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小説 オーズ Anything Goes! 7

復活のコアメダルの続きを(勝手に)描いた2次創作です。あくまで続編であることをご理解下さい

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俺と緑の男が天ノ川学園高校とやらに着くと、校門前に黒い男が立っていた

「フィリップ、ゴーストに関する情報を入手した。どうやら大天空寺という寺にゴーストは居るらしい」

「じゃあ急いで向かおう。そういえばテディはどこへ行ったんだい?」

「探し人がどうやらここの2年前の生徒だったらしくてな、弦太郎が呼んでくれるから残るんだとよ。代わりにこいつを見張るって約束して来た」

俺がこんな事心配する義理はないが、あの青鬼、そんなに人と接触して大丈夫なんだろうか。明らかにデンライナーに乗っていた人間との約束の域は超えている

「それとフィリップ、こいつと前に何処かで会っていると言ったな。思い出したぜ、こいつは10年前、映司と一緒に居たあの腕だ!」

「そうか、仮面ライダーコアの力の源を断つために、地球記憶の泉に向かったあの時、オーズと一緒に居た!」

やはりこっちの俺と映司はこいつらとも10年前に接触していたのか。それに俺の不完全なグリード態を知っているとは…

俺は2人の前で右腕のみをグリード態に変化させ、緑の男に向かって言葉を放った

「確かに俺はグリードだ。だがお前に言った通り、今は映司から命を貰ったお陰で生きている」

「実に興味深い…だが待ってくれ、確かに僕は君が命を貰った存在である事は聞いた…だけど、オーズからという事は聞いてない。説明して貰えるかい?」

しまった…俺とした事がつい口を滑らせてしまった…面倒だが、ウィザードにも話した事だ。こいつらにも本当のことを話すとするか…


「つまりお前はこっちの映司を助けるために、別の世界から来た。だから俺達がお前を知っていても、お前からすれば俺達が誰か分からないというわけか」

「そして君が見た夢がもし現実になるのだとすれば、オーズが危ないということだね。最近ドーパントを含む怪物達の目撃情報が相次いでいるのも気になる」

確かにここに来るまでもイマジンやドーパントなどの怪人に接触したな。まぁ、ヤミーや他のグリードの気配は感じないが…

「つか、そもそも映司を探してるならそう言えよ!」
「言っただろ、パンツが好きな旅人だって」

呆れる黒い男を横目に緑の男が話を続ける

「青い龍の仮面ライダーを探しているのも、オーズに辿り着くためだったんだね?」

「あぁ、4年程前に映司はそいつと接触している。だからそいつの足取りを辿れば、映司が見つかる、もしくは情報が得られると思ってな」

「弦太郎が言ってたことは間違いないようだな。段々と情報が集まって来たが、取り敢えず今は大天空寺に行こう。もしゴーストでなければクローズで確定だ」

こうして俺達3人はゴーストが居るという大天空寺に向かった


2051年 ミハルSide

「湊くん、いつまで私を見張っているつもりなんだい?私の役目はもう終わったはず」

「それがアンクとの約束だから。それに見張っててくれてもいいってアンクに土下座してたの鴻上さんじゃん。しかもそう言う割にずっと何かを作ってるようだけど」

アンクが2021年を目指してから数日が経った。俺はアンクとの約束通り、鴻上さんの監視を続けている

「これは君の強化アイテムだよ、湊くん。君がアクアとして戦っていく中で、もし相手に圧倒されそうになった時に使えるようにね…完成だ、素晴らしい!!」

「そんなの要らないですよ。その強化アイテムのせいでポセイドンの力に飲み込まれた時みたいに暴走したらどうするんですか?」

俺がこんな心配をしている理由はただ一つ。強化アイテムとやらが、明らかにメダルシステムを導入してそうな見た目をしているからだ

「ポセイドンバックルも改良の価値がありそうだね。グリードの力を制御して引き出せるようにすれば、アンクくんが仮面ライダーに変身できるシステムを作れるかもしれない。早速取り掛かろう」

