見出し画像

ワーグナーを創造に使うのか、利用するのか、そこが問題・・・ですね。

*上記YouTubeはベッリーニのオペラ『カプレーティとモンテッキ』序曲です。

人は、生まれてから、親の真似をしながら立ち、食べ、しゃべり、家族の外にあっては文字や計算他を真似まねしながら学び・・・。まずは、模倣から入っていると思います。

学ぶとは、真似ぶまねぶからきていますね。創造性と言いますが、モノやコンテンツを創ったりする時に、全くオリジナルのモノは少ないのではないのでしょうか?

昨日まで、ワーグナーのオペラについて書いてきましたが、ワーグナーを真似したり、彼から影響を受けた人は多いのです。そのワーグナーは、ベッリーニから影響を受けました。ベッリーニのオペラと彼の音楽から影響を受けているワーグナーの初期のオペラに関しては、後日改めて、にしますね。

ワーグナーが与えた影響と言えば、20世紀末芸術のボードレール、ビアズレー、クリムト等。

そして、映画音楽の基本パターンが、ワーグナーオペラを下敷きにしているようです。

「愛の場面ではうねるような甘いメロディーを弦楽器で、戦闘場面では勇ましい金管のファンファーレ、不気味な場面では不協和音を、クライマックスでは怒涛のようなオーケストラの洪水」ー こうした映画音楽の基本パターンがワーグナーの楽劇を下敷きにしているのです。これは偶然ではありません。この映画音楽のパターンを確立したのはスタイナー(『カサブランカ』や『風と共に去りぬ』で有名)とコルンゴルト(『ロビンフットの冒険』でアカデミー賞を受賞)の二人のハリウッド作曲家であると言われていますが、実は二人ともウィーン育ちのユダヤ人で、若い頃からワーグナーの音楽を熟知していました。ワーグナーはオーストリア/ドイツ系の亡命ユダヤ人を経由してハリウッドに持ち込まれたと言えるかもしれません。

里中満智子『ニーベルングの指輪』下巻の解説:岡田暁生より

ハリウッド映画といえば、おもいっきりそのままワーグナー音楽を使っているのが、フランシス・コッポラの『地獄の黙示録』。スピルバーグの『スターウォーズ』には、ワーグナーの『ジークフリート』を思い起こさせる双子が登場。

日本映画では、『宇宙戦艦ヤマト』の松本零士さんが熱烈なワーグナーファンだそうです。

そして触れなければならないのが、政治利用のヒトラー。

集団で絶叫する陶酔(これは特に『ニュルンベルクのマイスタージンガー』で何度もあらわれるものです)。同じ言葉(メロディー)を無限に反復し続け、聴衆を催眠術にかけてしまうような手法。これらをナチスはワーグナーから学び、政治の世界へと応用したのです。

里中満智子『ニーベルングの指輪』下巻の解説:岡田暁生より

『真似ぶ』も、人類が幸せになる方向に使いたいものです。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?