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2023年10月 肘折温泉

昨年、冬と秋、2度プチ湯治で泊まった山形県北部の肘折温泉。今回は信州在住の温泉好きご夫妻をお誘いして出かけた。現地集合。
柏の我が家からは、常磐道、磐越道、東北道、山形道と走り、山形市内でイタリアンランチ。

山形蔵王PAでトイレ休憩。このあたりまでは青空。山形道に入ると、激しい雨が降り始めた。
山形のラ・ベレッツァ。パスタランチセットにすると、たっぷりの前菜、スープ、メインはこの店の人気メニュー、エビのトマトクリーム。濃厚なソースが美味しかった。デザートとコーヒーも楽しめて、満腹なり。

山形市から北上して、村山市のコーヒー焙煎所、NISHIへ。昨年秋にも寄った。美味しいコーヒー豆を安く買うことが出来る。店内で1杯ずつ飲んで、ブラジルを200g。老人割引きで50円引き。いいね。

ばいせんはうすNISHI。ご自宅脇の小さなお店。コーヒーのいい香りが店内一杯に。

大石田から最上川沿いに大蔵村へ。時折、ビビるほどの豪雨。山道で前がよく見えなくなるほど。安全運転で行きましょう。
肘折温泉、馴染みの宿木村屋旅館に到着したのは15時前。知人夫妻はまだ到着されていなかった。案内された部屋は、梅の間。夕食を一緒に会食できるようにと、広いお部屋だった。

肘折温泉街の一番奥に立つ木村旅館。
窓の外、下を見下ろせば、大きなコイが泳ぐ池があった。

しばらくして、知人に電話してみると、今、温泉街の入口とのこと。一番奥まで入ってきて下さいと伝え、宿の前へ出てお出迎え。日本海沿いに走ってきたそうで、海岸では大波が道路を洗うほどだったそう。おまけに大蔵村への山道が車がすれ違えない細い山道だったそうで、ご苦労様でした。宿のご主人に館内の説明をしつつ、部屋へと案内してもらった。夕食まではとりあえず自由行動ということに。
雨が小止みになったのを見て、カネヤマ商店へ飲物の買い出しに出た。これまでは日本酒は地元大蔵村の花羽陽をもっぱら飲んでいたが、南陽市の天弓という銘柄の桜雨という純米吟醸酒がよさげなので買ってみた。後で調べると、いろいろなコンテストで入賞している有名酒だった。

宿の隣は村営バスの始発駅兼駐車場。

温泉は、2階の大浴場が女性用になっていたので、1階の中浴場へ。大浴場と同じく、男が入る時は男の暖簾をかけて戸を閉める。出る時は戸を開けておく。男の暖簾が出ていて戸が閉まっている時は、男は入ってもいいというルール。が、1階の浴室はあまり大きくないので、実質貸切になる。すぐ隣には一回り小さな文字通り貸切専用の浴室もある。館内には都合、3ヵ所の浴室。すべて源泉掛け流し。

1階の中浴場。時々、湯の華が浮かぶ。2階の大浴場より、お湯が少し濃いような気がして、ぼくはこのお風呂が一番好き。源泉はすべて同じ。高温のため加水しているが、循環はせずに掛け流し。
肘折温泉には10数本の源泉があり、各お宿がそれぞれ引湯し利用している。

夕食は知人夫妻と一緒に。ぼくは6月に信州のお宅に友人と一緒にお邪魔してるが、カミさんは久しぶりにお目にかかる。食事をしながら、お互いの近況話やらあれこれおしゃべり。旦那さんの方は、昔から食べるものには非常に気を遣っておられる。そのせいか、健康診断は悪いところはひとつもないそうだ。以前から、朝は朝食後にバナナと牛乳だった。が、最近になって牛乳は体に良くないからやめたとおっしゃる。そんなこんなで、あっという間に時間が経っていた。

