見出し画像

フェブラリーS 有力馬血統考察

オメガギネス 

 祖母のアスタラビクトリアは、あのヴィクトワールピサの全妹。父がロゴタイプであることもあわせて、社台ファームの結晶と言える血統ですね。ロゴタイプはヘイロー3×4のクロスをもつ種牡馬。またアスタラビクトリアもヘイロー3×4を内包しています。父方も母方ヘイローの影響が濃い血統。本馬の核となっているのはこの要素でしょう。ダート馬としては素軽いほうです。また母の父・ハービンジャーの上品さをまとっており、本質的に緩い競馬になるほど強いタイプではないかとみています。
 これまでのレース内容をみると、脚抜きのいい馬場のほうが高いパフォーマンスをみせている印象を受けます。前走の東海Sも重馬場。本馬にとっては理想的な環境でした。序盤で掛かったことが響いたとはいえ、あの条件であれば勝ってほしかったというのが率直な感想です。パサパサの馬場で過酷な底力くらべになったとき、脆さがでる可能性はゼロではありません。週末の馬場状態が気になりますね。


ウィルソンテソーロ 

 キタサンブラックの重厚な走りがベース。そこにアンクルモーやフレンチデピュティの北米血統を上塗りした構成です。フレンチデピュティもちのキタサンブラック産駒という点では、今回の一緒に出走するガイアフォースもおなじ仲間と言えるでしょうか。
 前走の東京大賞典は自ら逃げる競馬を選択。ペースをスローに落とし、かなり有利な状況をつくることができました。あの流れを後方から差したウシュバテソーロは高く評価すべきですが、前残りの恩恵に恵まれた本馬の2着をどこまで評価すべきかは難しいところです。
 前脚をふわっと上げて加速する走法は、母の父・アンクルモーの影響を感じさせるもの。アンクルモーはBCジュベナイルを勝ち、マイル戦を主戦場とした馬。本馬も東京マイルは2戦2勝です(いずれも条件戦ではありますが)。またこれまでの経歴のうち、2着馬につけた着差が大きかったベスト3をみると、未勝利戦(-1.8秒)、1勝クラス(-0.8秒)、マーキュリーC(-0.6秒)はいずれも渋った馬場。思った以上にスピードがあります。近走は乾いた馬場の中距離GⅠで好走をつづけていますが、ひょっとすると東京マイルのほうが、本馬にとっては合うかもしれません。どんな走りをするのか楽しみにしている1頭です。


レッドルゼル 

 血統全体の主軸となっているのは「ストームキャット≒フレンチデピュティ」3×2です。アメリカのスピードを増幅するニアリークロス。短距離で9勝を挙げる脚の速さを支えています。もうひとつ「ターリングア≒マーストンズミル」4×5も興味深い仕掛けです。ターリングアはストームキャットのお母さんにあたる血。つまり本馬はストームキャットとその母を同時に刺激して、スピードを何重にも引き出した特化型の配合と言えます。馬自身の適性は千四型で、千二、千六も守備範囲というタイプでしょう。安田厩舎の後天的な育成によって、スプリンター化しているところはありそうです。
 昨秋は夏負けを引きずり、予定していたJBCスプリントを回避。代わりに武蔵野Sに出走しました。道中では折り合いを欠くところもあり、うまく脚が溜まっていなかったように思います。レース前からレース中までチグハグな状況であったことを考慮すると、3着という結果はむしろ地力の高さの証明と言えるのではないでしょうか。フェブラリーSは21年から毎年参戦。昨年は2着に好走しました。最近は加齢の影響かズブさが増し、重厚な持続型にスタイルチェンジした印象があります。以前よりマイルにも対応しやすくなっているかもしれません。


ドゥラエレーデ 

 デヴィルズバッグを経由して、ヘイローの血をクロスしたドゥラメンテ産駒。このパターンの牡駒は10頭中7頭が勝ち馬で、本馬とドゥレッツァの2頭がGⅠ馬となるニックス配合です。全体を眺めると、ノーザンテースト5×5・6のクロスで屈強さ増幅。2代母の父にもパワー型のオーペンを据え、フィジカル面を徹底的に強化する構成になっています。強みが馬力にあることは間違いありません。芝・ダートの二刀流で活躍していますが、力を発揮しやすいのはダートではないでしょうか。
 前走の東京大賞典はスローペースの前残り。勝ったウシュバテソーロだけは別格の競馬をしましたが、2~4着は1コーナーで1~3番手だった馬がそのままなだれ込んだかたちです。2番手で先行した本馬はかなり恵まれた立場ではありました。
 父のドゥラメンテ、母の父オルフェーヴル、どちらも長め中距離型の種牡馬。また祖母のマルペンサは菊花賞馬のサトノダイヤモンドをだした繁殖で、潜在的なスタミナに優れた一族です。ピリッとした前進気勢があるため、速い流れにも食らいついていくと思いますが、さすがにマイルのスピード勝負に向いたキャラという印象はありません。


キングズソード 

 父のシニスターミニスターは、シアトルスルー、セクレタリアト、ボールドラッドという3本の「ボールドルーラー×プリンスキロ」血脈を内包。アメリカの軽いスピードが固定された種牡馬です。本馬は一昨年の11月以降、高いパフォーマンスを継続。阿蘇S以外は渋った馬場であったことから、上記の「ボールドルーラー×プリンスキロ」的な特徴を受け継いだスピード型という印象がありました。ところがJBCクラシックではタフな馬場をものともせず、力強い走りで4馬身差の勝利。どうやら僕の認識は間違っていたようです。
 祖母のリボンストロベリーは、デインヒル×ラシアンルーブルという泥臭い血統構成。そこにキングヘイローを配して誕生した(本馬の母)キングスベリーは、スクアンダー4×4でパワーを強力に増幅しています。母方のパワーこそが、この馬の強みなのかもれません。
 前走の東京大賞典は案外な走りでした。JBCクラシックでは歯牙にも掛けなかったウィルソンテソーロやノットゥルノにも敗戦。状態が微妙だったのかもしれませんね。あれが実力ということはないと思います。今回は初めてのマイル戦。個人的にはそれほど適性には合っていないと考えています。去年、メイショウハリオが3着に突っ込んできたように、地力でどこまで戦えるかという感じでしょうか。 


そのほかの重賞レースはInstagramで考察しています


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?