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ロボットに心は宿るのか?

 昨日、動画をアップロードした。 正直言って面白くない。 オッサンZOOの記念すべき一作目は、モンキーの自己紹介から始まり、今後の方向性を語って終了した。

 これを制作するのに2週間くらいかかっている。 いや、プリプロを含めたら3カ月近くか。 ボクの編集技術やスケジューリングが遅れた理由の大部分だが、決定的な理由は方向性がぶれまくっていたことにある。

 当初、ボクも演者でモンキーと掛け合うスタイルを考えていた。 実際にネタと展開を考え撮影もした。 ここまで明かしているということは世に出すまいと決めているからだが、合計40分にも及ぶ素材を見返すと見るだけで疲れる映像になっていた。 

 今回は、ボクが裏方に回った理由と「面白くないことが面白い」と訴える理由を書こう。

・トークが出来るのと話し好きは違う

 ボクは創作活動のためにあらゆるジャンルから情報を収集し、構造を分解して、自分の視点と仮定を足して物語を紡ぎ出すことを日々行っている。 もし知らなかったら知ってる相手から聞き出せる。 

 シンプルに言えば、知識欲が旺盛で、ボケやツッコミ、話題振りと質問をいつまでもマシンガントークで出来るってことだ。 そんな人間が出演したらどうなるか? 相手とのトークバランスが崩れてしまい会話が成り立たなくなるのだ。 

 その点モンキーは対象的だ。 「コイツ本当に借金返したいのかな?」って疑うほど、枯れきったオヤジ感が半端じゃない。 ヤル気も魅力も感じない。 緊張して数字も間違うし声が震えてるし、好きなものが「なぜ好きか」すら説明できない。 というか、昔好きだったものとか、過去の思い出すらけっこう忘れている。 典型的なダメおやじだ。

・演者はおもちゃであればいい。制作側は人間性を求める。

 撮って編集をする側として言わせてもらえれば、演者にアドリブなんていらない。与えた台本を卒なくこなしてくれるだけでいい。 それにその人らしさがにじみ出てくれたり、こっちが意図したキャラクターを出してくれたら御の字だ。

 しかし、それが面白いかは別問題だ。 断言させてもらうが、モンキーは決して面白くない。 現在の彼は借金に囚われすぎていて本来の自分を失い、金を返す以外何も考えられない経年劣化が始まったロボットになってしまった。 面白い人間であると思い込むことが自分のアイデンティティを保つ方法になっているのだ。 

 社会の負け犬とじゃないかと思われるかも知れないが、正確には「面白い人だったかもしれない多重債務のロボット」。 それが現在の彼につける絶対的な個性であり人間性だ。 その点において稀有で面白い人材だと思った。

・ロボットは人間になれるか? だから裏方になった。

 そんな彼がレンズを向けられ、自ら考えた企画を世に晒すことで、面白い人間に変わるのか? そして、もしも借金がなくなって0に戻ったときに、本当の自分を取り戻したときに、果たして彼は何を言うのか? それを見てみたい。 

 だから彼ひとりを出演させて、ボクが裏側で企画を考える様まで見せるドキュメンタリーに変えたのだ。 

・終わりに

 借金以外に何も考えられないつまらない中年男が、面白くなっていく過程を彼の借金がなくなるまで見守っていく。 それが「オッサンZOO」のスタンスだ。

 だから今の現状では「面白くないことが面白い」と言える。 これからの彼は面白くなる一方なのだから。 次回の動画では、公開して一週間の振り返りと反省、次回の企画を考える会議の模様をお送りする。 ぜひ一緒にモンキーの未来が変わっていくのを目撃してもらいたい。

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