1日目の夕食は料理の品数が少ないパターンで。持参した茹で落花生もおつまみにした。山菜も美味しいし、山形牛はさすがのお味。みそ汁のキノコも旨かった。
南陽市の東の麓酒造による天弓。桜雨は純米吟醸。香りよく、モダンな感じの味わい。
こちらは知人夫妻が持ってきて下さった佐久市の寒竹特別純米酒。米の旨味十分。

夜中はかなり激しく雨が降っていた。朝になっても降り止まなかったが、7時前になってようやく小降りになったので、皆で朝市へ行ってみた。

表へ出ると、なんと青空が広がった。さっきまで土砂降りだったのに。
雨でもちゃんと数軒の店が出ていた。この店先にジャバラ大根が並んでいたので、迷わず購入。500円。安い。4袋買ったためか、帰りがけにおばちゃんが、茹でた枝豆と小ナスの漬物を、持って行けと渡してくれた。
これがジャバラ大根。よそでは見たことがない。普通の切り干し大根と違って、大根を丸ごと1本、細切りにして乾燥させる。天日では乾燥しきれないので、ストーブを焚いて乾燥させるという。冬場に作るものなので、昨年11月に来た時はほとんど売り切れていた。
出店する人も少ないが、買いに来る客も少ない。寂しい風情。この後、まもなくまた雨が降り出した。

宿に戻って朝ご飯。

美味しい朝ご飯。漬物もすべて自家製。漬物の上にあるのは、シソ巻き。これもご飯によく合うのだ。

2階の大浴場。男風呂になっている時を見計らって。

暖簾が男湯で戸が閉まっていれば男性先客あり。よって男は入ってよし。
2階の大浴場。毎日朝9時半から湯を抜いてお掃除。昼頃にはお湯が溜まって入浴できる。そのせいか、こっちのお湯はさっぱりというかフレッシュな感じがする。
大浴場の湯口は、石で湯量の加減を調節できるようになっている。

午前中、ご主人のお話を聞かせてもらう機会を作っていただいた。他の温泉地と違って、ここ肘折温泉はデカイ宿はなく、どこも中規模から小規模の宿ばかり。ほとんどが廃業することなく、宿を続けている。こんな時代にあって大変貴重な、元気のいい温泉街なのだ。が、聞いてみれば、後継者問題はなかなか厳しい。ほとんどの宿は大きな借金がないから、よそで見かけるように借金のために廃業するということはないそうだが、跡継ぎ不在のために閉める宿が出てくる可能性はあるようだ。近隣の市町村には地域おこし協力隊で若い人が来てるが、大蔵村には現在はゼロ。若い人に来てもらって、この地を気に入って移住してきてほしいと切望している。温泉街には飲食店が少ないので、店をやってくれる人がいれば、行政も温泉街の人も後押しをしてくれるというが。やはりネックは冬。全国でも有数の豪雪地帯。雪下ろしのプロもいるほどだが、そうした人も高齢化で減っているという。マイナス要因の雪を逆手に取った雪を使ったお祭りもあるそうで、深い雪を6人1チームで、機械を使わずスコップなど人力だけで、3m以上の雪を掘ってその下の地面の土を一番早くとってきたら優勝。地面出し競争。全国からチーム参加があるという。木村屋旅館は、これまでは関東周辺のお客さんがほとんどだったそうだが、最近は関西方面からのお客さんも増えているそう。クチコミの威力かな。
貴重な時間をどうもありがとうございました。
さて、お昼前。カルデラ温泉館へ行ってからお昼ご飯を食べましょう。

黄金温泉を源泉とするカルデラ温泉館。宿で割引券をもらうと、大人500円で入れる。束の間の晴れ間。
飲泉所があり、炭酸泉を飲むことができる。
2種類の温泉の説明書き。

露天風呂もあり、時間によって男女入れ替え制。ちょうど男性タイムだったのでまずは露天風呂から。

肘折温泉と同じように茶色く濁ったお湯。湯温は低めでぼくは好みのタイプ。外の紅葉が赤く色づいていれば最高なのだがねえ。

男性タイムが終わって、女性陣と交代。内湯には冷たい炭酸泉で手と足の部分浴ができるになっている。温かい内湯と交互に浸かるといいようだ。常連さんがいたが、なんと秋田からはるばる通っているとのこと。秋田にも名湯はたくさんあるのに。でもここが一番なのだと。有料休憩所で一服して、また温泉に交互浴していくそうだ。そうそう、露天のお湯は濁っていたのに、内湯のお湯は透明だった。なぜだろう?
さて、お昼は数少ない店、そば処寿屋。

