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小説 オーズ Anything Goes! 5

復活のコアメダルの続きを(勝手に)描いた2次創作です。あくまで続編であることをご理解下さい

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絶望の淵に立たされた人間をもう一度希望で照らす、それは本当に難しいことだ

俺が今この世界で行なっている全ての行動は、自分なりに希望を見つけようとしているからなのかもしれない

「Dのメモリの出所を聞くためにも、ひとまずこの男は一旦風都署に連行する。大門刑事、また後で合流しよう。フィリップ、リリィに宜しく伝えてくれ」

そう言い残し、赤い男は怪人に変身した男を連れ去って行った。緑の男は変身を解いた宝石のライダーに話しかけた

「仮面ライダーウィザード、操真晴人。会うのは初めてだね、僕はフィリップ。仮面ライダーダブルだ」

「ダブル…確か前に一度だけ力を貸してくれたことがあったな。あの時の魔法は凄かったし、助かったよ。ありがとう」

緑の男は首を傾げるも話を続けた

「大門刑事から連絡を入れて貰ったのは、何もドーパントを倒すために協力を要請したわけではないんだ」

女刑事は俺を見ながら晴人とかいう男に経緯を伝えた

「つまり俺が数年前、この人の前でウォータードラゴンに変身したことがあるかもしれないって?。財前達と戦った時では、ないよな」

「とりあえず変身してその姿を見せてくれないか。お前があの青い龍の仮面ライダーなら、聞きたいことがある」

女刑事は不安そうに男を見詰めたが、男は何でもないような顔をしてドライバーを再び出現させた

「晴人くん、魔力大丈夫なの…?」
「あぁ、それじゃ…変身!」

『ウォーター!ドラゴン!
 ジャバジャババシャーン、ザブンザブーン! 』

男がドライバーに青い指輪を翳した刹那、奴の頭上から水を纏った大きな龍が渦を描きながら降り立ち、仮面ライダーの姿へと変身した

確かに見た目は青い龍の仮面ライダーだ。緑の男は嘘はついていない。だが間違いないことが一つある。こいつは俺が探し求めていた仮面ライダーではない

「悪いが、違うな」
「何よそれ、わざわざ晴人くんが来てくれたのに!」

俺の言葉に怒鳴り返す女刑事を男は差し押さえた

「いいんだ、凛子ちゃん。ほら、さっきの刑事さんと合流しなくていいの?」

「そうだった、最近またファントムの目撃情報もあるの。だから何かあったら連絡するし、晴人くんも小さな事でも連絡してね」

「ああ、木崎にも宜しく伝えといてくれ」

そう言ってその場には俺と緑の男、そして変身をすぐに解除したウィザードだけが残った。俺達はそのまま喫茶店へと戻った

「リリィ白銀、照井竜が宜しく言っていたよ」
「ええ、竜くんもう行っちゃったの〜?残念」

さっきあんなに騒いでいたのに、何でもうこんなに元気なんだ。そこへ後ろから入ってきたウィザードが店番の女にナンパを始めた

「へぇ、君マジシャンなんだ。俺さ、指輪の魔法使いなんだけど、今夜2人で一緒にご飯でもどう?」

「誰が見ず知らずのあんたなんかとデートなんか行くもんですか!あんたの奢りなら考えてやってもいいけどね!」

あっけなく店番の女に振られてそっぽを向かれると残念そうな演技をしながらも、俺の服を掴んで緑の男に話し掛ける

「ダブル、ごめん。少しこいつ貸してくんない?」
「は?何の真似だ」

今度は俺を見ながら言葉を続ける

「いや、ちょっと2人で話がしたいだけさ。少しでも何かの手掛かりになればなと思って」

「あぁ、僕は問題ないよ。外で待ってるから、話が終わったら呼んでくれ」

いや、お前が問題なくても俺は問題大有りだ。時間も少ないというのに…しかしそんな事を言う暇もなく緑の男はそう言って店の外へと出ていった。そうして俺はウィザードと2人になった

「で、話って何だ?」
「あんた、何かに絶望してるだろ」

こいつ、俺を見透かしているのか?

