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劇場版おっさんずラブ、感想を書きたいのに文字数が足りないの巻

先日見てきました。そろそろ還暦の母と。すごい。なにこれ。あと3回は見たい。でも頻繁に行けるわけでもないからロングラン上映してほしい。そうだ、映画の感想を書こう。いろんな人にアピールできるよう、Yahoo!映画とかに。

そう思って書き始めたのに、5000文字を軽く突破し、投稿制限文字を超えて投稿できなくなってしまった。これでも書いてるうちに「終わらないな」と思って途中で締めたというのに……!

そんなわけで、過去作ったまま放置していたnoteがあったのでここに書くことにした。

映画を見るまでは、事前情報やPR映像で
「なんで爆発すんねん」
「狸穴とジャスティスってまた横恋慕風にして波風立たせるやつか?」
「ドラマの繰り返しはしないでほしい」
って思ってました。二人が一緒に暮らして恋人であれば満足なのだ。辛い展開はいらないんだ。春田と牧はもちろんどの登場人物にも幸せになって欲しいので、あのメンバーそのままで不動産のお仕事ドラマとしてまた再スタートしないかな……って思ってました。

そんなわけで、期待と不安でいっぱいの中、映画を見ました。

お見それしました……脱帽です。

何の心配もいらなかった。この制作陣にまかせておけば、すてきなキャスト達がのびのびと活躍してくれて、それがとっても良い映像にできあがるのです。
爆笑もののラブコメでありながら、人生を共に歩むことを考える登場人物達のなんと愛おしいことよ。


コメディの面を取り除きシリアスな恋愛の側面だけを見ると、ドラマの春田は恋に無自覚なまま牧に惹かれ、そして結ばれるところで終了しました。なので、牧ばっかり頑張っているように見えたし、春田は鈍いし、その結果春田も傷つき牧も傷つく、という展開がありましたし、その結果部長や武川さんたちも振り回されてしまっている、という印象でした。
映画はその繰り返しじゃないといいのだけどなあ。

そう思っていた私の想像のはるか上空をいっていました。
冒頭から最後まで。指輪を買っちゃったあたりで確信しました。すごい。もう春田のなかでドラマの時点と感情が違う。愛が育ってる。

春田、牧のこと大好きじゃん!
二人とも、めっちゃ恋人やってんじゃん!!

やはり盛り上がりどころのお約束ですから、すれちがったりはしますが、それはお互いのことを大好きだという前提のもとなのです。
ドラマの後、春田が海外赴任を頑張っている間にも二人の時間は進んでいたと判るのです。


春田と牧、二人の恋人関係が明らかに進展している

アクションシーンとかはもうあれはギャグなのでいいんです。

それよりも指輪です。指輪。エターナルラブとかいいながら指輪買っちゃうんだぁ……?春田ってば極自然に恋人に指輪を贈る男じゃん……。

女物だし牧の好みかな……?っていう疑問は沸くしそんなところがマジ春田……ですが、あんな大粒の石が付いたきっと高いものをぽんと買ってしまう程度には春田は牧が大好きなわけです。なにより、エターナル・ラブですよ。永遠の愛。この言葉を捧げたい、その象徴である指輪をためらいもなく買ってしまう……!春田の恋の矢印がでっかい。すごい。


裸で別の男を連れ込んでいるという誤解をまねきまくるシーンでも、焦ってはいるものの「わー!牧だ!牧がいる!牧牧牧牧!」っていう喜びと「誤解しないで!?何にもないから!!」っていう嫌われたくない必死さがよく分かって、田中圭めっちゃ演技うめぇじゃん……ってなったといいますか……。何アレマジで恋人じゃん……。
牧も多分、なにもないってのはわかってるんだなっていうのがわかる態度でした。それでも他の男を裸でベッドにいれるというその状況に拗ねて怒って帰ったのです。ニーハオとかって浮かれてんのに、ショックはショックだろうけれど、絶望しない。ぷんすかして話なんて聞かずに「はいはいわかりました」って即帰っちゃうくらいのことをしても、「別れる」とかにならないのがわかっているレベルには春田に好かれているのを確信している。
それが許される二人、これは心身ともに恋人として、離れていても遊びに行ったり日本に帰ったりして愛を育んできたんだなぁ~ってわかっちゃいますよね……。
ここでもう私安心してしまった。映画はきっと愛し合ってる二人を前提とした話なのだと。
そしてそれは最後まで裏切られることはありませんでした。どれだけ揉めたって、すれ違ったって、二人のベクトルは向き合っていた……。
ラブじゃないシーンってありました?っていうくらいだった……。え?世のおっさんずラブファンの間ではいちゃいちゃラブラブが足りないって?うっそ。いちゃついてたじゃん。

