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「あまやどりブックス」と名付けるきっかけになった本

最初に紹介する本は、やっぱり「あまやどりブックス」と名づけるきっかけになった本にしようと思います。

それは、『サイコパスの真実』(原田隆之著/ちくま新書)です。

実は、今の入社してからずっと、社長を信じていいんだろうかと悩みながら過ごしています。

社長は人当たりもよく、私以外の社員からは信頼されていて、一見悪い人には見えないのですが、話が進んでいないのに「いまやっています」と言ったり、部下からするどい指摘がされるとその場しのぎで言い逃れることがとても多いのです。なかなか話が動かないので担当者に確認したら「そんな話は聞いていない」と言われたり、「そういえば…」と話を振るとうやむやにされることが頻繁にあり、精神的にダメージを受けたこともよくあります。

同僚は「あの人は天才だから、凡人の私たちとは考えていることが違う」「忙しくされているから仕方ない」と気に留めていない様子だったですが、私自身は「ここまでくると天才というより詐欺師では……」としか思えず、その一方で、信じることができない自分に嫌気がさす、という状態が続いています。

こうしたもやもやを抱えながら家に帰っているとき、たまたま Twitter のタイムラインでこの本を見つけたのです。

「人当たりがよく、優しい言葉をかけ、魅力的な人柄。でも、息を吐くようにウソをつく…。」の一文を見て、これやん!!! と思い、その場で kindle 版を購入しました。

この本は、著者の体験から始まり、サイコパスの特徴やサイコパスと似て非なる症状(自己愛性パーソナリティ障害など)との違い、サイコパスの治療は可能か、そして、サイコパスをめぐる哲学的な問題など、サイコパスを学術的な視点から解説しています。

「サイコパス=凶悪犯罪者」というイメージを持っていましたが、そういう人はむしろ少数で、ほとんどのサイコパスは私たちと変わらない日常を送っていること、凶暴さがなくても、人間らしい共感性や良心、恐怖心がない、といった特徴がみられる、というのが印象に残っています。

でも、その人がサイコパスかどうかは、専門医が慎重に検査することでしかわかりません。なので、社長がサイコパスかはわかりません。ただ、これまでの社長の言動には本書に書かれていた特徴がみられるので、自分の身と心を守るために、今まで以上に慎重に接したほうがよいだろう、と考えています。

この本を読んでも、サイコパスっぽい人とうまく付き合える、ということはないと思います。むしろ、サイコパスと対峙しても勝ち目はないことを思い知らされるだけだったりします。でも、私の違和感が気のせいではないこと、社長を信用できなくても自分を責める必要なないことがわかったことで、もやもやを晴らすことはできました。

本当は、一日も早くこの社長がいる会社から離れるべきなのですが、今のところ「お祈りメール」しかもらえないので(苦笑)、しばらくはこの本をお守り代わりに、自分の身と心を守りながら過ごすことになりそうです。困った状況ではあるけれど、そのぶん、仕事以外の場所に足を運ぶようになったので、バランスを取りながらやり過ごしていけたら、と思っています。

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ここまで書いてきて、最初に紹介するのがこの本でいいのかしばらく迷ったのですが、困った状況に陥ったときこそ本は役に立つし、そのときに読む本が暗い話でも力になってくれる、というのは伝わるんじゃないかな……と思い、えいっと紹介しました。

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