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「鐘淵紡績株式会社発祥の地」(カネボウ発祥の地)

小公園となったかつての大紡績工場跡

★ジャンル【企業】 
★場所 墨田区墨田5-17
★最寄駅 東武スカイツリーライン堀切駅

これまでの23区発祥の地一覧

★碑文
「此の地は古くから沈鐘の伝説があり、江戸時代に入って将軍徳川吉宗公が之の引揚げを下命しましたが成功せず鐘は毎夕月の出と共に燦然として光を放ったといわれます。周辺の風光明媚を賞でて徳川氏はこゝを将軍家専用の野菜畑とし御前栽と称しました。明治二十年近代工業の先覚としてこの地に東京綿商社が設立せられ、紡績機械ニ万九千錘を英国より輸入して東洋第一の紡績工場を建設、明治二十二年社名を鐘淵紡績株式会社と改称しました。爾来近代日本の進展と共に工場は拡大し、その技術は全国津々浦々に結実し製品はカネボウの名声と共に遠く欧米各国を席巻しました。この間にあって産業立国の一翼を担った人々は少なからず、また過ぐる関東大震災、東京大空襲当時その職に殉じて斃れた者は五十余柱に及びました。いまこゝに時代の進運と共に工場の移転を実施するに当って鐘紡稲荷神社並びに慰霊観音像を奉安し八十余年に亘ってうけたこの地域社会の御かげを感謝すると共に老人と児童の憩いの場を設けて記念庭園とし永く先人の偉業を偲ぶよすがとなることを切願するものであります」

★解説
 こちらも少しわかりにくいです。鐘ヶ淵駅は東口ではなく西口を降りてください。正面の歩道橋で旧綾瀬川を渡ります。歩道橋を降りた先の道を進み、住宅街の中を右に分かれる路地へ入ります。突き当たりを左に行くと右手に「カネボウ公園」という小公園があり、その奥に碑があります。
 今、カネボウという名を聞いて、初めは何の会社だったかわかる人はどれくらいいるでしょうねえ。「化粧品会社でしょ」というのは、現在は正しいです。「カネボウ」の商標を持っているのはカネボウ化粧品ですから。しかし今は花王の完全子会社となっています。
 カネボウはかつては日本経済の花形産業であった綿紡績業の中でも最大級の企業でした。しかしその終わり方を見ると、ちょっと寂しいものがありますね。
 綿織物業がイギリスでの産業革命の際に中核的産業となったように、人間の生活に欠かせない織物産業は日本の近代化でも重要な産業でした。幕末の開国で貿易が自由になると、生糸や絹織物の輸出で日本は莫大な利益を得ます。また綿花の輸入ができるようになり、機械化された紡績工場の設立も相次ぎます。1882年(明治15年)、渋沢栄一(しぶさわ えいいち)らの支援を受け、大阪紡績が設立されるなど、各地に紡績会社が続々とできました。
 東京では、綿花を買い入れていた問屋のうち改革派の5社、三越白木屋

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