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小説 オーズ Anything Goes! 11

復活のコアメダルの続きを(勝手に)描いた2次創作です。あくまで続編であることをご理解下さい

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クスクシエ。それは火野映司くんやアンクくんが拠点としていた場所の名前だ。私達は彼の証言を元にデンライナーで、夢見町にあるその場所へとやってきた

しかしお店から明かりは見えない。Closeの看板も掛かっているため、どうやら今日は閉まっている様子だった

「駿、本当に此処であってるんだよな?」

如月弦太朗の質問に彼は頷く

「間違いないよ。僕はオーズと一緒に、此処に来たことがあるから。でも海外でもなくて、此処でもないとすると、分からないな…」

彼の言葉に私は幸太郎は提案した

「一旦明日の朝9時くらいまで、各自で探すのはどうだろうか?私達含め、皆が火野映司くんと関わりがあった場所を回れば、見つからなくとも効率は良い」

「確かに、テディの言ってることは的を得ている。全員、それで問題ないか?」

デンライナーに乗る一同が頷く

「よし、それじゃあ明日の9時にまた天ノ川学園で待ち合わせよう。ナオミとモモタロス達は先に現地に行って留守番を頼む」

その言葉にモモタロスだけが不服そうだったが、私達6人はデンライナーを後にし、一旦解散となった


───しかし全員が解散し、デンライナーも発車したその30分ほど後のこと


「到着です」

里中さんがクスクシエの前に車を停めた。此処に来るのも久し振りだ。最後に来たのは後藤さんの結婚式の後の祝賀会の時以来だ

俺達は車を降り、店の中へと入った。知世子さんが灯りを付けると、扉を入ってすぐの所にでかでかと飾り付けがされている

「じゃあ改めて、映司くん、おかえりなさい!」

比奈ちゃんの言葉と共に、伊達さんと知世子さん、里中さんの4人がクラッカーを取り出し、俺に向けて放った

「ありがとう、皆。俺、すっごく嬉しいよ!」
「よし火野、今日は腹一杯になるまで食うぞ!」

伊達さんが肩を組んでくるものの、早速知世子さんに止められた

「あ、伊達さん、まずは運ぶの手伝って〜」
「お、こっちにおでんあんのか!任せときな!」

それに合わせて比奈ちゃんも里中さんも俺も料理をどんどんと運んでいく。この感じは本当に10年前を思い出す。ここで働いていた時は毎日忙しかったけど、充実もしてたなぁ

食卓に料理が並ぶと俺達は手を合わせた。一口口に運ぶ。うん、これだこれ。懐かしい味がした。やっぱり知世子さんの作る料理は美味し

「お兄ちゃんと後藤さん、いつ頃来れるのかな」

「後藤ちゃん達は用が済んだらって言ってたし、もう少し後だろ。あっつ…!でもうめぇ!!」

伊達さんは相変わらずおでんから食べている

「ねぇ、映司くん。この10年の旅のお話、是非聞かせて?私、ずっと楽しみにしてたのよ?映司くんの旅のお話」

「私も聞きたいです」

知世子さんと里中さんの言葉に4人全員が俺の方を注目している

「分かった、まず最初に行った国が…」

こうして俺達は料理を食べながら、たくさんの話をした

比奈ちゃんは夢を実現するための道のりを、伊達さんは医療についてを、里中さんは鴻上さんの元を離れて今していることを、知世子さんは休み期間で旅行した国のことをそれぞれ話してくれた

