パルプ・ノベルの野望

俺はパルプ、まだ名前はない。
ベルトコンベアの上を流れる何の変哲もない食物繊維である。
ごくごく普通に植物から加工された俺ではあるが、こともあろうが俺が納品された先はカルト集団の本拠地だったのである。

あぁ見ろ!あの冒涜的な製紙風景を!

ベルトコンベアの先で回る撹拌機、罪のないまっさらなパルプ達が処女の血やらトカゲの粉と混ぜられ、生物の皮のような紙になっていくのを!
彼らはその後加工され、「人工人皮の魔導書」として安価にばらまかれるのである!
そんなの紙生はまっぴらごめんだ!
俺はいつか文庫本となり、メガネの似合う黒髪の知的な美女にほっそりとした指先でページをめくられると言う野望があるのだ!
だが、苛立たしいことにこちらはパルプ。動けるはずがない。
ゴウンゴウンと音を立て、俺は地獄の釜へと強制連行される運命だ。
あぁ、神よ。いや、俺は紙(予定)だが。
思わず祈りを捧げた、次の瞬間!

【続く】

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