いつも繁盛している寿屋。
これは食べんとアカン。ざぶとん。一味と醤油を垂らしてくるくる丸めていただく。旨いのだ。
女性陣は冷たい鶏そば。男性陣はざるそば。ワサビではなく、一味を振って食べるのがこの店の流儀。
寿屋の目の前には銅山川。降り続く雨のためかなり増水していた。この川原へ奥様はスタスタ下りていって小石を拾い始めた。危ないよー、やめてください。聞く耳持たず。

午後はのんびり温泉三昧。ぼくは晴れ間をみつけて、肘折ダムの方へ散歩。

源泉公園の源泉噴出口。奥に見える肘折ダムは登録有形文化財。
源泉公園に咲いていた立派な菊の花。
水かさが増して濁流が流れる銅山川。ふだんは清らかな流れなのだが。

青空と思って油断すると、すぐにまた土砂降り。その繰り返し。無料券をもらって上の湯へ。

薬師神社石段の前に彫られた地蔵さま。
共同浴場、上の湯。
上の湯のお湯は地蔵様の足下から注がれている。

湯上がりは、カネヤマ商店でちょい吞み。店内一角にバーカウンターがあり、飲ませてもらえるのだ。

1杯500円。プッハー、うめえ。晴れていたのに、いきなり豪雨。少し収まるのを待ってから、宿に戻った。

さて、今夜の夕食はおかず多めのリッチプラン。

左上の鍋は、女将さんは運んできた時、芋煮鍋と言ったのだが、手違いがあったようで、ホタテやタラや豚肉が入った寄せ鍋。後で何度もごめんねと謝っておられた。揚げたての天ぷらには、今年はキノコが遅くて採れないと聞いたのに、今日もらった舞茸を入れておいたから、と。美味しかったなあ。右上は馬刺し。左中の小鉢はアカコゴメの炒め物。酒粕入りのキノコのみそ汁も旨かった。

お酒をいただきながらおしゃべりしていたら、今夜もあっという間に4時間ほど経っていた。後片付けの都合も考えずにごめんなさい。ご馳走様でした。
翌朝も雨の音。朝風呂を済ませて、雨が弱まる頃、朝市へ。今日は土曜日、3連休の初日。朝市の露店も昨日より多いし、お客さんも多い。

浴衣姿の人だけでなく、朝早くから車で来てる人もいた。
2つに割ったクルミ。ほじり出せばそのまま食べられる。ひとつ下さいと言ったら、2つ500円でいいからと押し売りされた。ま、いいか。
ここが滞在中何度も通うカネヤマ商店。酒だけでなく、土産物や日常必要な食品、日用品なども売っていて、言ってみればコンビニ。

さて、朝ご飯をいただいたら、精算して帰り支度。

この日の朝ご飯も美味しかった。玉子焼きはほんのり甘いタイプ。

宿の部屋に置いてある案内書きを参考までに。

温泉街周辺の案内図。
宿の説明。

知人夫妻とはここでお別れだが、奥様から素敵なものをいただいた。昨日、増水した川原で拾っておられた小石に、夕食後部屋に戻られてからペイントしたという。昔からいろいろな物を手造りされる方だったが。まさかお酒もそれなりに飲んだ後、そのようなことをしておられとは!ビックリしますねえ。

直径5センチ弱の小さな丸い石にかわいいペイント。凄いなあ。

雨が降りしきる中、お互いの車で出発。ぐるぐる回って登る肘折大橋の上で車を駐めて、窓を下げてお別れ。また次はどこかで。

大橋の上から雨に霞む肘折温泉街。
高速道路に入る前に、尾花沢の道の駅で最後の買い物。


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