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東武線全部乗る② 日光とか宇都宮

東武線は東京都心から埼玉県を主力に北関東、一部千葉県への路線網を持ち、日本の私鉄としては近鉄に次ぐ路線規模を持つ鉄道会社。池袋駅を起点とする東上線系列と、浅草駅を起点に群馬県、栃木県に至る伊勢崎線系列にわかれている。この度、2023年12月までに残り1路線区間を除き制覇まで王手をかけている状況。

2回目はこの辺り

東武本線系統と言われるのが浅草を起点にして伊勢崎まで至る伊勢崎線が本線とされる中心路線で、東武動物公園から日光方面に分岐する日光線、さらに分岐する佐野線、桐生線、小泉線、宇都宮線、鬼怒川線、都心方面では亀戸線、大師線、さらに春日部駅でクロスする大宮駅と船橋駅を結ぶ野田線があり、東京の私鉄としてはダントツで巨大な路線網を有している。北千住駅から久喜駅の間で1899年に開業した路線が東武鉄道の創業路線。東京近郊の大手私鉄としては、1894年開業の西武(現国分寺線)、1899年1月開業の京急(現大師線)に次ぐ歴史を持つ。

2017年に導入された特急500系リバティ。11月の飛び石連休初日で満席でした。今回は北千住から野岩鉄道、会津鉄道と通して会津田島まで向かう。
100系スペーシア。筆者と同い年の歴史をもつ。東武特急と言えばこれのイメージでした。

以前は東武伊勢崎線と普通に呼ばれていたはずなんだけど、スカイツリー完成に合わせて浅草駅・押上駅と東武動物公園の間をスカイツリーラインと愛称がついていた。東京の大手私鉄路線で唯一JR山手線の駅にターミナルを持たず、浅草駅は今でこそレトロ感があって味があるけど、前々時代のままのターミナルで東京の殺人ラッシュをさばくには限界が来ていて、早くから東京メトロ(当時の営団地下鉄)と一蓮托生で、北千住駅から日比谷線に直通させることに命を懸けていたし、後に押上から半蔵門線へも乗り入れさせている。

この伊勢崎線は東武動物公園駅で日光線が分岐する形になっているものの、日光線は東武日光駅まで全線複線なのに対して、伊勢崎線は館林駅から単線になるので本線っぽいのは日光線の方かもしれない。

それもそのはずで日光は世界遺産の東照宮や、中禅寺湖・華厳の滝といった自然、鬼怒川温泉などの温泉などがある東武鉄道において最重要観光資源として、都心から2時間程度で行けるということもあり東武鉄道の顔たる特急列車が多数運行されていて力を入れている路線であることは明白。

一方で普通列車においては東武動物公園から分岐すると、車庫があり都心からの10両の通勤電車の北限となる南栗橋駅がある。そこからはJR宇都宮線と接続する栗橋駅、新古河駅は茨城県古河市かと思いきや埼玉県加須市。

日光線、宇都宮線付近の普通列車はすべてこの20400系。4両編成でワンマン運転対応、都心で引退した車両を改造していて内装も入れ替えてるので、下手な都心に残る車両より現代的。

渡良瀬遊水地は明治期に渡良瀬川上流の足尾銅山から流れてくる重金属を含んだ排水をこれ以上流出させないよう溜置くために湿地帯をせき止めて作った遊水地。この場所は日本最初の近代公害事件の舞台でもあり、近代日本初の市民運動の舞台となり、遊水地の計画地にあった鉱毒反対運動をしていた谷中村を強制移転させた負の歴史を語る場所でもある。遊水地のそばの柳生駅からすぐの場所には埼玉県、群馬県、栃木県の3つの県境が交わるポイントがある。ここは遊水地の建設により渡良瀬川の流路が変わったため、県境が平地にある珍しい場所。日本には40か所以上の三県境があるもののほとんどが山や川の中にあるので、ここは電車で気軽に行けるスポットとして観光地化している。

柳生の三県境

栃木駅はJR両毛線との接続駅。栃木市は栃木県第3の都市、小京都と言われる蔵の街で、宇都宮県と合併する前の旧栃木県の県庁所在地。東武線は基本的にすべての特急が停車する。中心市街地は駅からは少し離れていて、栃木市役所新庁舎に東武百貨店が入っている面白い町。隣の新栃木駅から東武宇都宮線がさらに分岐していく。

2023年7月から運行開始したスペーシアX。とても人気なのでコンパートメントとかは全然取れない。私は栃木駅から春日部駅の短区間乗車。先頭車にラウンジもあって整理券方式でバーやカフェ利用が可能、この日も当日予約可能だったけど時間がそんなに余裕無いので使わず。
プレミアムシート予約しました。

