Marshall DSL20Hをレビューしてみる

どうも、紅ケンタです。

2023年に購入したMarshall DSL20Hについて語りまくろうと思います!
かなり長めですが、どうぞ最後までお付き合い頂けますと幸いです!


購入したきっかけ

もともとは90年代ギターサウンドを欲しいと思い、あの時代の音となるとやはりMarshallは必須と思い、いろいろと探していました。そこでまず
最初に目をつけたのが、1997年発売のMarshall JCM2000でした。

まあ、この年代で音楽のシーンで使われていたのは実際にはJCM800やJCM900がメインだったかとは思うが…機能性やら音作りの幅広さを考えてJCM2000に目をつけていました。

しかしJCM2000を含め、多くのアンプは横幅が約70cm、重量が約20kgとデカい&重い。1台だけならともかく、将来的にはヘッドアンプを複数台は持ちたい考えがあったため、大きさはかなりネックでした。
大きければ大きいほど、部屋に置けなくなり保有できる数が限れました。

他に候補をいろいろと調べていた中、DSL100HがまさにこのJCM2000の仕様をほぼそのまま引き継いだ生まれ変わりみたいな存在であることを知り、さらにDSL20Hがその小型版であることが判明。

「実質的にJCM2000の小さい版なんてあったのか!こりゃ買うっきゃねえ!!」ってなったワケですよ。

ヤフオクで探し、付属品全て付いて50000円で売られている個体が見つかったためコイツを落札。良い買い物をしたものだ。

外見について

正面。もう高級感の塊です。これが家に来たときは
「うぉおおおついに我が家にもMarshallが来た!」ってなりましたね。
背面。シンプルながら、外部からのオーディオの入力やヘッドホン端子がある等、現代的な仕様になっています。
ツマミを触ったときの感触も、スタジオにあるフルサイズのMarshallアンプと全く同じです。
小さいことかもしれないが、こういった部分が演奏の楽しさやモチベに繋がる。(自分だけ?)
専用のフットスイッチ。スイッチはCHANNEL切替とFX LOOP ON/OFFの2つで、ごく普通。
踏むと赤色のLEDが光ります。

音について

初めにお伝えすると、自分はキャビネットシミュレーターを通じてヘッドフォンでギターの音を聴いているので、その観点でのレビューになります。ギターはAria pro II Magna seriesでキャビネットシミュレーターはPalmer PDI-03です。これも90年代のレコーディングで大活躍したキャビネットシミュレーターでヘッドフォン越しでも当時の雰囲気を再現したかったのが狙いです。以下が音出しの動画になります。

まず思ったのが、音作りの幅広さが本当に広くクリーン、クランチ、オーバードライブ、ハイゲインのどれもが「ちゃんと使える」音です。
中域が強めな印象が強いMarshallですがDSL20Hに関して言えばイコライザをよく考えないと簡単に低域・中域が出てしまうなだけで実際には苦手なことが少ない、汎用的なアンプという印象です。しかし特徴はしっかりあるので、そこを語っちゃいます。

CLASSIC GAINチャンネルについて

ハイが強めでシングルコイル単体またはハーフトーンとの相性が凄く良い。
クリスタルクリーンが作りやすく、デチューン、コーラス、ディレイ、リバーブやらで適当に味付してもめっちゃ綺麗に鳴る。5000円の安ギターですらも綺麗になるのだからヤバイ。やっぱりエレキギターの音を良くしたいならアンプこそが重要だなぁと改めて思わされる。

クランチもこのChで作れるが、VolumeつまみとGainつまみの両方をMAXにしてやっと作れるって感じでドライブ量としては物足りない感じ。PDI-03側で音量を下げられるからフルテンでの音作りをしているが、キャビで鳴らす場合は当然爆音なので素直にULTRA GAIN Chで作っちゃった方が良いです。

ULTRA GAINチャンネルについて

このチャンネルこそが王道のMarshallサウンド。Volumeつまみは単純な音量の変化だけでなく位置によって本当に違います。
1〜5はドンシャリサウンドが作りやすい領域となっていて、6〜10は低中音の主張が強い音が作りやすいです。

このULTRA GAINチャンネルですが、最初は音作りに難航していました。Marshallは王道のアンプではあるが、歪ませた時のEQの振る舞いが
他と比べてかなり独特のように思えます。例を挙げると…

・BASEが3以上になると何故かTREBLEが急に落ちる
・MIDDLEは常時MAXにした方が心地の良いサウンドが得られやすい
・RESONANCEとPRESENCEを含め全てのEQを5にすると何故かドンシャリになる
・音がこもり気味と思ってTREBLEよりもPRESENCEを上げた方が音の帯域全体が聴きやすくなる。

といった具合に、動きが独特です。DAWのEQのように考えてしまうと理想の音になかなか近づけないので、こういった規則を見つけながら音を作っていく感じでした。

ただ覚えてしまえば汎用性が高い&高クオリティーの音が出せるのは確かなので、最初は苦しいかもしれないが最終的には頭の中で思い描いていたサウンドが作れるようになります。

それとTONE SHIFTボタンがあるが、個人的には絶対に押さない方が良い音しますね。このボタンは本来は「押すとドンシャリサウンドに
するよ」という代物なのだが、音の芯の部分がごっそり無くなっているように聞こえ弾いてて気持ち良い感触が失われている感じがします。どうもJCM2000の時からずっと言われているボタンのようで、他のユーザーももう押さない方が良いというのが定番になっている模様。

