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この匂いはきっと

先日いただきものをした。
お庭でたくさん実をつけたという。
偶然居合わせたのだが「せっかくだからどうぞ」 と言われ、ビニール袋を提げて帰ってきた。

これは夏みかん

頭に浮かんだのはこの物語。
小学生の国語の教科書に載っていた。
「車のいろは空のいろ」
冒頭にこんな台詞がある。

これはレモンのにおいですか

いいえ、夏みかんですよ

あまんきみこ「車のいろは空のいろ」

子どもの頃にはわからなかった匂いの違い。
レモンと夏みかんのそれ。

袋から取り出して手のひらに載せる。
ずしりと重い。
傷もなくピカピカの黄色。
頬を寄せて軽く吸い込む。
爽やかで澄んだ香りがした。

夏みかんをどうしよう。
実家の母はよくピールを作っている。
他所の家に夏みかんが鈴なりなのを目にすると「使わないならくれないかしら」と言う。
チャイムを鳴らしそうな勢いだ。
私は貰うばかりで作ったことはない。

でも。
夏みかんを見つめていたらピールの気分が上がっていた。
早速レシピを検索。

ほほぉ…。
白い部分を残さないように皮を薄く剥く。
この分厚い夏みかんの皮を…。
それから5ミリ幅に切って、茹でこぼす。
3回も…。
遠くなりかけた気を引き戻して包丁を持つ。
スイッチが入ったのは夕飯後だった。

台所が夏みかんの匂いに包まれる。
1個剝くのもなかなか手間で。でも途中でやめたくないから3個剥いた。
茹でこぼした後、水につけて半日置くらしい。寝てる時間に当てればちょうどいい。

ここまでが昨夜の作業。

砂糖水から打ち上がった図

午前中ずっと鍋の前にいた。
グラニュー糖と水で煮詰めていく。
目を離せないので本を立ち読みしながら鍋を見ていた。
なかなか水分が飛ばない…。
そのうちお腹が空いてきた。
はしたないけど鍋の横でおにぎりを立ち食いした。

煮詰まったらクッキングシートを広げたバットに並べる。
予熱が取れたらグラニュー糖を追いがけ。
この時点で、すんごい量の砂糖を使っていることを知る。


お裾分け

完成。
甘さでコーティングされているけど、ほのかな苦みも残っている。
初めてにしてはなかなか?

実母と義母にお裾分けしようと思う。
(今読んでいる本がこんなタイトル)




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