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新ドラマ「#知らない人んち泊まってみた」(仮)第1話シナリオ

〇和室
 コンコンとノックされ、襖が開く。
 きいろ、急いで子供が描いたような家族の絵を座椅子の下に隠し、襖の方に顔を向ける。
 ジェミ、襖から顔をのぞかせ、きいろに笑いかける。
ジェミ「きいろさん、ちょっといいですか?」
きいろ「はい、もちろん!」
 ジェミ、部屋に入ってきて、きいろの隣に座り、持ってきたアルバムを机に載せる。
きいろ「これ何ですか?」
 ジェミ、アルバムを開いて写真をきいろに見せる。
 アルバムには星空の写真ばかり。
ジェミ「私が撮った写真なの」
きいろ「えー!すてきー!ロマンチックー!」
 ジェミ、少し恥ずかしそうに、きいろを見る。
ジェミ「さっきは暗室の前でごめんなさい。でも、夜空の写真に光は絶対ダメなの」
きいろ「そうだったんですね、いやいやいやいや、私の方こそ、さっきはほんと勝手にごめんなさい!」
 きいろ、頭を下げる。
ジェミ「そんな、分かってもらえたならいいから」

 リビングから電話の音がする。

 きいろ、リビングの方向に顔を向ける。
ジェミ、暗い表情でその場に座ったまま動かない。
きいろ「電話、出なくていいんですか?」
ジェミ「いいの!」
 と、ジェミはヒステリックに答える。
 きいろ、驚いてジェミを見る。
 電話が鳴りやみ、静かになる。
 ジェミ、すぐに表情を戻して、
ジェミ「あ、あの、固定電話にかかってくるのは、だいたい営業とか勧誘の電話だから出ないことにしてるの。ここシェアハウスだし。それに本当に用事あるなら個人個人の携帯に連絡来るはずだから」
 と早口に答える。
きいろ「ふーん、そっか。そうですよね」
ジェミ「それじゃ、私もう行かなきゃ」
 と、立ち上がり、部屋を出て行こうと襖に手をかける。
きいろ「どこ行くんですか?」
 ジェミ、曖昧に笑って、
ジェミ「次の写真を撮るスポットを探しに」
きいろ「あ、私もついて行きたいです!」
 と、きいろも立ち上がる。
ジェミ「ダメ!」
 と、ジェミがまたヒステリックに答える。
 ジェミすぐに表情を戻して、
ジェミ「いい写真を撮るにはね、撮影スポット選びってすごく大事なの。だから、一人で集中したいから」
 と、一気に早口で答える。
きいろ「あー、そうですよね。私また無神経でごめんなさーい」
ジェミ「それじゃ、家でゆっくりしてて」
 ジェミ、不自然な笑みを浮かべながら部屋を出る。
きいろ「行ってらっしゃーい」
 と、手を振りながら襖を閉める。
 きいろ、座りなおし、さっき座椅子の下に隠した絵を引っ張り出し、眺める。

〇玄関
 テロップ「PM3:30」
 ジェミが大きな荷物を持って出かけようとしている。
 キャンが階段を降りてやってくる。
キャン「行くの?」
ジェミ「うん。だから…、よろしくね」
 ジェミ、和室の方を指さしながら言う。
キャン「うん、分かった」
 と、キャンも和室の方を向いてから答える。
 ジェミ、ドアの厳重な鍵を開けて外へ出る。

〇和室
 きいろ、テーブルのノートを広げ、疑問点を書き出している。

きいろのメモ


きいろ「うーん…、あー、もう分かんない!」
 と、机に突っ伏す。
きいろ「喉かわいたなー」

〇リビングルーム
 テロップ「PM4:00」
 キャンがカレンダーの左側に貼ってある星座のタペストリーを凝視しながら、胸の前で両手の平を合わせ、声に出さずに口をもごもごと動かし何かを唱えている。
 きいろ、リビングに入ってくる。
 キャン、さっと振り向ききいろに笑顔を向ける。
キャン「あら、きいろちゃんどうしたの?」
きいろ「あのー、喉乾いちゃって」
キャン「あ、ごめんね!全然お茶とか出してなかったよね。ちょっと待ってね」
 と、ジェミは急いでキッチンに向かう。
きいろ「すみませーん、手伝います」
キャン「いいから、きいろちゃん座ってて」
きいろ「はーい」
 きいろ、リビングをあらためてキョロキョロ見渡しながらテーブル席のキッチンが見える側の席につく。
キャン「お待たせー。こんなものしかないけど」
 と、キャンが麦茶とお煎餅を持ってくる。
 キャンはきいろの向かい側に座る。
きいろ「ありがとうございます!あ、おやつまで!いただきまーす」
 と、きいろは勢いよく麦茶を飲む。
きいろ「あー、しみるー!」
キャン「ふふふっ。まるでビール飲んでるみたい」
きいろ「いやー、この麦茶、ビールよりおいしいかもしれない!」
キャンときいろ、顔を見合わせて、あははと笑う。
きいろ「ところで、キャンちゃんさんがさっき見てたそれ、何なんですか?」
 と、星座のタペストリーを指さす。
 キャン、一瞬困ったような表情をしてから、すぐに笑顔に戻し、
キャン「あ、これね、ホロスコープ。私、星占いとか好きで」
きいろ「占い!私も大好きです!もしかしてキャンちゃんさん、占いできるんですか?」
キャン「私はアクほどは…」
きいろ「え、アクさんも占いできるんですか?」
 キャンは一瞬“しまった”という表情をする。
キャン「いや、違うの。ただ、アクも占いとか好きみたいで」
きいろ「へー、意外!アクさん占いとか信じなそうなのに」
キャン「ふふふっ。確かにね」
きいろ「ここに住んでる皆さん、星好きの集まりなんですか?ジェミさんも夜空の写真撮ってたし!」
キャン「え?あ、まぁ、たまたまね」
ピンポーンとドアのベルが鳴る。
キャン「あ、アクが帰ってきたかな」
 と、キャンは席を立ち、玄関へ向かう。
 残されたきいろ、タペストリーをまじまじと見つめる。

