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千葉の顔 千葉都市モノレール


千葉県の県庁所在地の千葉市の中心部を走るのが千葉都市モノレール。高度経済成長期に沿岸部の開発、郊外の宅地化、自家用車の普及で渋滞が問題になっていたところに計画されたのが都市内交通。

地下鉄とかの案もあったけどモノレールとして1976年に計画が策定、1979年には千葉県・千葉市・地元企業の出資で千葉都市モノレール株式会社を設立し認可取得と建設を開始、1988年最初の区間である千城台からスポーツセンターの区間が開業、1993年にはスポーツセンターから千葉駅、1995年には千葉みなと駅、1999年に千葉駅から県庁前の区間が開通し今の形になった。

メインとなる2号線の千葉みなとから千城台が13.5kmで最短29分ほどで結んでいる。本数が多いのは千葉みなと~千葉間で1号線と2号線が乗り入れる。メインとなる千葉~千城台方面がラッシュ時最大10本/時(一部動物公園折り返し)、平日昼間と休日は12分に1本サイクル。県庁前方面はほぼ終日15分に1本のサイクル。全線複線で、動物公園駅に車庫があるため千葉駅以外で唯一2面4線ある。

基本的に千葉みなとと千葉駅の区間は双方向から乗り入れる形、千葉から県庁前の区間は京成線の千葉中央駅や、内房線・外房線の本千葉駅も近い。
千葉駅は2面4線で同一方向が対面乗り換えができる。
休日の昼間だけども特に千葉から千城台方面はなかなかの混雑。

これは全国地方都市の都市内交通共通の問題だけど元々の計画よりも利用者が伸び悩み、初期投資の償却費と借入金返済による赤字が慢性化、軌道や駅などの資産と借入金を千葉市が肩代わりすることで黒字経営化(?)を実現させ、現在は株式の約93%を千葉市が保有する市営交通機関として営業されている。年間利用者はコロナ前でも1900万人と、川崎市営バスが年間3500万人を輸送していることを考えると、2路線で小規模ながら定時制にも優れ環境負荷が低い乗り物として存在意義は見出せていると思う。

1号線の県庁前から南へ延伸し市立病院方面や、穴川駅から環状路線として稲毛方面への延伸構想もあったようだけど今はすべて白紙状態。

千葉都市モノレールの珍しいポイントは、日本では4例しかない懸垂式モノレールの一つという点。4例のうち上野公園と広島のスカイレールは短距離でアトラクション感が強く廃止が決定しているし、残る2例が湘南モノレールと千葉都市モノレールで、いずれもサフェージュ式モノレールとなっている。サフェージュ式というのは箱型レールを使う様式で、千葉都市モノレールは全長15.2kmは懸垂式モノレールの世界最長路線でギネス世界記録に認定されている。

懸垂式なので真下の車がこんな風に見える。
千葉駅のそごう名物。

ただ、そもそもがこの懸垂式モノレールが技術的にコスパが悪く、モノレールなら跨座式モノレールがメジャーで東京モノレールや大阪モノレール、北九州モノレール、多摩都市モノレールや沖縄のゆいレールなども跨座式。そもそもモノレール自体がヨーロッパで生まれ日本にとって高度経済成長時代においての未来の乗り物感から脱せておらず、アトラクションやニュータウンに作られたモノレールは老朽化で更新されないまま廃止されている。世界的に見ても今の時代はバスも進化してるし、長距離・大規模輸送に優位な他の交通システムが採用される例が多いため新興国にモノレールが少ない理由でもある。

サフェージュ式はフランスの企業群が開発した様式。日本では三菱重工業が手掛けていて、湘南モノレールも三菱重工業製。三菱重工業のWEBサイトを見てもあまりPRしておらず、導入事例でもアジア向けは普通の電車がメインだった。

千葉市という圧倒的に地味な政令指定都の中心駅においてこの千葉都市モノレールは一つの顔になるので末永く残って欲しいと思う。

千葉駅南側の中央口
手前から京成千葉線、内房線・外房線、奥が総武本線を跨ぐようにモノレールがある。
千葉駅からは1号線と2号線が並走する、外側が県庁前方面へ行く1号線、内側が千城台方面の2号線。
モノレールの並走は日本ではここだけ。
千葉駅の隣の千葉公園。千葉市の花の大賀ハスも見られる都市自然公園。
京葉道路穴川IC
スポーツセンター。夏の甲子園の予選やってました。
千葉市動物公園は立つレッサーパンダの風太くんで一世を風靡した。風太くんは2023年7月に20歳を迎え冒頭写真のように記念ヘッドマークも用意されている。人間なら80歳越えともう2本足で立てないんだって。
都賀駅は開通当初からJR総武本線への乗換駅で、総武本線を跨ぐ。
千城台、The造成宅地。駅と商業施設と戸建て住宅地が広がる。
県庁前駅は文字通り県庁前。
市役所前駅は文字通り市役所前。
千葉みなと駅は京葉線の駅。千葉駅から千葉みなとはJR線だと蘇我駅を経由して大回りになるので、千葉市臨海部を直線的に結ぶモノレールの存在価値は大きい。
平成センス
中々欲張りな千葉都市モノレール概念地図。

今回利用したのは「ホリデーフリーきっぷ」。大人630円で土日祝日に利用できる1日全線乗り放題券で、千葉駅~動物公園まで片道340円なので往復で元が取れるなかなかのお得度合いかと。完乗にも最適。



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