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バンドリにハマった休眠サイファミが4年半のブランクを経てサイサイライブに戻ってきた話

2019年5月18日~19日、Poppin'PartyとSILENT SIRENの対バンライブ「NO GIRL NO CRY」に参加した。

この2組のガールズバンドの対バンは自分にとってかなり思い入れのあるもので、『BanG Dream! 7th☆LIVE』の3日目に情報が発表され、武道館のステージ上にサイサイの4人が登場したときは言葉にならない叫び声を上げてしまった。

武道館のモニターに映し出された「無音の警告」の文字。今思い出すだけでも鳥肌が立つ……。あんなに脳汁が出たのは久しぶりかもしれない。

これはそんな一人のオタクが、ガールズバンドのキラキラドキドキを追いかけていたら、4年半前の気持ちを思い出した話。

サイサイファミリーになった日

SILENT SIRENというガールズバンドに初めて出会ったのは2013年の2月。その頃は今とは所属レーベルが違っていて、バンド名も「Silent Siren」という小文字混じりの表記だった。

きっかけは今でも鮮明に覚えていて、カラオケBOXで流れていた彼女たちの2ndシングル「stella☆」のMVに一目惚れしたことだった。
爽やかな曲調、白い部屋で楽しげに演奏する女の子たち、ボーカルの可愛すぎる声。
文字に起こすとあまりにもミーハーすぎるのだが、それほどまでに衝撃的な邂逅だった。(ちなみに今になってMVを見るとすぅの髪型は再考の余地があると思うが…笑)

歌声にやられてすぐに「stella☆」のCDを購入し、フルで聴いた。そこで初めて、この曲の主題が星のようにキラキラしたものではなく、暗い現状を打破する光を求めて前進する葛藤を映し出していることに気付いた。

その後1stシングルの「Sweet Pop!」と、インディーズミニアルバムの「サイサイ」「ラブシル」のCDを一気にレンタル。キーボードが旧メンバーの「やな」から「ゆかるん」に変わった経緯があるということも、そこで知った。

サイサイのライブに初めて参加したのは、メジャーデビュー1周年記念ツアー「Silent Siren Live Tour 2013冬〜サイサイ1歳祭 この際遊びに来ちゃいなサイ!〜」のツアーファイナル、2013年12月7日のZepp DiverCity公演だった。

そこで目撃したのは、キュートなルックスとは裏腹にふつふつと湧き出る反骨精神──「どうせ読モの集まり」「お遊びバンド」といった世間の揶揄に対する葛藤と、強い決意表明だった。演奏技術や歌唱力はまだまだ未熟だったが、ライブのエンターテインメント性と、奏でる音楽で戦いたいというその感情の発露に感化され、その日オタクは、サイサイファミリーになった。(この日ファンクラブにも入会したので名実ともに)

星の鼓動に出会った日

その後もリリースイベントやサイン会、ライブ等、サイサイファミリーとしての活動を精力的に続けていくなか、2015年1月17日、バンドとしての一つのターニングポイントである初の武道館公演に参加。メジャーデビューから2年2ヶ月。ガールズバンドの武道館公演としては最速記録を打ち立て、まさに歴史的瞬間をその目で見届けることができた。

彼女たちの作り出すエンターテインメントと奏でる音楽への信頼感は、そこで確たるものになった。

さて、サイファミ活動の裏では並行してもう一つの大きなコンテンツにも活動フィールドを広げていたのだが、それが「ラブライブ!」だった。
ちょうどアニメ1期〜スクフェスがリリースされた2013年初頭頃から、急速にラブライブ!関連のイベントへの参加頻度が高くなっていき、オタク活動のメインフィールドになっていった。

転機が訪れたのは2016年9月18日。
μ's Final LoveLive!から半年。Aqoursの1stシングル「君のこころは輝いてるかい?」発売から1年。
その日自分は、東京ゲームショウのブシロードブースに開場直後から張り付いていた。自分にとって初参加となるAqoursキャストによるリアルイベント、スクフェス発表会&トークステージを最前列で観覧するためだ。

開場から3時間、観覧エリアの最前列を確保し続けた。その間、ブシロードブースのステージ正面のモニターには、バンドリ!プロジェクトのプロモーションムービーが延々と流れ続けていたのだ。そこで、「STAR BEAT!〜ホシノコドウ〜」に完全に脳内を支配されてしまった。

スクフェス発表会&トークステージの観覧中も、脳裏には「STAR BEAT!〜ホシノコドウ〜」が同居していた。
そして気づいたときには、次のステージプログラム「バンドリ!トーク&ミニステージイベント」を観覧していたのである。これがすべての始まりだった。
そこで生演奏された「STAR BEAT!〜ホシノコドウ〜」は、一人のオタクのハートを撃ち抜くには充分すぎるほど、未熟で、しかしギラギラと力強い眼差しで未来を見据える、決意に満ちていた。