新鹿沼駅は鹿沼市の中心駅でこちらも基本的に特急がすべて停車する。鹿沼市は宇都宮市の西郊外の住宅地、交通の要衝、工業都市。JR日光線の鹿沼駅とはかなり離れていて、東京方面へは一本で行ける東武特急が、宇都宮方面はJR日光線の利用に分かれる。高速バスや車で宇都宮に行くとなると鹿沼ICで降りることになる。いちごとにらの名産地。

今市市駅は鬼怒川線・野岩鉄道方面と東武日光駅方面が分岐する駅。日光へ至る街道の交通の要衝として栄えた都市で、現在の日光市は旧今市市と日光市を中心に合併した市で、市役所や中心地は下今市駅周辺になる。すべての特急が停車して、東武日光駅行きと鬼怒川温泉駅行きの両方の特急が乗り入れ、野岩鉄道方面へ直通するリバティ会津は下今市駅で分割・併結する。JR日光線の今市駅とは徒歩10分程度の距離。

鬼怒川温泉と下今市、日光付近では土日祝日を中心にSL大樹が走る。下今市駅はSL基地が併設。
下今市駅で併結されるリバティけごんとあいづ。

東武日光駅は言わずと知れた観光地の日光の玄関口。日光への鉄道路線は後の国鉄路線となる日光線が1890年とかなり歴史は古いものの東京方面からは遠回り。東武線は1929年とかなり後になっての開業ではあるが東京から最短距離で今でも観光客の多くが東武日光駅を利用している。世界遺産の日光東照宮、自然の中禅寺湖、華厳の滝など東武が最も力を入れている観光地と言える。

日光東照宮の眠り猫。
東武日光駅はバスの拠点で観光客でかなり賑わってる。
100系のスペーシア。東武日光から栃木まで利用。新旧を楽しむ。
今は使われなくなった売店・軽食のビュッフェ。
こちらがJRの日光駅。今では東武日光駅が遠距離の拠点になっているけれども、貴賓室なども備える大正時代から残るレトロな駅舎がかっこいい。
華厳の滝。特急けごんの名前の由来。気になったのは駅の中国語案内では「特急華厳」と表記してたのに、アナウンスでは中国語でも「kegon」と日本語読みしてたの混乱しそう。

下今市駅から分岐するのが鬼怒川線。名前の通り温泉地の鬼怒川温泉への観光需要が多い路線。鬼怒川温泉は関東有数の温泉地で、東京からのアクセスがいいことで特に高度経済成長期以降に会社の団体旅行ブームで開発されたものの、時代の流れで団体旅行が下火になり、バブル崩壊で大型温泉旅館がいくつも廃業し解体費用も捻出できないまま廃墟として放置されている様がかなり独特の雰囲気。直近は家族や少人数での旅行客に転換して活気は取り戻しているとは言え、廃ホテルは治安や崩落リスクなどあり看過できない状況。部外者なので勝手なことを言うと逆に観光資源にできると思うんだけども、安全性考えると結局金がかかるし大変ですね。

普通列車は基本的に南栗橋止まり。日比谷線などにも直通していた5ドアの名残が見える。
鬼怒川温泉の廃墟。旧鬼怒川温泉駅があった駅前だけどもバブル夢の跡。
安近で飾らない温泉街で人気再燃?

鬼怒川線は新藤原駅から第三セクターの野岩鉄道が接続し、会津方面まで抜けられる。こちらがそれ。

大分戻って新栃木駅で分岐した東武宇都宮線は、県庁所在地で北関東最大都市の宇都宮まで至る路線。東武宇都宮駅はJR宇都宮駅とは2kmくらい離れていて、東武宇都宮駅の方が宇都宮市の中心街の真ん中にある。ただ、新幹線やJR宇都宮線が乗り入れる宇都宮駅の方が駅の規模は圧倒的に大きく、東武宇都宮駅には特急は乗り入れず普通列車が昼間30分に1本くるだけにとどまっていて、あくまで宇都宮都市圏需要のための路線。東武宇都宮駅は駅ビルに東武宇都宮百貨店がある。どうも池袋にある東武百貨店とは別会社扱いで同じブランドを名乗っている形で、東武百貨店は宇都宮店が最も歴史が古いらしい。

宇都宮線が分岐する駅。この辺はとちおとめ全振り。
東武宇都宮駅は私鉄ターミナル然としたデパート内にある。
北関東の県庁所在地都市に取り入れる私鉄では最多の利用者数を誇る。
ここでも20400系。

途中の主要駅は壬生町の中心駅の壬生駅など。壬生町も宇都宮都市圏の主要都市の1つで、工場などが多数立地する。面白いのはおもちゃのまち駅で、バンダイやトミーの工場が進出したことで町名までおもちゃのまちになったユニーク地名となっている。

おもちゃのまち駅。

東武線全部乗る第一弾はこちら↓

足尾銅山の話はこちら↓

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