 ×  ×  ×

 アクが両手にスーパーの袋を下げて、キャンと共にリビングへ入ってくる。
きいろ「お帰りなさーい。わー、たくさん買いましたね。なんかすいませーん」
 キャンはアクからスーパーの袋を受け取り、キッチンで品物を取り出している。
アク「いやいや、せっかくのお客さんですから。夕飯、すき焼きにしようと思うんですが、いいですか?」
きいろ「すき焼き!大、大、大好きです!嬉しー」
アク「あー、良かった。夕飯は6時ぐらいにするんで、それまでゆっくりしていてください」
きいろ「夕飯づくり、私にも手伝わせてください!じゃないと、申し訳ないです!」
アク「お気になさらず、大丈夫ですから。あー、そうだ。先にお風呂いかがですか?キャンちゃん、お願い」
キャン「はーい」
 と、キャンがキッチンから出てくる。
きいろ「何から何までありがとうございますー」
アク「いえいえ。じゃ、キャンちゃんよろしく」
 と、アクはキャンに意味ありげに目配せする。

〇和室
 きいろ、お風呂に入るグッズをまとめている。
 キャンが廊下から声をかける。
キャンの声「きいろちゃん、お湯湧いたよ」
きいろ「はーい、今行きまーす」
 きいろ、急いで立ち上がって廊下にでようとすると、襖に一番近いテーブルの脚に自分の足の小指をぶつける。
きいろ「いーーーったーぃ」
 と言って、その場にうずくまる。
 きいろ、自分の小指をさすりながら、ふと今まで見ていなかったふすまの左隣の茶色い棚に目を向ける。
 棚の下段の引き出しの一つが少し開きかけている。
 きいろ、そのまま四つん這いで引き出しのところへ行き、引き出しをそっと開けてみる。
 引き出しには何も入っていない。
きいろ「なーんだ。つまんない」
 と、勢いよく引き出しを閉じると。今度は一つ上の段が空気の圧力でちょっと開く。
 きいろ、少し驚きながら上の段の引き出す。
きいろ「はっ…!」
 中には「天野星太郎 様」と書かれた封筒がいくつか入っている。
きいろ「天野さん?」
 きいろ、その封筒に手を伸ばそうとする。
 コンコン、と襖が叩かれ開く。
 きいろ急いで引き出しを閉める。
 キャンが襖から顔を出す。
キャン「きいろちゃん、バスタオルうちの遠慮なく使ってね。あら、どうしたの?うずくまって?」
きいろ「角に小指ぶつけちゃってー。いたーいっ」
 と、きいろは咄嗟に足の小指をさする。
キャン「大丈夫?」
 と、キャンはきいろに駆け寄る。
きいろ「うん。あ、でも、もう大丈夫!」
 と、きいろはゆっくり立ち上がる。
きいろ「じゃあ、お風呂いただいちゃおうかな!」

〇2階廊下
 キャンがきいろを案内している。
キャン「お風呂は、突き当りにあるの」
 と、×と書かれた暗室の前を通り過ぎる。
 きいろ、暗室の扉を振り返りながらキャンについて行く。

〇浴室
 きいろ、湯船につかっている。
きいろ「はぁ~、いいお湯~」
 きいろ、浴室の中を見渡す。
壁のフックには子供用のシャンプーハットとアヒルのおもちゃがかかっている。
きいろ「子連れの家族…?」
 きいろ、考えながら顔までお湯につかる。

〇洗面所
 きいろ、タンクトップ姿で肩にかけたタオルで髪をふいている。
 洗面台には歯ブラシが5本並んでいる。
きいろ「5人家族…。どこに行っちゃったんだろう?」
 廊下からズシンという鈍い音がする。
きいろ、びっくりしてそのままの恰好で洗面所の扉をそっと開ける。

〇2階廊下
 きいろ、洗面所から廊下をのぞくが何もない。
 きいろ、首をかしげて洗面所に戻ろうとすると、またズシンと音がする。
 きいろ、すぐに音のした方向に振り向く。
 音は×と扉に書かれた暗室から聞こえた。
 きいろ、暗室の扉の前に立つ。
 きいろ、暗室の扉をコンコンと叩く。
 何も反応がない。
 きいろ、洗面所に戻ろうとする。
 その時、暗室のドアノブが動く。
 きいろ、それを見て目を見開く。

###(第1話 終)

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