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指先と、心が踊った夜


3連休初日、夕方からライブに行ってきた。
シンガーソングライターの川村結花さん。
今年で創業(活動)29年を迎えるらしい。そのうち25年くらい好きでいる。

妹がCDショップで貰ってきたサンプルCDが結花さんを知ったきっかけ。
アルバム「Lush Life」。これを聴いていたのは人生において、なかなかヘビーな時期だった。サンプルじゃ足りず、妹に本体を買ってきてもらったのだ。


土曜の夕方、1人ふらりと街に出る。
ライブ名目で夕飯作りは免除。ピアノライブなのでロングワンピースを着て、いつもより気合を入れてメイクした。

整理番号順に入場。
私は90番。外でしばらく待っていた。
カウンターでスプモーニを受け取って、席を探す。グランドピアノの周りはおおかた埋まっていた。

ピアノの後ろ側に1人掛け椅子がぽつんと。
結花さんの背中を見つめる座席。
お顔は見られないけど、踊るような指先がちゃんと見えた。

OP「乾杯のうた」

ピアノはもちろん、メロディにのせられた言葉が次々と心を奪ってく。
あの場面がよみがえる。あの頃に気持ちが戻ってく。
ぐっと掴まれた心の中心が、熱に溶かされてじわじわと体中に広がる。ああ。

音と香りは記憶を呼び覚ますらしい。
その曲を聴いていた頃のできごとが走馬灯のようにブワーッと。
感情が忙しかった頃の自分を思い出して、また忙しくなる。

好きな曲をたくさん歌ってくれた。
余韻に浸りたくて、帰り道は地下鉄に乗らずに歩くことにする。
メロディーを反芻しながら。
普段歩かない夜の、きらびやかな通りを1人で歩いた。

心が動いた素敵な夜。

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