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楽曲を大切に扱う姿勢 ~【櫻坂46】秋元さんの歌詞集を読んで~

先日、幻冬舎から発売された秋元さんの自選歌詞集「こんなに美しい月の夜を君は知らない」の売れ行きが、なかなか好調なようである。
既に重版されることが決まっており、坂道グループに対する世間から関心が高いことがわかる。

三坂道の中から、46曲が選ばれているのだが、楽曲数はグループごとに異なっている。

      選出数 (歌詞集での割合)
乃木坂46・・・・・・21曲・・・(45.7%)
欅坂46 ・・・・・・17曲・・・(37%)
けやき坂46・・・・・5曲・・・(10.9%)
日向坂46・・・・・・・3曲・・・(6.5%)

乃木坂46の選出数が多いのは、10年という歴史から、当然の結果であろう。
しかし、この選出数をグループごとの全楽曲数との割合で見ると、少し様子が変わってくる。

      選出数 (全楽曲数)(割合)
乃木坂46・・・・・・21曲・・・(235曲)・・・ 8.9%
欅坂46 ・・・・・・17曲・・・( 62曲)・・・27.4%
けやき坂46・・・・・5曲・・・( 30曲)・・・16.7%
日向坂46・・・・・・・3曲・・・( 44曲)・・・ 6.8%

圧倒的に、「欅坂46」の楽曲が選ばれているのだ。
奇しくも、以前から指原さんが言っている「なんで、櫻坂46(欅坂46)の曲はいいんですか?」という疑問クレーム?を証明した形となってしまっているのが興味深い。

これは、欅坂46時代から、与えられた楽曲を大切にし、その中にあるメッセージを体現し届けることに、全身全霊をかけて取り組んできたことが、このような良曲を引き寄せる要因となっているからに他ならない。

3月2日の深夜「佐久間宣行のオールナイトニッポンZERO」に、秋元さんがゲスト出演した際も、次のような話をしている。

やっぱりね(中略)「プロデュース」って、「ゼロ」を「1」にすることは出来ないんだよね。「『0.1』(その人の中に)何があるか」じゃない?
(中略)
僕がシンガーソングライターだったら、自分が歌いたいものを作るけど、あくまで、この人が歌うんだったら「どういう歌がいいか」という作り方をするから、その人達から発するよね。

「佐久間宣行のオールナイトニッポンZERO」2022年3月2日より(一部加筆)

これは、欅坂46という存在が、秋元さんにとって、印象に残るような歌詞を書かせてしまう存在であることを示していると言えるだろう。
この番組の中では、秋元さんが遭遇したほんの些細なことが、作詞のきっかけとなっていることも話してくれている。
そこで、肝になる「一行」を見つけることが出来れば、イメージはいくらでも転がっていくそうだ。

櫻坂46となってからは、まだ、そのような「瞬間」に遭遇していないのかもしれない。
それでも、欅坂46時代から、培った「楽曲(特に歌詞)を大切にする姿勢」は、今もなお続いている。
秋元さんが、自選歌詞集のプロモーションとして、3月2日、ニッポン放送を1日ジャックしていたので、当然、「乃木坂46のオールナイトニッポン」にも出演していた。そこでは、新内さんから引き継ぐ形で、久保さんがパーソナリティーをしている。
当日は、乃木坂46の新曲「Actually…」のカップリング曲「価値あるもの」が初解禁されたのだが、そこで、秋元さんが新曲について、久保さんに「一番聴いてほしいところはどこですか」と尋ねる場面があった。
その時の久保さんは、歌詞や楽曲のことではなく、「メンバーのソロが聞こえる楽曲であり、後半の一人ずつ繋いでいくところが個人的に好きです」という話をしている。これは、楽曲自体よりも、自分たちの歌い方やパフォーマンスに重きを置いた感想と言えるだろう。
その回答自体は、少しも間違っていないのだが、秋元さんが期待していた答えではなかったようだ。明らかにトーンダウンしているのが、声からでも分かるくらいであった。
その点、櫻坂46のメンバーは、新曲の話をする時に、楽曲や歌詞の感想を言う場合が多い。あくまでも、楽曲優先の姿勢を貫いているのが、櫻坂46なのだ。

作詞家や作曲家も、所詮「人」である。
自分たちの仕事に対して、嬉しいリアクションをしてくれる相手には、次も良い仕事をしようと思うのは当然だろう。
心血を注いで作った歌詞や曲を、全身全霊をかけて、より素晴らしくしようと日々精進している人たちのパフォーマンスに、感謝し感動してしまうのは、人として当たり前の反応である。

4枚目シングル「五月雨よ」が、「どのような花を咲かせているのか」まだ全貌は分からない。
しかし、それが明らかとなる日は、もうすぐそこまで近づいてきている。






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