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未来の俺を救うために、いまの俺は写真を撮っている

カメラロールをながめていて目が止まる一枚には、感情が動いた欠片のようなものが写っている。

美しい、おもしろい、きれい。
おいしい、楽しい、気持ちいい。
あったかい、うるさい、気にくわない。
切ない、苦しい、悲しい。

未来の俺はそれらの写真を見て、美しかった風景や、美味しかったご飯や、苦しかったあの時間を想う。

あのときの俺はこういう気持ちでいたんだ。と振り返る。綺麗な花を見つけ、会話を楽しみ、悔し涙を浮かべていた過去の俺のことを、ちょっと誇らしく思ったりする。

素晴らしい写真じゃないかもしれないし、たくさん「いいね」が集まる写真でもない。それでも「よく撮ったじゃん」って、過去の俺に声をかけてやりたい気持ち。かつての自分を受け入れるという行為は、きっと未来の俺を救うだろう。いまの俺はそれを何となく知っている。

フィルムカメラは、撮った写真を見るのは必ず未来の俺だから、よりエモーショナルな雰囲気を感じるのかもしれない。

今の、この気持ちがのっかるような写真を撮りつづけていくしかない。その写真を見るのを、未来の俺が待っている。著名な写真家や、影響力が大きいフォトグラファーでもなく、俺が撮らなきゃいけないんだよ。

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