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もしこれが、旅ならば

 この前、甥っ子と遊んでいたら「いろいろ忘れちゃうと、にんちしょうっていうんだよー」と何の気なしに言われた。小学校2年生でも「認知症」という言葉を知っているということに何だか少し驚いた。


 65歳以上の4人に1人、日本人全体の15人に1人が認知症と言われている。僕のおばあちゃんも認知症であるし、実家に帰れば介護をする家族がいる。仕事柄、認知症の方との関わりも非常に多い。それほど、認知症の方がいる社会はごく普通のことになりつつある。


 人生の終盤に向かっていく中で自分が大きく変わってしまうのではないか、どんなことが起こるのかと不安を感じてもおかしくはない。人は誰しも歳をとるのだし、老化によって今から比べるとできなくなることが増えるのは自然なことでもある。


 ただ、そうならないためだけに、生きていくのは何か違うと感じるのは僕だけでしょうか。

結局は、今やっていて本当に楽しいと思うことを、思いっきり楽しめばいいんじゃないか。


 おばあちゃんの姿を見ていると、昔に刺さった心のトゲがまだ残っていて、それが今の気分に多大に影響しているんじゃないかなと感じる。姑、小姑、土地、お金、お墓etc...多分、僕が知らないことも沢山あるだろう。おじいちゃんと過ごした大切な記憶も、喪失体験によって上書きされているので悲しみの感情と結びつく。
 良くも悪くも、感情に紐づけられた記憶は認知機能が失われていく中でも保たれやすいのだ。

 今から遠い未来のことについて、不安を抱き続ける必要はない。93歳になった祖母を見て思う。不安はいつまで経ってもなくならないし、きっと同じことで悩み続けるのだろう。


 その時々で、自分とちゃんと向き合う時間を作っていく必要があると思う。そうして自分なりにトゲなのかシコリみたいなものを解消したり、うまく付き合う術を身につけておけばいい。

 そう、少しでも楽しいことをしていようよ。大切な人と少しでも笑顔で過ごせるように。


 認知症について、何かを書こうとして書き出したら思いもよらないところに終着していました。。

 けど高齢な方、人生の先輩方がたくさんいらっしゃるって素晴らしいことじゃないですか。祝福したいんです。歳をとること、今生きていることを素直に、心から喜び、感謝したいんです。

ありがとうございます。 見てくださるあなたがいるから、頑張れます。