行間から愛を読み取れる映画

例えばきんぴらごぼうラブシーン。

は?きんぴらごぼう??ってなる未視聴の人は今すぐブラウザバックしてまず映画を見て!!!!って感じなんですがまあここまで読む人はもう観てる人でしょう。外なのに春田はキスを期待してましたよね。あの春田が!ドラマでは外でくっつくなっていってた春田が!でもあのシーン、恋愛対象として見ているから、という見方もできますよね。普通の友人にしか見えないでしょうよ……。って当時の私は牧に同情的でしたが、一方映画では完全に出来上がった二人の空気はどう見ても友人ではありませんでしたね……。すごい。気持ちが通じ合うだけでこんなに違う。そしてそれを表現できる役者魂よ……!

髪の毛にきんぴらごぼう、いもけんぴのやつかよ!

……って思わず笑っちゃったんですが、ラブラブシーンすぎましたよね……指で相手のお口に押し込んじゃうんだ……ひょえ……えっちじゃん……。ネクタイを掴んで顔を寄せる、触る、意味深な動きで親密さとか極めてプライベートなラインを匂わせてくる。どきどきしちゃってるのがめっちゃ伝わってくる春田のまんざらでもない顔はほんとリアリティありすぎでしたし、魔性の年下彼氏林遣都まじ天才か……ってなりましたし、春田が結局食べなかったきんぴらごぼう、それを自分の口に……!?!?食べた!!!!!(目がまん丸になった。隣で母が動揺していたのを感じた)役者すげえ……ってなりましたよね……。シーンぼかしてあったしあれはアドリブなのでは?って思ったんだけど実はこれ台本ですか????だったら徳尾さんが天才すぎる。どうなんだ。気になる。シナリオブック今アマゾンでぽちろうと思ったら値段高騰してやんの。転売屋にLOVEはない。今すぐDEADしろ。本屋さんでお願いすることにします。入るのかわからないけど。いやもうほんとさぁ……普通他人の口につっこんだもの食わないっすわ……いくら友達で仲良しでもしないっすわ……。恋人以上の関係でなけりゃしないですよ……。プロってすごい。

他にもサウナとか炎上シーンでの二人とか花火シーンとかジャスティスめっちゃいいとかめちゃめちゃいっぱい語りたいとこあるんですけど、ちょっと疲れてきたのでこの記事はそろそろ切り上げます。会社の昼休み費やしてたのに終わらず、家に帰っても書いている……。追記してたり新たに記事書いてたら笑ってください。あと3回は見たい……って呟いちゃう程度には大満足でした。
もっと二人のラブラブ見たかった、ストーリー展開に粗があるとかの意見も有るようですが、私は全く気になりませんでした。

この映画、私にとっては人間関係を楽しむ映画です。爆発とか麻薬とかはおもしろおかしい彩りの一つで、ここまで人の気持ちの行間を読ませるラブコメ映画ってなかなかないなあって思いました。こんなに大好きって気持ちが伝わる演技、なかなかないよ……。
一つ一つ、このシーンのここが!って説明したいくらいです。

現代社会の理想の恋人

牧も春田も、「牧」と「春田」として恋人なのだなあと。いわゆるBLって役割が別れてるじゃないですか。部長がオトメンなのと対照的に、フラットにそのまま求めてる感じ。
ちょっと話がずれますが、母と感想を言いあっていたとき、部長の「だお」や「編み物」や「ローマの休日」とか「あからさまに恋人らしいハートマークやかわいいものが好き」が話題に上がりました。

