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小学生に「習いごとをしないと、将来生きていけない」と言われたあの日と今。

「あの子はダンス上手いけど、プロにはなれないよ。だって、習ってないから」

数年前、当時小学4年生の子が言った言葉を、今でも鮮明に覚えている。
ダンスが好きな子が、私にダンスを披露してくれた。ダンス教室には通っていないが、その子のダンスはキレッキレで、何よりもその子は楽しそうに踊っていた。

「〇〇ちゃん、すごいダンス上手だったよね〜」
帰り道、私はダンスを見ていた子と駅まで一緒に帰った。私は運動が苦手で、ダンスなんて全然踊ったことがなかったから、素直にそう思ったのだ。でも、私の言葉に返ってきたのは、予想していなかった言葉だった。

「でもさ、あの子はダンス上手いけど、プロにはなれないよ。だって、習っていないから」

冷めたようにその子は言った。私は驚いた。そんな返しが返ってくるとは思っていなかったから。だから彼女に質問をしてみた。

「〇〇ちゃんは習い事やっているの?」
「〇〇と〇〇と〇〇と・・・ 1日に2つ習い事があることもあるよ」

私は地方出身で、受験も高校受験からしかしたことがなかった。だから、1日に複数の習い事をやり、放課後も週末もほとんど休みがないなんて、想像したことがなかった。

「それは好きなことなの?」
単純に疑問だった。なぜ、彼女がそんなにたくさんの習い事をしているのか。それ自体を彼女はどう思っているのか。

「好きじゃないよ。でも、習い事をしないと、将来生きていけないから」
とてもドライな答えだった。きっと、彼女の周りの大人が、そういうふうに言っているのだろう。意識的でも、無意識的でも。それは彼女の脳に染み付いて、呪いのようになっていた。

「じゃあ、〇〇ちゃんも好きなことしたらいいんじゃない?」
私が返したその言葉に、彼女は無理だよ、的なことを言っていた。

「失敗を恐れない経験」と「やりたいことを実現しようとする気持ち」は、どこで育つのだろうとぼんやり思った。

彼女はどうしたら変われたんだろう、と。

私がLITALICOワンダーに入って、丸3ヶ月が過ぎた。
ワンダーは年長〜高校生を対象にした、ものづくり教室だ。もともと知り合いだった元木さんから「一緒に働かない?」とお誘いを受けたことがきっかけだった。

ここではいろんな子どもたちが、それぞれがやりたいことをやっている。
ゲームをつくっている子もいれば、鍵を開けるためのロボットをつくっている子、キャラクターデザインや音楽をつくっている子もいる。

私は文系出身なので、初めて出勤した時は子どもたちの作品にとても驚いた。私にはとても作れなさそうなものばかりだったからだ。

でも、もちろん最初からできる子なんていない。むしろ「そんなの自分はできない」と言っている子の方が多い。「めんどくさい」「自分にはできない」「このままでいい」と言っている子もいる。きっと、口癖になっているのだろう。

それはきっと、「やったことがないし、やり方がわからない」から。

やったことがないことは怖い。
試行錯誤をする機会もない。
失敗しちゃいけない。
「誰かに評価」され続ける。

それはとてもしんどくて、社会に出ることが、未来が、とても怖くなる。
きっと、あのときの小4の子もそうだっただろう。

やっとあのときの、ヒントがある場所に辿り着いた気がした。
評価なんてない、楽しみながら試行錯誤できる場を。
応援者がいる、長く一緒にチャレンジしてくれる場所を。

***

*こちらのイベントは終了しました。

いつもは通塾している子がきている教室。
でも、いろんな子どもたちが来れるような場もつくりたい、ということで、ワークショップをします。

使うツールはKnotty(ノッティ)。
幼児から触れることができるCreative Toolです。

今回は開発者でもある Studio Playfool の方々にも来ていただけます。子どもたちへのワクワクする時間はもちろん、親御さんにはKnotty開発の想いをきいたりディスカッションする時間を設ける予定です。

試行錯誤ってどうしたらできるのだろう。
やりたいことはどうしたら出てくるのだろう。
頭で考えるだけではなく、まず手を動かすにはどうしたら良いのだろう。

そんなことを一緒に感じて、考えられる場にできたら良いなと思っています。

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◆参考記事
GUGEN:https://gugen.jp/entry2018/2018-002
イギリス名門美大RCA発の知育玩具スタートアップStudio PLAYFOOLが拓く「遊び」の可能性:https://akiba.dmm-make.com/blog/startup/1230

#こども #子育て #ワークショップ #エッセイ なのかな?

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