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【漫画原作】「ハナバト!」1話-同意のない受精行為は犯罪です!-(創作大賞2023応募作品)

あらすじ

高校生の高橋一星(たかはしいっせい)は大の女嫌い。そんな彼がなぜか次々に花の精霊たちに好かれてしまう。精霊たちは本当の人間になるために彼に迫ってくる。人間になる方法は、「種」を与えられる(受精する)こと。一星をめぐり、日々バトルを繰り広げる花の精霊たちと、そんな彼女たちに振り回されながら、操を守る一星。
気になる人間の女の子、同じ柔道部員の小林青葉(こばやしあおば)に想いを寄せつつ、一星は女嫌いを克服し、本当に自分にふさわしい彼女を見つけることはできるのか…?



1話 『同意のない受精行為は犯罪です!』

「じゃーん」
いきなりスマホのエロ画像を見せられる一星(いっせい)
ギョッとする一星。「やめろよ!」
「お前ほんと女に興味ないのな」からかう高校生のクラスメート。

◯昼休みの教室。
高橋一星(たかはしいっせい)高校1年生。女嫌い。

一星のモノローグ(母親がひどい性格だった。魅力的な人だったようだが、ある日突然父親に飽きて、出て行ってしまった。現在は、父は母と離婚して、父親と一星の2人暮らし。)

◯廊下を歩く一星
一星(俺は父のような失敗はしない。女に騙されるものか。)
「女など…」さっき見せられた画像が頭をよぎる。
「まだまだ修行が足りない!」
廊下を走る一星。

◯放課後の柔道場。柔道に打ち込み雑念を消そうとする一星

「今日も一番だな、高橋」
女子柔道部員の青葉(あおば)だ。
ショートカットの髪で、あっさりしているが愛嬌のある顔立ちだ。

青葉「打ち込み用のベルトが切れちゃってさー。今度の日曜に買いに行こうと思うんだけど、高橋どこかいい店知ってる?」
一星「それならあの店がいいんじゃね?県道沿いに新しくできたスポーツ用品店。場所わからんのなら一緒に行こうか?俺もリストバンド買いてーし。」
青葉「おお!ありがとう!」

柔道の話で盛り上がる。
(青葉は女っ気がなく、友達のような存在)

◯「あ」と何かを思い出し、水道場のほうへ走っていく一星
一星「水やるの忘れてた。きのう取ってきた花」

◯コップに入ったツユクサ。
(回想)柔道場の入り口のコンクリートの隙間に生えていて、踏まれてしまいそうだったので一星が取ってきてコップに生けたものだ。

★お花図鑑★
ツユクサ…日本に古来から自生している鮮やかな青い小さい花。朝の通学路などで見かけることが多い。


◯水道場
「顔に似合わず可愛いとこあるよな、高橋~」からかう青葉
照れる一星
みずみずしいツユクサを見つめる。
(女は嫌いだけど、花は好きだ。花は大人しくていい。)

◯夕方。河川敷でジョギングする一星
(今度の日曜、青葉と買い物か~…ついでにメシとか誘ってみるか?)
青葉の顔を思い浮かべる。
(…俺、青葉のこと好きなのかな…?青葉は気軽に話せるし、でもそれは青葉が女っぽくないからかも…もし付き合うとかなって、女っぽくなってしまったら…?)

◯回想。
●母親は美しい人だったと思う。魅力的で気まぐれな人だった。父親は母親に心を奪われ、捨てられてからはもぬけの殻のようになってしまった。
一星(俺は父のようにはならない…!どんなに女が魅力的でも、心を惑わされてはいけない!)

◯河川敷
考え事をしながら走っていると、不意に足元に可憐な花が生えていることに気付く。
花を踏みそうになり転ぶ一星。

◯起き上がり、見てみると、オレンジ色のヒナゲシの花だった。

★お花図鑑★
ヒナゲシ…細い茎のわりに大きな華やかな花を咲かせる。英名はポピー。



◯花に話しかける一星
「大丈夫だったか?ごめんな~~~」
ヒナゲシの花を見つめて触れながら、一星は青葉のことを考えていた。
(青葉ともし付き合ったらどうなる?こんな風に触ったりとか…?)
頭を振る。雑念が絶えない。

◯一星の自宅。
(中古で父親が購入した一軒家。父は仕事で留守にすることが多く、一星はほぼ一人暮らしの生活を送っている。)
一星「夕飯どうすっかな~カップ麺でいいか…」

◯チャイムが鳴る。

ドアを開けると元気なオレンジ色の髪の女の子が微笑みながら一星に話しかける。
女の子「あの、種をいただけませんか?」

キョトンとする一星「何の種?」
女の子は微笑みながら答える。「あなたの種です」

沈黙。一星が言葉の意味を理解するのに時間がかかった。

女の子「いいですか?

