中国から一番遠い中国 新疆ウイグル自治区 カシュガル

カシュガルは中国最西端の新疆ウイグル自治区の最西端の都市。空路では北京から直行便でも5時間半、列車だと乗り継ぎで50時間かかる。新疆ウイグル自治区の省都ウルムチからでも1400kmも西なので、中国主要都市で最もウイグル色が強いところ。中国旅行が解放された直後から、中国旅行者の中でも憧れの地として注目されていた。中国34の省・自治区・直轄市の32を制覇してる私でも初訪問。Kashgarの中国語の音訳「喀什噶尔(カーシーガーアル)」を省略されて、「喀什(カーシー)」が正式名称。

画像2

この記事でも書いた通りキルギスへ向かう起点のため訪問しました。

カシュガルはシルクロード最初期からの主要都市で、イスラム化を経て、清王朝の時代に征服されてからは中国となった。見どころはウイグル人が育んできたシルクロード・イスラム文化。モスク、バザール、旧市街と一通りある。2019年現在の印象を包み隠さず言えば、中国化と観光地化が著しく雰囲気がどんどん壊されて行っているさなか。

エティガールモスク 艾提尕尔清真寺

カシュガルの中心部にある中国最大級、新疆ウイグル自治区最大の中央アジア風モスク(イスラム教寺院)。15世紀創建で西方のペルシャ系の流れを感じる。内部は地味ながら広い庭を囲うように礼拝区画がある。装飾は少なめで木とレンガを併用しているのは中央アジアではあまり見ない様式。中央アジアやイランのモスクに慣れてると地味目(もともとは装飾がもっとあった)。ウイグル人の拠り所になることを防ぐため、礼拝のための一般利用はされていないので人は少ない。

画像3

画像4

画像5

旧市街・カシュガル古城

旧市街は赤土づくりの入り組んだ街並み。一般人が生活している。裏路地は基本的に住宅街で、メインストリートにはお店がある。

画像5

画像6

旧市街に隣接して高台にあるのがカシュガル古城(中世時代の中心地)。その周辺も観光地にすべくリニューアルしている最中。一大テーマパークにしようとしていて、中国にありがちな大型施設や公園を整備しているところ。詳しくは書かないけど、中国中央(共産党)的には民族問題は漢人資本で薄めることが行動指針なので。

画像27

画像28

アパク ホージャ墓 阿帕克和卓麻扎

15世紀以降のカシュガル地域の指導者一族の墓群。一番大きい宮殿造りの廟が17世紀末に作られたアパク ホージャ墓。内部はドーム、外観はタイル装飾が残っていてこれはなかなか趣がある。墓の入り口は19世紀に作られたモスクで、青タイルの装飾がかなり中央アジア色の強いデザイン。

画像20

画像21

画像22

バザール・家畜市場

元をたどれば交易のための市場、小さい個人店が集結した施設をペルシャ語でバザールという。エリアごとに絨毯とか織物とか金属工芸品とかスパイスとか分けられていて、現代では電化製品とかも普通にある。お土産を買う場所って感じではないかな・・・。まぁ世界中にこういう市場はあるよね。

画像18

画像19

画像17

中心部からだいぶ離れるけど北西部に家畜市場もある。羊やヤギなどの家畜は身近な存在。ネットで見た感じ家畜の取引は限られた日にしかやっていない様子。

画像24

画像13

画像14

周辺を少しぶらぶらしてみるとまさに農村地区。

画像15

人民広場とプロパガンダ

これぞ中華人民共和国。沿岸部の大都市はどんどん経済発展して生活も日本や欧米に近くなってるけど、内陸の田舎にはまだまだ共産党が農奴を解放、貧困から救ったというようなストーリーがあり、さらにここは征服地であることを物語っている。現地民には申し訳ないけど、これも中国がいかに異質であるかを物語る象徴なのよね。

画像8

カシュガルの食

当たり前だけどイスラム教なので豚料理はないし酒も飲まない(漢人地区なら普通に食うし、酒も普通に売ってる)。ただ中国式に辛くする味付けが多いくて、それが中東のイスラム圏料理とは違い日本人がなじめる味。

画像12

とにかく羊天国。日本だと最近ラム肉はやり始めて、臭みが少ないだの脂が云々とかいうけど、羊とはこのにおいでありこの味なんだよね。小田空氏もエッセイで書いてたけど、本当に体臭が変わると思う。

画像23

羊肉の串焼きもいいけど、個人的にはラグ麵こそ至高だと思う。特に新疆ウイグル自治区のラグ麺は中華テイストが入っているのでより好き。

画像16

あとは季節もあってこの時はあまり大々的に売ってる感じではないけど、新疆が誇る2大フルーツが馬乳葡萄と哈密瓜(哈密メロン)。葡萄は種無しで皮ごと食べられる馬の乳のような形から「马奶」という名前の付いた種類。ちゃんと甘くて硬めの触感。特に新疆のトルファンが一大産地、高温・超乾燥の気候で作る干しブドウは甘さが凝縮されシルクロード時代から珍重された。もう一つは哈密瓜、中国旅行した人ならくしに刺さった細長いオレンジのメロン見たことあると思うけど、あれ。名前の通り新疆の哈密(ハミ)というところが名産地。日本のメロンよりさっぱりしててスイカの中間みたいな触感。とにかく安くて中国中どこでも売ってる。こっちは中国の中級ホテルの朝食バイキングにはかなりの確率である。

画像25

画像26


中国化する町

ここで取り上げたようなところはウイグル人地区と呼ばれるエリア。ウイグル語(アラビア文字)と漢字が併記されていて、独特の雰囲気もある。ただカシュガル市の多くは漢人と資本の流入がどんどん流入して、ただの中国の地方都市になってる。

画像10

画像9

ちなみに町中監視カメラと公安だらけ。世界的にたたかれているように中国共産党はウイグル人を抑圧する政策をとっているのは事実としか言えないと思う。一方で過激派によるテロが多発したのも事実で、表向きは不穏分子の監視という建前。

画像11

この地はそもそも政教分離が絶対の中国共産党と、異民族でイスラム教の教えを優先したいウイグル人がうまくいくはずもなく、中国共産党が一番恐れているのは独立であることは言うまでもなくプロパガンダや同化政策に余念がない。国防や資源の面からも不幸になることが約束されてるのよね。これに関しては問題提起はするけど何も述べません。

画像11

まとめ

観光地として映えるかは疑問だし、華やかさも無いし何が面白いっていうとそんなにないけど、中国だけど中国から一番遠い町。今行かないと普通に観光できなくなるかもしれない。

普通の中国に飽きたモノ好きの流れつく先ではもったいない。ウイグル問題が注目されているからこそ見てほしい今の現実を紹介になればいいなと思い書きました。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?