ご飯の時間がどれだけ経った頃だろうか。時刻は既に22時を回っていた。そんな時、比奈ちゃんの携帯が鳴った

「あ、お兄ちゃんだ…もしもし?え、スピーカーに?分かった」

「皆聞こえてる?急にすまない、俺と後藤くんなんだけど、やっぱり今日は行けそうにない」

信吾さんの声色的に明らかに俺達は異変を察知していた。そんな中、後藤さんの声が聞こえた

「後藤だ。火野、1つ確認なんだが、アンクのメダルは今も持ってるのか?」

「はい。今も手元にあります。相変わらず割れたままで、元に戻す手掛かりも見つかってないですが…」

暫くの間、沈黙があった。しかし後藤さんがそれを破った

「じゃあ、やっぱり…っ、分かった。とりあえず今日は行けない。また誘ってくれ」

「後藤さん、信吾さん!あの、アンクがどうかしたんですか?」

俺の質問に全員が息を呑んだ。そして信吾さんは衝撃の一言を放った

「別の世界からアンクが来ている可能性がある」


その電話の2時間ほど前、警視庁

「遅れてすみません!」

俺と信吾さんは泊刑事に呼び出され、警視庁へ来た。何やら事件に進展があったそうで、事によってはクスクシエの集まりには行けなくなる可能性もあるだろう

召集場所の会議室に入ると泊刑事の他に照井刑事、大門刑事、そしてもう2人顔の知らない人達がいた

「大丈夫だ、それより紹介するよ。こっちは仮面ライダー鎧武に変身する神様だ」

「こういう場でその呼び方はよしてくれよ。俺は葛葉紘汰だ、宜しく頼む」

泊刑事が鎧武の変身者を紹介すると、次に大門刑事がもう一人の男を紹介した

「こっちはウィザードに変身する晴人くん」
「宜しく…ん?あんた…」
「晴人くん、その事は後で話すと思うから」

大門刑事がウィザードの変身者の言葉を遮る

「俺は泉信吾、こっちは俺のペアの後藤くんだ」
「後藤です、宜しくお願いします」

一通りの挨拶が済むと照井刑事が立ち上がった

「これで全員だな、今回泊刑事から何点か共有したいことがあると報告を受けている。間違いないか…?」

泊刑事が頷くと司会が泊刑事に変わった

「まず今回の一連の事件と関連すると思われる写真を俺の仲間が撮ってきてくれました。こちらを見て下さい」

写真には2人の怪物が写っている

「こっちにいるのはアクマイザー。奴は数年前、此処にいる晴人と、仮面ライダーフォーゼが倒した」

やはり仮面ライダー達が過去に倒してきた怪物が復活しているのは間違いなさそうだ

「そしてこっちにいるのが財団Xのレム・カンナギ。またの名を超銀河王。奴は今言ったフォーゼとそして、仮面ライダーオーズが数年前に倒した」

アンクが現れ、そして消えたあの2日間。あの時、火野が最後に倒した奴がそいつだ

「両者共にフォーゼが倒したことから、最初はフォーゼが怪人の復活に関与していると考えたが、行動を共にした晴人はそれを否定している」

ウィザードの変身者は頷く。そんな中、信吾さんが泊刑事に向かって尋ねた

「そう言えば、この間俺達にオーズの周りに居た誰かが怪人達を復活させた可能性はないか?と聞いてきたのは…」

確かに少し前に俺と信吾さんは泊刑事からそのような質問をされている。勿論俺達は火野や皆がそんなことをしない事くらい分かっている。だから否定した

とは言え、会長だけは怪しかったが、ヨーロッパに行った後も一連の事件が続いていることから、会長も違うと判断するに至った

「はい、この件があったから、当時オーズの変身者と行動を共にしていた泉刑事と後藤刑事に聞いてみたかったんです。ただその線もないとの事でしたよね?」

「はい。火野は勿論、俺達の仲間にそんな事をする人は1人も居ません」

「承知した。今の話を前提として次の話に移る。ここからは大門刑事に司会を頼みたい」

そう言うとウィザードの変身者が大門刑事の隣へと移動した。そして信吾さんを見て話し始めた

「泉刑事、変な質問をしますが正直に答えて下さい。泉刑事は今日の16時頃、私と晴人くん、そして照井刑事に会いましたか?」

「いえ、その時間は後藤くんと一緒に居ました」

確かに今日の16時頃、俺は信吾さんと一緒に居た。それにしても大門刑事はなぜそんな質問をしたのだろう

「驚かれるかもしれませんが、私達はその時間帯に泉刑事に瓜二つな存在と接触しています。この写真はドーパントが出現した際、彼と私が一緒になったタイミングで隠れて撮ったものです」

俺達はその写真を見て驚いたが、写真に写っている金髪の信吾さんに瓜二つの存在が誰なのかすぐにわかった

「アンク…!」
「間違いないですね。これはアンクだ」

俺達の言葉に大門刑事が再び質問を投げかけた

「御二方、そのアンクという人物とはどういう関わりが?」

俺達は10年前の戦いの記録を全て話した。グリードが復活したこと。ヤミーの攻撃で信吾さんが瀕死になったこと。その中にアンクというグリードが取り憑いたこと。長い時間を過ごす中で信吾さんが命を取り留めたこと。そして戦いの末に、アンクが死んだことを

全員が納得するように頷く中で、ウィザードの変身者と泊刑事だけが顔を曇らせていた

「晴人くん、どうかした?」

「あぁ、実は此処からが本題なんだ。俺はそのアンクという奴と話をしたんだが、どうやらそいつは君達の知っているアンクではない」

ウィザードの変身者の言っている意味は全く分からなかった。しかし彼はその答えをすぐに話した

「そいつはこう言っていた。俺はとある人が死ぬかもしれない、その運命を変えるために別の世界からやってきたと。そしてその手掛かりは青い龍の仮面ライダーだと言っていた。今もダブルの2人と一緒に探している頃だろう」

別の世界からアンクが来た…?そう言えばあの日が終わった後、火野は言っていた。あれは未来から来たアンクだと。ただ今回はそれとは話が違う

「俺はそいつに前へ進むにはどうすれば良いかを教えた。だがそいつの世界移動が原因で時空が歪み、復活した怪人が蘇っているなら話は別だ。元の世界に帰って貰うか、もしくは奴がグリードという存在を利用するならば、俺達は奴と戦う必要がある」

「待ってください!映司くんはアンクを復活させる方法を探していました。もしかしたら映司くんが上手くやったのかも知れない。だから…」

信吾さんの言葉に今の話を聞いて意見を変えた照井刑事が叫んだ

「甘い!市民を脅かす脅威を断ち切るのが、我々警察の役目ではないのか!それがかつての仲間だったとしても、私情に左右されず任務を全うすべきだ!」

確かに照井刑事の言う事は正しい。10年前、火野がアンクの偽物を倒した後、アンクは一旦グリード側に付いた。今回も自分の欲のために、何をするか分からない。覚悟を決めるべきなのかも知れない

「少し、時間を下さい…後藤くんとも話がしたいし、かつての仲間達とも話がしたいです…」

信吾さんの切なる願いが泊刑事に届いたのか、彼は頷いた

「アクマイザーや超銀河王のような怪人達がいつ動き出すか分からない以上、そんなに長くは待てませんが、明日中に答えを出して貰えると助かります」

一旦解散となったその場にただ2人残った俺と信吾さんは、暫くの沈黙の後話し合った。そしてその末に信吾さんは比奈ちゃんに電話を掛けたのだった

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