交わった二つの道

2015年の武道館公演以来、サイサイのライブに参加することは一度もなかった。
CDリリースの度に欠かさず参加していたリリースイベントからも足が遠のき、2017年半ば頃には、自分の生活の中のサイサイとの接点はCDの購入とファンクラブへの月額支払いだけになった。
そのファンクラブも一時は退会を検討したが、そこだけは自分の中で最後の踏ん切りがつかず、踏みとどまった。

そしてついに5thアルバム「GIRLS POWER」以降、CDを購入することもなくなった。

興味を失ったというよりは、より大きな別の興味対象の陰に隠れて優先順位が下がってしまっていた。

2017年8月21日、人生で2度目の「ガールズバンドの初武道館公演」に参加。「BanG Dream! 4th☆LIVE Miracle PARTY 2017!」である。彼女たちにとってこのライブは、「声優だから」というある種の免罪符が一切通用しない、大きな挑戦となった。
このライブをもって、ガールズバンドの武道館公演最速記録は、Poppin'Partyに塗り替えられることとなる。
自分の中の「SILENT SIREN」が、ひとつずつ、新しい記憶に上書きされていった。

かくして月日は流れ、その日はやってきた。

2019年2月23日。「BanG Dream! 7th☆LIVE」の3日目、Poppin'Partyは再び武道館のステージに立つ。
そこには、内面的な葛藤を乗り越えて成長した彼女たちの姿があった。その証左として、この日「STAR BEAT!〜ホシノコドウ〜」は演奏されなかったのだ。過去は振り返らず、未来だけを見据えるという強いメッセージをそこに感じ取った。

そして彼女たちの選んだ次のステージは、対バンライブだった。自らのガールズバンドとしての立場を、明確な意志を持って、相対化したのだ。
脳内に、無音の警告が鳴り響く。すごいことが起こった。あの4人がステージ上に現れた瞬間の気持ちの昂ぶりは、今でも忘れられない。

止まっていた時間が再び動き出した。

ガールズバンドの葛藤、そして成長

対バンライブ当日まで、空白の時間を埋め戻すようにサイサイの曲を一から全て聴き直した。
なんとなく、遠く離れてしまった友人に数年ぶりに再開するような、そわそわした気分。改めて聴くサイサイの音楽は、最高に"葛藤"していて、最高にポップで、そして最高にクールだった。(特に初期のミニアルバムの曲はこんなに暗かったか?というくらい暗い曲が多くてビンビン琴線に触れた)

2019年5月18日、対バンライブ「NO GIRL NO CRY」当日。

SILENT SIRENの演奏するライブイベントに参加するのは約4年半ぶり。
4年半というブランクが長いか短いか、その感じ方は人それぞれだろうが、確実に言えるのはそれが彼女たちのパフォーマンスレベルを格段に向上させるのには充分な時間だったということだ。

SILENT SIRENというガールズバンドは、Poppin'Partyにとって憧れの存在。その言葉を聞いた時、自分の中のサイサイ像が「世間の揶揄に対して葛藤するガールズバンド」止まりであったことがあまりにも情けなくなった。彼女たちはもうすでに、誰かにとっての憧れの存在になるまでに成長していたのだ。事実、演奏技術も歌唱力もエンターテインメントとしての完成度も、4年半前とは比較にならないほどレベルアップしていた。

詳しいライブ内容に関しては他の感想ブログや各種メディアのライブレポートに譲るが、自分が感じたのは、ステージに立つ2組のガールズバンドは歩んできたフィールドは違えど、「声優バンド」「読モバンド」というバックグラウンドに対する大きな葛藤を乗り越えて成長してきたという共通点があるということ。

そこにどれだけの努力の積み重ねがあったのかは計り知れないが、ライブを重ねるごとにパフォーマンスはどんどん魅力的になっていった。それはファンの応援があってこそのものだと思うし、だからこそそれを一番近くで見届けるのがファンの役割であるとも思っている。そう考えるにつけ、これほどまでに長い期間サイサイから離れてしまっていたことに後悔の念が募る。

一方で4年半というブランクは、結果的にSILENT SIRENというガールズバンドへの絶対的な信頼感を思い出させてくれた。離れて分かる大切さ、というやつだ。(もちろん離れないに越したことはないけど)

ライブのMCで両者が強調していたように、対バンライブを通して新たな仲間ができた。それもただ横で傍観しているだけではなく、互いに刺激し合えるような関係性の仲間。ファンの多様性は、評価の多様性に直結する。だが彼女たちの根底にある強い決意が変わらない限り、ファンからの信頼も変わらないだろう。

奇しくも、自分が両ガールズバンドに興味を持ったきっかけの曲は「stella☆」「STAR BEAT!〜ホシノコドウ〜」と両者とも星に関連していた。キラキラドキドキ。キラキラと輝く星の光のような、追いかけたその先に何が待ち受けるか分からないドキドキを与えてくれる存在。

すぅが言っていたように、初期衝動を忘れずに。

自分の信頼する存在を追いかけ続ければ、きっと想像もできないような素晴らしい景色を見せてくれると信じて。

https://lineblog.me/yoshidasumire/archives/3651655.html

P.S. 次はサイサイフェスにポピパを呼んでほしい、というか呼ぼう!

pixiv: https://www.pixiv.net/member.php?id=3660565