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「セルロイド工業発祥記念碑」

今はなくなったセルロイド製玩具の集積地

★ジャンル【産業】
★場所 葛飾区東立石3-3-1 渋江公園内
★最寄駅 京成立石駅

★碑文
「大正三年四月わがセルロイド工業界の先覺故千種稔氏がこの地に初めて玩具工場を設けてより30有餘年 斯業は幾多の優秀な後継者たちの努力によって日に月に発展し 今や関係業者数万を超えその生産額はわが國輸出総額の過半数を占める繁栄を示し 實に葛飾工業地区の中心となるに至った 昭和二十六年秋 渋江公園が千種氏創業の由緒深いこの地域に開設せられるに當り この事業の發展を希う地元有志相はかってセルロイド工業發祥の地にふさわしい平和と希望とを象った記念児童群像を長沼孝三氏に委嘱し 公園に美しい風景を添えると共に遥かに先人の偉業をしのぶよすがとした」

★解説
 京成立石駅を降りて南側に出ます。線路沿いを進み、5つ目の踏切のところで左に行くと右角に大きな渋江公園があります。中央の広場にユニークな形のモニュメントが建っています。
 螺旋階段のような塔状の台座の上に3人の子供が座っており、台座の表面には人形のような彫り物が施されています。なかなか見ないユニークな発祥碑です。そしてこの碑自体が葛飾区の文化財に指定されています。
 ここもタイトルに難があります。この場所は「セルロイド工業」というより、セルロイド製玩具工業」のゆかりの地、とでも言ったほうが適切だからです。
 セルロイドは人類が初めて作ったプラスチックで、19世紀の半ばごろから製造が始まりました。初めは象牙の代替品としてビリヤードの球などに使われましたが、その後、万年筆の筒、食器の持ち手、メガネフレーム、おもちゃ、文具など様々な用途に広がっていきます。
 19世紀の終わりには写真フィルムに使われるようになり、写真術の発展に貢献します。
 日本でも明治に入ってまもなく輸入が始まり、国産化もほどなく始まります。1910年ごろにはいくつかの企業が生産をしており、1919年には富士フィルムを生んだ大日本セルロイドが合併により成立します。東京と大阪が生産の中心でした。
 碑にある千種稔がこの渋江公園の場所で生産を始めたのは1914年で決して日本で

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