見出し画像

中学受験国語で時間内に解ききる方法

国語の読解問題の解き方として2つの方法があります。

・まず全体を読んでから問題を解く
・最初から読みながら解く

この2つです。

読みながら解くのは、ちょっとむずかしい

後者の「読みながら解く」はちょっと高等テクを使わなければいけません。それは、「解答の根拠が傍線部前後であれば解けるけど、根拠がずっと後に書かれている問題もあるので、そういう問題は「保留」にする」というテクニックです。これができるお子さんはそもそも国語力がありますし、通読しても解けます。

ぼう線部の後ろのどこまでを読むか。切りの良い中略部分や空白行、意味段落の切れ目の部分までは読む必要があるでしょう。解答の根拠は「ぼう線部前後」にあることが多いですが、「長〜い具体例を挟んだその先」にあることだってあります。

「あのへんに『まとめ』があったな」と見当をつけるには、通読していたほうが良いのです。

さらに、文章全体を通読して、「俯瞰した視点からテーマをつかむ」という作業が国語学習の真髄だと思います。その力をつけるという教育的な意味で考えても、一度通読するのがおすすめです。

よって多くの場合は、やはり一度読んだほうがいいでしょうね。

全体を読んでから解く場合の注意点

ということで、まずは一度、「全部読んでから解く」という方法で考えてみましょう。

このやり方には、注意点があります。

それは、1回全体を読んだだけでは、各設問は解けないということです。
細かい読みをもう一度しなければならなくなります。

全体を読んだあとに傍線部に戻ると、大事なテーマは頭に入っているかも知れませんが、細かい言い回しや描写を全て覚えているわけではありません。

解答では、傍線部と同じ表現を傍線部前後からすべてリストアップして、最適なワードを探す...のような細かい作業をやらなければいけません。つまり、「もう一度その辺りを精読する」必要が出てくるために、少なくとも合計2回以上は読まないと解けないのです。

でも、そこで生徒は混乱してしまいます。

「あれ、1回読んだはずなのに、この問題よくわからないぞ…!?」

こうしたことが積み重なると、

「文章を読むスピードが【遅い】から、問題が全部解き終わらない」

という「表現」を用いながら悩んでしまうのです。

でも、【遅い】んでしょうか?実際はそうじゃないかも知れません。1回読んだことが無駄になり、またイチから読まなければいけなくなるのなら、時間が足りなくなっても仕方ないかも知れません。

これを防ぐために、どうすればいいか。

それは、「2回目の精読でやっと解答できるようになる」ことを前提にして計画を立てていくのです。

じゃあ、1回目の読みでは、何をすべきなのでしょうか?

その前にまず、試験開始直後にやるべき時間配分から考えていきます。

試験開始20〜30秒以内に時間配分

試験開始になったとき、試験全体をざっと見渡し、20〜30秒以内で時間配分をします。ざっくりとで構いません。

この配分に従って、「時間内に必ず全問に当たる」ことが大切です。正答率70%で合格なのであれば、30%は間違えることができます。しかし、どの問題が間違っていい捨て問なのかは、解いてみないと分からないのです。最後の問題はちゃんと時間をかければ正解できる問題かもしれません。

ですから、その問題がわからなければ保留し、とりあえず先に進むことが必要になってきます。

1回目の読みでやるべきこと

さて、時間配分が決まったら、そのルールを守りながら解いていきましょう。1回目の読みでやるべきことは以下です。

作業1:「全体のテーマ・流れ」をつかむ
作業2説明文であれば
     →ざっくりと意味段落に分ける。
     →「具体」「まとめ」のグループ分けをする。
     →筆者の【話題と主張】に線を引く。
     物語文であれば
     →「場面」のグループ分けをする。
     →物語の中心人物の心理描写に線を引く。
      とくに、「前→きっかけ→後」の【心理変化】に注目!
注意:あまり細かいことにこだわらない。さっさとやる!

こちらの記事にも書いたことですが、こうした「1回目の読み」では、常に同じスピードで読むわけではありません。最初はテーマをつかむために慎重に読み始めます。テーマを掴んだと思ったらスピードを上げます。抽象、主張にかかわる部分はじっくり読み、わかりやすい具体例の部分はサッと読んでいく、という読むスピードのギアの切り替えも、慣れるとできるようになってきます。

そして、飛ばし読みは逆に危険です。あくまで文章の流れや内容を理解できるペースでいいので、「1回目の読みで時間をかけすぎずに読み進める」でやってみてください!

線引きは重要です。線を引いたところが解答根拠になるのが理想だからです。ただ、多すぎず少なすぎず、線を引いたところをつなげればそれがそのまま要約になる、ちょうどいい状態を目指すのが良いと思います。

やみくもに読むスピードを早くしようと考える必要はないが、1回目の読みの目的を明確化することで、読むスピードが【ちょっと】は改善されるかもしれません。

スピードがあまりに遅い場合は、音読を

黙読が1分間に400字くらいを下回る場合は、その文章の語彙や話題、レベルについていけていない可能性があります。そういう時は、少し難しいかなと思う塾のテキストや模試の文章を題材に、音読の練習を取り入れましょう。

漢字や語彙が分からなかったりすれば、音読で詰まるので分かります。また、難しい話題や論理展開の文章に慣れていなければ、ところどころでつまずくはずです。必ず大人が聞いてあげて、詰まったところで助け舟を出してあげてください。

ちなみに1分間に400字程度の音読スピードとは、このくらいです。

塾のテキストや模試の文章が1分間に400字程度で音読できようになれば、「読み」に関しては心配いらなくなるはずです。数ヶ月〜半年続ければ効果が出てくると思います。毎日くらいのペースで、時間を決めて、コツコツ進めてください。

参考

※音読の具体的な方法について、とても参考になる動画を紹介します。

※国語の時間配分について役立ちそうな記事を紹介します。特に、
・読むスピードは、「理解できるスピード」でOK
・国語の時間調整は、設問の処理スピードを上げることを主とすべき
・時間配分の方法:例えば記述の少ないものは18分、多いものは21分
これらの点には自分も同意します。

以上、参考になさって下さい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?