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オリネゲス

実際、オリゲネスは、重要で常に現代的な意味のある論考の『祈りについて』を著しました。オリゲネスはいつも、聖書釈義と神学の著作を、祈りに関わる経験や示唆と結び合わせます。オリゲネスの神学思想はきわめて豊かなものですが、それはけっしてたんなる学問的な考察にとどまりませんでした。彼の考察は、祈りと神との関係を常に基盤としていたからです。オリゲネスの考えでは、聖書を理解するためには、研究だけでなく、キリストとの親しい関係と祈りが必要です。オリゲネスはこう確信していました。神を知るためのもっとも優れた道は愛です。そして、神を愛することなくして真の意味で「キリストを知ること」(scientia Christi)はできません。オリゲネスは『グレゴリオス・タウマトゥルゴスへの手紙』の中で次のように勧めます。「聖書を『読むこと』(lectio)に努めなさい。忍耐をもってこのことに専念しなさい。神を信じ、神のみ心にかないたいとの意向をもって『読むこと』に励みなさい。このように『読む』間に、自分の前で門が閉じられているのを見いだすなら、たたきなさい。そすれば、門番は門を開いてくれます。この門番についてイエスはこう述べておられます。『門番は彼に門を開く』(ヨハネ10・3)。このようにして『霊的読書』(lectio divina)に専念しなさい。ゆるぎない神への忠実さと信頼をもって、聖書の意味を探求しなさい。そうすれば、聖書は大きく開かれます。あなたはたたき、探求するだけで満足してはなりません。神に関することがらを理解するためには、『祈り』(oratio)が何よりも必要です。主は祈りを勧めるために、次のようにいわれました。『探しなさい。そうすれば、見つかる』。また、『門をたたきなさい。そうすれば、開かれる』。しかし、それだけでなく、主は続けて次のようにいわれました。『求めなさい。そうすれば、与えられる』(マタイ7・7、ルカ11・9)」(『グレゴリオス・タウマトゥルゴスへの手紙』:Epistula ad Gregorium Thaumaturgum 4)。「霊的読書」(lectio divina)の歴史の中でオリゲネスが「創始者としての役割」を果たしたことがすぐにわかります。ミラノの司教アンブロジオは、オリゲネスの著作を通じて聖書を読むことを学びました。このアンブロジオが後にこの「霊的読書」を西洋世界にもたらします。こうして「霊的読書」は、アウグスチヌスや後に続く時代の修道制の伝統へと受け継がれました。

オリゲネスの著作に、邦訳されたものとして『祈りについて』という1冊があり、おススメです。
※アマゾンでは絶版のためか、高額になっています
 (2022年5月27日現在)

オリゲネスの著作、その読後の感想については、各々の読者に委ねます。

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