「言いたくなければ言わなくていい。だけど俺も昔2回だけ絶望したことがある。1回目は強制的に絶望させられたんだ」

強制的な絶望?俺にはよく分からないが、何かしらの事情があってのことだろう

「そして2回目は、大切な人を失った時だ。今のあんたはその時の俺と似た顔つきをしている。違うか?」

「あぁ、半分正解と言ったところだな。俺も一度は大切な奴を失って絶望した。そいつは人を助けるために自分の命を犠牲にする馬鹿な奴だった」

そうだ、ウィザードも仮面ライダーなら自己犠牲のもとで誰かを救うことをするんだろうか。そんな事を思いながらも俺は奴に問い掛けた

「なぁ、俺が別の世界から来たと言ったら、お前は信じるか?」

「別の世界か。俺も行ったことはあるし、そうやって世界を巡ってる奴にさえ会ったことがある。全然信じられるさ」

俺が思っていたよりも数十倍斜め上の回答に驚きながらも俺は話を続ける

「俺がそいつを失ったのは別の世界での話だ、俺がこの世界にやってきたのは、この世界でそいつが自己犠牲で死ぬのを防ぐためだ」

「なるほどな。あんたが言う青い龍の仮面ライダーってのは、その人へと繋がる大きなヒントってことだったんだな」

俺は頷き、この世界へ降り立ってから初めて見た夢の話をした

「じゃああんたがこの世界にやって来たから、その人が死ぬかもしれないと?それが不安でどうすればいいか分からないのが、今のあんたの悩みってわけだな」

「癪に触る言い方だが、つまりはそういうことだ」

「あんたは前に進むために、今を受け入れた。その選択は間違ってない。だが決まっている未来なんてものはない、だからそんな夢は受け入れなくていい。それが今のあんたにできる前の進み方だろ?」

こいつの言ったことは的を得ている。別に気にしなくていい、それだけの話だ。俺はウィザードを見ながら問い掛けた

「お前と話せてすっきりした、礼を言ってやってもいい。だが、最後に聞かせろ。お前も誰かを守るためなら、自分の命を犠牲にしてでも戦うのか?」

俺の質問に男は笑顔になった。俺は何か可笑しい事を言ったのか?こっちは真剣なつもりなのだが

「俺は仮面ライダーだ、だから誰かが危険なら第一に守るのは当然のことだ。でもその前に、俺は皆の希望だ。だから俺は死なない。皆の希望であり続けるために」

希望であり続ける仮面ライダー、こいつはかなり大変な事を続けているのだろう

「よし、俺からは以上だ。ダブルを呼びに行こう」

そうして俺達も店の外に行くと、ちょうど緑の男が黒い男と通話をしている様子だった

「翔太郎、ウィザードは違ったようだ。とりあえず今から天ノ川学園高校に向かうから、翔太郎は如月弦太郎と話をしておいてくれ。じゃあ」

「なんだ、フォーゼの所に行くのか!俺もどうせ暇だから久し振りに会いに行こうかな」

こいつは黒い男が向かった先の男とも関わりがあるようだな。本当に仮面ライダーというのはどれだけ繋がりがあるものなんだろうか

「へぇ、君も如月弦太郎を知っているんだね。」
「あぁ、昔一緒に戦ったことがあってね」
「でも、リリィ白銀のことは良かったのかい?」

ウィザードの背後に居る店番の女を指差し緑の男は口を開く。よく見ると少しだけ女の髪型が変わっている

「リリィ白銀!また何かあったら喫茶店に寄るよ!今回はウィザードがご馳走してくれるようだから、請求は彼に頼む!」

「え?いや、ダブル…ちょっと!」

そうして緑の男が乗ったバイクの後ろに乗り、ウィザードの声を背中に俺達はその場を去って行った。最後までなかなか面白い奴だったな

「今から翔太郎とテディの元に行く、飛ばすよ!」
「あぁ、頼む」

そうして俺と緑の男は風を切りながら天ノ川学園高校へと向かった


「全く、ダブルにしてやられたな」
「早く、もう店閉めるんだから!」
「あーもう!はいはい、分かった、いくらだ?」
「今からあんたの奢りなんでしょ?それでいいわよ」

喫茶店の前でマジシャンと魔法使いの声が響く

「…あ、デートしてくれるんだ!」
「うるさいわね!!」

魔法使いは指輪をドライバーへと翳した

『ドレスアップ!』

「そっちの方が似合ってるぜ、リリィちゃん」
「本当に変わった!?…え、本物の魔法使い?」
「だからそう言ったじゃん。正直な話、惚れた?」
「いえ、全く!忘れ物したから待ってなさい!」

操真晴人はウキウキしながらも携帯を取り出し、とある人物に電話を掛けた

「もしもし、泊か?俺だけど、前に話してた件でちょっと話したいことが…あぁ」

「異変の根源が分かったかもしれない」


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