何かと悪名高いTONE SHIFTボタン

おそらく90年代に台頭してきた5150やDual Rectifierといったハイゲイン系のアンプが人気を博したため、対抗するためにつけたと推測されるが…ドンシャリな音が好きな人からすると「違う、そうじゃない」って感想を抱いたんじゃないかなー。

Marshall JCM2000との違い

DSL20Hをスタジオに持ち込んでスタジオにあるJCM2000との比較はやったことはないため音の観点でのレビューはできませんが、仕様にいくつか違いがあります。JCM2000からDSL20Hになったときの変更点・追加点をまとめました。

・EMULATED OUT端子がある
ステレオミニジャックの端子で、ここにヘッドフォンを挿せばキャビネットシミュレータがかかった音が聴けます。「キャビネットシミュレータ搭載とかめっちゃ便利じゃん!」と最初は思ったが、肝心の音がかなりこもっていて非常に使いづらい。ここの完成度さえ高ければ、別売りでキャビシミュを買わなくてもヘッドフォンでの練習や卓録もできる超便利なアンプになれたのになぁと常々思う。

・AUDIO IN端子がある
一度も使ったことがないが、スマホからオケを流してこのジャックに挿すとキャビネットからオケ+ギターの音が出せます。ただMarshallの
キャビネットはオーディオの再生には全く向いていないとは聞くので、使い物になるのかが疑問ではある。

・DEEPボタンがない代わりにRESONANCEがある
JCM2000でいうDEEPボタンがRESONANCEのつまみへと置き換わった形。
超低音の調整が0か100しか選べなかったのが0~100を無段階で調整できるようになったのでこれは良い変更点だと思いましたね。

RESONANCEツマミ、もともとはDEEPボタンだった。

・CLEAN⇔CRUNCHボタン、LEAD1⇔LEAD2ボタンが省略されている
これが一番痛い。これらのボタンがなくても、ULTRA GAINチャンネルのドライブ量の幅がすごく広いので、パワー感が不足することにはならないがCRUNCHボタンをONにした音こそJCM2000の本命のサウンドであるためそれが味わえないのが本機の最大のデメリットだと思います。

別売りで良いので、CRUNCHボタンの音になるオーバードライブを売ってくれませんかね…

・リバーブがスプリングリバーブからデジタルリバーブになっている
良いか悪いかは好みが別れそうな変更ではあるが、振る舞いとしてはスプリングリバーブのシミュレートでありかかり方も悪くはないので個人的にはアナログかデジタルかはさほど気にならない。

・10Wと20Wのマルチワット対応となっている
音が大きすぎると思ったら下げることも可能です、10Wでもかなり大きいが…しかも良い点として、ワット切替のボタンってたいてい後ろに付いていることが多い中、DSL20Hは前面で操作できるのが地味にうれしいポイントだったりします。

スタンバイボタンがワット切替も兼ねており、LOW側を押すと10W、HIGH側を押すと20W。

良い点と気になった点

ここまでいろいろと書きましたが、良い点と悪い点をまとめるとこんな感じです。

良い点

・クリーン~ハイゲインまでしっかり使えるサウンドで、苦手な音は少ない

・10Wと20Wのマルチワットに対応している

・DEEPボタンがRESONANCEつまみへと変更され、無段階で調整ができるようになっている

・横幅が50cmと小型で、DTMデスクでも置きやすいサイズとなっている

・重量が10kgなので、故障で修理屋さんまで電車で運ばなきゃいけない事態になっても一応なんとか運べる。

気になった点

・CLEAN⇔CRUNCHボタン、LEAD1⇔LEAD2ボタンがなくなっていて、JCM2000の完全な代用にはならない

・EQの動きのクセが強く、慣れるまでに時間がかかる(これはMarshallアンプ全般がそうかもしれないが)

・EMULATED OUTにヘッドフォンを挿した時に聞こえる音がこもっている

・TONE SHIFTを押した時の音がかなり使いづらい

・CLASSIC GAINチャンネルのGAINはMAXでもドライブ量としては少なく、思った通りのクランチサウンドにならない場面に直面することもある

まとめ


良い点と気になった点を同じだけの数を並べたが、良い点の方が圧倒的に勝っていると思い新品で約6万円(アンプ単体)はかなりコストパフォーマンスとしてはかなり高いと思います!
やはり、元ネタがJCM2000というだけあって、音が安っぽいということも全く感じさせません。むしろ、5000円の安ギターですら高級なサウンドへと化けさせるほど優秀です。

「初めて真空管アンプを手にしたい!そんでやっぱりMarshallが良い!」と探している方には1台目として強くオススメできるアンプです。
中古市場に流通が少ないことからも、それだけ満足度が高く腐りにくい完成度だからだと言えます。ホント、延々と弾いてしまうんですよこれが。

仕様

■タイプ:ヘッド
■実効出力:20W/10W
■チャンネル数:2(CLASSIC GAIN/ULTRA GAIN)
■プリ管:3 x ECC83
■パワー管:2 x EL34
■フットスイッチ:付属
■サイズ(cm):50x25x24(W x H x D)
■重量(kg):9.7

■コントロール:
<CLASSIC GAINチャンネル>
・VOLUME
・GAIN
<ULTRA GAINチャンネル>
・VOLUME
・GAIN

・チャンネルセレクトボタン
・トーンシフトボタン
・3バンドEQ(TREBLE、MIDDLE、BASS)
・PRESENCE
・RESONANCE
・REVERB

■端子類:
・16Ω×1、8Ω×2
・FOOT SWITCH ※チャンネル切替とFX LOOPのON/OFF
・EMULATED OUT
・AUDIO IN
・SEND/RETURN搭載

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