母曰く「部長は私の時代のちょいブリッ子、女の子らしい女の子なアイドルが理想なんだな」という結論になりました。彼は頼りになる社会人で上司である男性的部分の他にそういう昔ながらの乙女心を持っていて、そこを満たしてくれるのが春田だったのかなあ。男らしい部長に跪いて、靴を履かせてくれる。まさにシンデレラの王子さま。春田たちやアラサーである私よりかなり上の世代の女性基準の表現だったので、どうにもこうにもおかしさが先に立ってしまっていたけれど、面白くなってしまうっていうのも、ある意味で切ない話だなってなんだかしみじみしました。

一方春田と牧は固定されているんじゃなくて、片方が弱ってたら片方が支えるし、その逆にもなるのだなあって、肉体的にも精神的にも必要な時に凸凹が噛みあったりひっくりかえったりしているんだなって、この二人だからこその唯一無二の一生のパートナーなのだなっていうのが、この映画でとてもよく分かりました。

適切な表現ではないかもしれませんが、母の言葉をそのまま載せます。

「牧くんが女の子っぽいな、って思ったら、春田のほうが女の子っぽくなるシーンもあるし、男の子だなあって思うときも同じで、役割が入れ替わる感じがした」

部長のように女性的な求め方をするゲイの方もいらっしゃいますし、男性的な求め方をするゲイの方もいらっしゃいますし、異性間も同じくです。社会から見た男性性、女性性のあり方をぼんやり考えてみたりして。
とても絶妙なバランスで、二人の力関係を描いているなあと思います。どっちがヒロイン枠なのか、で揉めるという話題を見ますが、映画で確信いたしました。二人とも、ヒーロー枠でありヒロイン枠です。しいていえば、映画全体でのヒロインは部長です。とても格好いい大人の男性だけれど。

人の愛の形は人それぞれ。何が正しいとかではないけれど、本気でフラットに対等なパートナーを描くって、とっても今の時勢を反映しているなって思いました。女性から見ても男性から見てもそうなってみたいいまどきの理想のカップルでは?一部のアスリートなどを除いて、女性が男性を筋力的に支えるのはなかなか難しいですが、精神的にも、社会的にも、経済的にも、家事や家庭でも、同じように得意不得意を補いつつ支え合えたらなあ。なんだかとっても羨ましくなってしまった。特に牧くん。だって、春田帰国後の牧くんって、結婚前のキャリアウーマンそのものじゃありませんでした……?

だってこうでしょ。

大好きな恋人と同棲中。キャリアアップがかかった仕事中に彼が結婚について持ち出してきた。嬉しいけれど、今はそれどころじゃない。今は何を置いても仕事がしたいのに、手間を増やしてくる彼氏。頑張って作ってくれた彼のごはんを喜べない。ああ、散らかった台所、これ、片づけるの私なんだよね……ご飯作るなら片付けまでやれって言って揉めるのもイヤ、喧嘩はしたくない。彼の母親と結婚の挨拶どうこうとかに割ける気力もない。とりあえず距離を置こう。

わかる~~~~~~~~(力いっぱい)

私は子どもができる体で生まれた分、どうしても仕事で諦めることってでてしまう。子どもを産んで育てなきゃ、家で家事をしなきゃってなるし、相手もそれを望むから、単身赴任で仕事をしたいと思っても、高齢出産になるのもつらいからそっちを優先して、しかしそれってキャリアアップの時期でもあって、ああ……。しかし、望んでも子どもができない人にはきっと過ぎた悩みでもあって。隣の芝生は青いというのはまさにこのこと。なんとかならないのかしら、これって。

春田と牧のはなしばかりになりましたが、狸穴さん、ジャスティスくんも最高でございましたし、大好きになりました。もちろんドラマ続投メンバーの安定感はほんとに良かった。

そして、武川さん、今度こそ報われてください・・・!!
ラストまさかの脚ドン、そしてkinki kids。リアルタイムだと武川さん高校生くらいかしら。牧くんと部長だと年齢も見た目もタイプ違うし、守備範囲ひっろいな!?って思ってたら母が(映画終わっての第一声が「このままもう一回見たい」の人)「お仕事出来る、一途で一生懸命な人が好きなんじゃない?」になるほどと目からうろこでございました。

「私とあんたでは年代が違うから、見るところも変わるのねえ。感想がおもしろいわ」

そう言った母は上映が終わったその場で言いました。「このままもう一回見たい」


あーおもしろかった!!!






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