青ざめる一星。(こわ!!!)
(なんか危ない風俗営業の人か!?)

◯一星はドアを閉めようとするが阻止される。

女の子「私、先程あなたが踏みそうになったヒナゲシです。とても優しくしていただいて…あなたが好きになりました。」

◯オレンジと黄色の煙に包まれ、姿を変えるヒナゲシ

そこには確かにオレンジ色のヒナゲシの花が揺れていた。

◯驚く一星。再び人間の女の子の姿になるヒナゲシ

ヒナゲシ「今は仮の姿ですが、好きになった人と結ばれ、種をいただければ本当の人間になれるのです。」

◯家に入り、一星を押し倒すヒナゲシ
「くださいますか…?」

一星(いい匂いがする、なんか眠くなってきた…?頭がボーッとして判断が、、、)
オレンジと黄色の煙に包まれ、意識が朦朧とする一星。
ヒナゲシが一星の服を脱がせようとしたその時

「お待ちください!」

別の女の子の声。玄関に青い髪の清楚な女の子が立っている。

「私はきのう柔道場の入り口で助けていただいたツユクサです。あなたに恋をしてしまいました」

ボーゼンとする一星
ツユクサを睨みつけるヒナゲシ「邪魔をしないで。種を与えてもらえるのは1人の精霊だけなんだから。」
「先に好きになったのは私です」ツユクサ
「先に話しかけたのは私よ」ヒナゲシ

「力で解決するしかないようね…」ツユクサがそう言うと

バトルが勃発。

殴る、蹴るのガチバトル。

◯水のカッターブーメランを使うツユクサ
ヒナゲシの頬に傷がつく。

ヒナゲシが手を掲げると、オレンジと黄色の煙が漂う。
煙に包まれると、眠ってしまいそうになるツユクサ。相手を眠らせる煙らしい。

「眠っている間に種をいただくわ!」とヒナゲシ

ツユクサ「眠るものかーーー!」
自分の腕を水のカッターで傷つけ、眠気を振り払うツユクサ。青ざめる一星

「もうやめてくれ!」怒鳴る一星

一星「2人とも、俺のことが好きなのか?種って…つまり…結婚?とか?したいのか?」

うなずく2人。

ため息をつく一星。
少し考え、
一星「すまん、2人のことは好きにはなれん!」 

ショックの2人。
ヒナゲシ「なぜですか…?」
ツユクサ「私たちが、本当の人間でないから…?」

一星「それもあるけど…今日知り合ったばかりだし。結婚とか、そういうのは、もっとちゃんとお互いの事を知ってから、するものだから…」

「なるほど!」
頷くヒナゲシツユクサ
「私たち、もっと人間のこと勉強します!一緒に暮らしながら、色々教えてください!」

●こうして奇妙な共同生活が始まった。

◯次の日の朝、目覚める一星
(夜這いには来なかったようだな…気になってあんまし眠れんかった…)
昨夜、共同生活をしていく上でのルールを決めた。

◯昨夜の回想。
一星「まず、眠っている時に襲うのは禁止。人間としてやっては駄目な行為です。もしやったら警察に逮捕されて、結婚できなくなります」
ふむふむ、と素直に頷くヒナゲシとツユクサ。
一星「あと、親父がたまに帰ってくるから、その時は姿を見せないでください。説明が面倒だから。」
「はーい!」元気に返事をする2人。

◯朝食のパンをかじりながら、父親の寝室で寝ることになった2人の様子を見にいく一星

◯部屋着が着崩れて、まだ2人は寝ている。顔を赤くする一星。
(俺はこの先、理性を保ってやっていけるのだろうか…)

◯2人は眠っているので起こさず学校へ行く一星。

◯放課後、柔道場へ行くと、水道場のコップには昨日と同じようにツユクサが生けてあった。
一星「あれ…?」
(ツユクサは家に来たのでは?)