そう言って鴻上さんの目の色が変わった。俺はまたこの人の変なスイッチを押してしまったようだ。いつまで見張ればいいんだろう

「アンクは2021年で暮らすんだから、もう会うこともないし、そんなシステム作ったって無駄ですよ」

呆れながら鴻上さんに告げた直後、家の外で大きな汽笛が聞こえた。この近くに線路は通っていないはずだけど…

すると家の外から何やら声が聞こえて来た

「おい、幸太郎。本当にトサカの言う事を信じてるんじゃねェだろうな?」

「例え嘘だとしても、可能性があるなら確かめなきゃ。一応調べた限りこの家に住んでるようだけど…」

インターホンが鳴り響く中で、俺は恐る恐る玄関の扉を開けた。そこには1人の男性と1匹の赤い鬼が立っていた

驚き声も出せなくなってしまった俺を見た男性が俺に尋ねた

「驚かせてしまってごめんね。怪しい奴ではない…って言ってもそう見えちゃうよね。えっと、湊ミハルくん、で合ってるかな?」

その男性はなぜか俺の名前を知っていた。会ったことなど、ないはずなのに

「は、はい…そうですけど、何で俺の名前を…?」

俺がそう答えると同時に赤い鬼が叫んだ

「トサカの野郎がよ、お前が時間を超えて歴史を変えたとかほざいてやがったんだがよ、そんな事してねェよな?」

「モモタロス、トサカって言っても分からないだろ。えっと、アンクって知ってる?」

「は、はい。知ってます。それと俺が歴史を変えたって言うのも、多分本当だと思います。俺は2011年でオーズに未来のコアメダルを渡しましたし…」

その言葉を聞いた男性と赤い鬼は驚いていた

「おいおい、マジかよ…じゃあ何で俺達が気付けねェんだ?」

「アンクに嘘はなかった。でも、モモタロスの言うように俺たちが気付けなかったのも分からない話だな」

この人達は何を言っているんだろう。俺には全くその意味が分からなかった。しかし男性の言葉を聞いて俺はようやくその意味がわかった

「とにかく、今少し時間あるかな?俺達、2021年でアンクにそう言われてここまで来たんだ」

「2021年!?アンクは2021年に行けたんですか!?良かったあ…俺も詳しく話が聞きたいので、一旦中に入って下さい。中にもう1人居るんですけど、お気になさらず」

そう言って俺は家の中に男性と赤い鬼を案内した。鴻上さんは相変わらずポセイドンバックルの改良に勤しんでいる

「湊くん、随分と騒がしかったが、アンクくんに何かあったのかね?」

「2021年でアンクに会った人が来てくれたんですよ。だから色々情報交換しようと思って」

「それは実に、素晴らしいッ!!!私も作業しながら耳だけは立てておこう」


俺は男性達に俺の知っていることを全て話した

「アンクは大切な人の命が掛かっていると言っていたが、それがまさかオーズだったとは…」

「そう、アンクはオーズが元のアンクの世界のオーズと同じ運命を辿らないために、2021年へ向かったんだ」

その言葉に赤い鬼は再び叫んだ

「トサカ野郎…時間だけじゃなく、世界も超えてたとは…でもよ、幸太郎!トサカ野郎がやろうとしてることは…」

「うん、自分に都合がいいように歴史を変えるのは絶対にダメだ。だけどまたオーズとの時間が繋がったのに、それがここで切れてしまうのは俺も悲しい」

どうやら彼らも凄く葛藤している様子だった。人の命か、歴史か…でも、俺なら絶対に…

「申し訳ないけど、もしあなた達がアンクの敵に回るのなら、まずは俺が相手だ。俺だってオーズに生きて欲しい。だからこそアンクに託したんだ!」

「モモタロス、俺達もオーズには世話になった。今回ばかりは俺達もアンク側に回ろう。そのせいで起きた厄介ごとは俺が全て責任を持って片付ける」

赤い鬼は最後まで葛藤していた。しかし赤い鬼は立ち上がると覚悟を決めた様子で告げた

「よし、分かった。またトサカ野郎と共闘するのは癪だが、俺も手ェ貸してやるよ。幸太郎」

「そうと決まれば今すぐにデンライナーで2021年に向かおう!テディも一緒のはずだからな」

そういって男性達は家を後にし、家の前に現れたデンライナーに乗り込もうとした。しかしその瞬間、俺はアンクとの約束を忘れ自分の本音を口にした

「待って!頼む、俺も一緒に連れてってくれ!」
「駄目に決まってんだろ!なァ、幸太郎!」
「いや、この際だ。彼にも力になって貰おう」

赤い鬼の全否定を男性が振り切り、俺はデンライナーに乗せてもらう事になった

「準備があるから、数分だけ待ってて!」

俺は急いで家の中へと戻った。オーズから貰ったパンツとアクアドライバーを持ち、作業中の鴻上さんに話し掛ける

「鴻上さん…俺…」
「アンクくんとの約束はいいのかい?」
「これが俺のやりたいこと…欲望だから!」

その言葉を聞いた瞬間に鴻上さんは立ち上がり振り向いた

「素晴らしいッ!!!Happy Birthday!!!新しい湊くんの誕生だ!!!さぁ、これも一緒に持って行きたまえ。こっちはアンクくんにね」

そう言って鴻上さんはアクアの強化アイテムと1枚のコアメダル、そして赤色に染まったポセイドンバックルを投げ渡した。これは、ヤドカリ…?

「変身後、ヴォルトタービンを隠すようにそのパーツを嵌め込み、ヤドカリコアをセットすることでアクアは新しい姿へと生まれ変わる!実に素晴らしい!!」

「暴走は怖いけど…最終手段として持っていく事にします、ありがとう。でもこっちのはさっき改良し始めたばっかりじゃ…」

「確かにまだ未完成、だがアンクくんであれば!そのグリードライバーは問題なく使いこなせるだろう!」

「わかった。使うかどうかはアンクに任せるけど、一応持って行きます。じゃあ、あんまり変なことしないようにしてくださいね!」

そうして俺は自分の家を後にし、デンライナーへと乗り込んで、2021年に向かった


そして、2021年現在…とあるカフェ

「すまない、泊。ある喫茶店の看板娘とディナーをしてたから、少し遅れてしまった」

「問題ないさ。それより晴人、連絡をくれた件、詳しく聞かせてくれ」

晴人は進ノ介の目を見つめ静かに呟く

「世界を超えてきた男に会った」


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