて、なりたくて、たまらないんだ。

【カッコよくなりたくて、何が悪い】

てか、筋トレのモチベーションなんて、ほとんどカッコよくなりたいからだろ。

確かに、健康のためとか、スポーツのためとか、強くなりたいとかはあるかもしれない。けど、誰だって頭の片隅には、パンプアップした自分のイケてる肉体があるはずだ。カッコよさを完全に度外視した筋トレなんてあろうか。想像つかない。わざわざジムに来て、金払ってまで、重ったい鉄の塊を、顔真っ赤にしながら、不自然な体勢で持ち上げてるわけだ。何のために?かっこよくなるためだろ、そりゃ。

だから「何で筋トレしてるの?」と聞いた時、「かっこよくなりたいから」以外の答えをする奴に対しては一旦ファイティングポーズを取ることにしている。なぜならそいつの9割は嘘つき野郎だからだ。(本当にモテ以外で筋トレしてる人もいるにはいる。アスリートだったり、めちゃくちゃ太ってて寿命にまで影響しちゃってる人だったり。そう言う方々に対しては心の中で頭を下げた後、ゆっくりと拳も下げるようにしている。)

なぜ、かっこよくなりたいことを隠すんだ。

プラトンは事物の本質はイデア(Idea)だと言った。

「我々の魂は、かつて天上の世界にいてイデアだけを見て暮らしていた(略)。そして、この地上へ降りる途中で、忘却(レテ)の河を渡ったため、以前は見ていたイデアをほとんど忘れてしまった。だが、この世界でイデアの模像である個物を見ると、その忘れてしまっていたイデアをおぼろげながらに思い出す。このように我々が眼を外界ではなく魂の内面へと向けなおし、かつて見ていたイデアを想起するとき、我々はものごとをその原型に即して、真に認識することになる。」(『哲学 キーワード辞典』)

僕らの魂は天上にいた頃のイデアを未だに夢見ている。
僕らはイデアを探す旅に出ていて、イデアの尻尾を見つけると、それを捕まえようと必死になる。イデアは、僕の両手からスルスルっと抜け出し、走り去ってしまう。だけど、イデアに触れたその一瞬、僕らは喜びに満ち溢れる。
その一瞬、一瞬を求めて、生きてるんだ。
イデアとは、美であり、善である。
僕らは、鍛えられた自分の身体をカッコいいと思う。
それは実は、イデアが筋肉の隙間にコッソリと隠れているからだ。
イデアは決して頭を出しはしない。でも、間抜けにも、尻尾だけはちょこっと見えている。だからこそ、僕らはそれを美しいと思うんだ。
美たるイデアを追い求めること、カッコよくなりたいと思うことは善であり、故に筋トレは善に他ならない。

だから、叫ぶ。
カッコよくなりたーーーーい!!!!!

【あわよくば できることなら モテたいな】

では、なぜカッコよくなりたいと、正直に言えないのか。
"カッコよくなりたい=モテたい"という等式が無条件で立てられるからじゃないだろうか。
あけすけに、異性から欲情されたいと言うのは確かに不善であろう。
が、しかし、それを承知で、正直に言うと、モテタイ。
てか、モテたくてやってるとこも、非常に、大部分ある。

で、実際モテるのか。
科学的にはモテるらしい。

筋トレをするとテストステロンというホルモンが分泌される。
このテストステロンをオスのマウスに投与したところ、メスのマウスが集まるようになったとか。
男性に限るが、テストステロンの効果を列挙すると以下の通り。
・社交的になる。
・度胸がつく
・健康的になる
・肌ツヤがよくなる。
・長生きする
etc...
要は、活動的でイケイケモテ野郎になるらしい。
本当かいな。

では、実際にモテるようになるのか。
前々回紹介した、サディークはこう言ってる。

マッチョって女好きだけどさ、デカいとモテないよな。
オレ筋トレ始めた時63kgぐらいだったんだよ。彼女もいなかったは。
70kgでモテ始めて、80kg弱で神モード突入。83kgくらいだとみんなビビり始めて話になんねぇ。だからデカ過ぎてもダメなんだよ。ちょうどいいとこでやめとけ

いやいや、デカくなったらモテなくなるんかい。

【オレは、オレ自身にモテたい】

でも、筋トレしてる時って、モテエナジーがドヴァドヴァ放出されてる気がする。
ジム終わりシャワーの鏡で見るオレの身体。
超かっけえ。これがモテないわけがない。

結局、オレは「オレ、カッけえ」って感じたいんだ。
多分これはサディークもそうで、自らの眼で自分自身の筋肉の肥大を見届けたいんだ。自らの手で、筋肉の脈動に触れたいんだ。

そりゃもちろん、女性にモテたい。
でも、そのずっと奥底では、自分にモテたい。

誰かのために、誰かからの評価のためにする筋トレは、辛く、醜く、悪だ。
でも、自分のために、自分の自己評価のためにする筋トレは、幸せで、美くしく、善だ。

【最後にプチ自慢を少々】

ごめんなさい、本当にごめんなさい。最後にプチ自慢させてください。
筋トレしたら、僕はちょっとだけモテました。

地元に帰って、同級生たちと飲んだ時の話。「最近何やってる?」という話になった時。
「芝居やって格闘技やって筋トレしてる」ということを発表したら、隣にいた女子が僕の広背筋を触りながらこう言った。

「本当だ、吉田くん背中がっしりしてるね。すごーい」

この一言のおかげで、今だに筋トレを続けられてる。

(この女子とは広背筋を触られたっきり、それっきりです。でも僕の心の中にはずっと居ます。)

※次回、次次回は諸用で休載させていただきます。

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