◯「やっぱり学校に来てたのね、一星」
振り向くと、人間の姿のツユクサだ。コップのツユクサの花と、後ろで人間の姿をしているツユクサを交互に見て、首をかしげる一星

ツユクサ「私は、その1輪の花だけじゃないのよ。日本の国内の全てのツユクサが、私なの」

一星「よくわかんないけど、君がもし僕と…結婚して人間になったら、ツユクサの花はどうなるの?」

ツユクサ「また新しい精霊が生まれるだけよ」

一星(国内の全てのツユクサの精霊か…なんか責任重大な気がしてきた…)

青葉「高橋ー!あれ?その子だれ?」
柔道場へ部活にやってきた青葉。
一星「あ、えーと、家にホームステイに来てる外国の子なんだ」
青葉「ふーん…あ、日曜買い物よろしくな!」

ツユクサ「かいもの…?」一星と青葉を交互に見つめるツユクサ。

青葉「あ!よかったらその子も一緒に来る?えーと、名前は?」

青ざめる一星と、喜んで頷くツユクサ。
ツユクサ「ツユク…」
一星「あー ツユ、ツユだよな!」
青葉「よろしく、ツユ!」
青葉と2人でデートになると期待していたのに、がっかりの一星。

◯(ヒナゲシは夜まで寝ていた)

◯日曜。駅前で待ち合わせ。

青葉「遅いぞー高橋ー!あれ?もう1人のその子誰?」
ヒナゲシ「ヒナです!」
一星「実はもう1人ホームステイしてて、どうしても一緒に行きたいって…」

◯スポーツ用品店へ向かいながら、ツユクサはブツブツ小声で文句を言う。
(ここからツユクサ目線で物語進行。)
ツユクサ「なんでヒナゲシまで来るのよ?あなたは誘われてないんですからね!」
ヒナゲシ「ツユクサだけ一緒に買い物なんてずるい!しかし…あの女、一星のことが好きなのかな?」

青葉は一星と楽しそうに話をしている。
青葉「高橋、昨日の世界選手権見たか!?あの大外刈り、見事だったよな~~~!」

ツユクサ「恋愛の話はしてなさそうだけど…油断はできないですわね。少しでも恋愛フラグが立ちそうになったらへし折って行かないと」
共通の目的に紳士協定を結ぶヒナゲシツユクサ

◯買い物を済ませ、ファミレスでお茶を済ませ、街を歩く4人。

ヒナゲシ「なんかデートみたいだな~!」
顔を赤くする一星
ツユクサ「何言ってるの。部活の買い物でしょ。デートなんかじゃないわよ」
ヒナゲシ「え~いいじゃんデートで!あ~なんか疲れちゃったなあ~~ホテルで休憩したいなあ」
顔を赤くする一星と、怒りの顔のツユクサ。一方、青葉は…

青葉「結構歩いたからな~大丈夫か?ヒナちゃん!」

◯真剣な顔で辺りを見回す青葉。ラブホを見つける。
青葉「あ!ホテルあったよ!休憩OKって書いてある!ここで休もっか!」

◯3人が呆気に取られているうちに、ラブホテルへ IN。

◯ホテルの部屋の中
青葉「いや~最近のホテルは便利だな~スタッフと対面しないで部屋に入れるんだ~」

一星「あの…青葉…その、色々、大丈夫か…?」
青葉「お金なら大丈夫!ここそんなに高くないし!」

ヒナゲシ「わ~い!ホテルだ~!初めて!」
青葉「元気になってよかったよ~ゆっくり休んでから帰ろうね!あ、シャワーあるんだ!汗かいちゃったからシャワー浴びてっていいかな?」
ヒナゲシ「どうぞどうぞ~」

◯シャワーを浴びに行く青葉
一星「青葉…なんて無垢なんだ…」(驚愕と尊敬の表情の一星)
ツユクサ(無垢というより無知だろ…まさか作戦…?にしては色気が全く感じられない…天然というやつか…これはこれで、なかなか破壊力があるな…)

青葉がシャワーを浴びている間、ヒナゲシはふと作戦を思いつく。

ヒナゲシ(青葉がシャワー浴びて出てきた時、私と一星が、らぶらぶしてたら、青葉は一星を嫌いになる!)

ヒナゲシの手から、眠りの煙が漂う。

一星「なっ」
ツユクサ「何を考えて…?」

眠りに落ちる一星ツユクサ

◯ベッドの上で眠る一星に迫るヒナゲシ
ヒナゲシ「大丈夫。してるふり、するだけだから。逮捕されない…よね?」

青葉「あーさっぱりした~」
シャワーを浴びて青葉が出てくる。ベッドの上の2人に気が付く。
青葉「!」

青葉「縦四方固め!!!!」
目をキラキラさせて叫ぶ青葉。
ヒナゲシ「??」

青葉「なんだ~ヒナちゃんも柔道できるんだ~!こんな時でも練習してるなんて研究熱心だね!あ、縦四方固めはね~腕をもっと首の後ろに回したほうがいいよ、こうやって…」
眠っている一星に縦四方固めをキメる青葉
青葉「あれ?一星とツユちゃんも寝ちゃってる?2人も疲れてたんだな~~」

◯縦四方固めをキメられながら、眠りから完全に覚めることができず、トホホの一星
(やっぱり、女なんて嫌いだ…)

2話へ続く


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