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FRENZ2023-2日目夜の部OP制作とイベントの後記 #FRENZ_JP

FRENZ2023、お疲れ様でした!!
今年は2日目夜の部のOP「Framing a Phrase」の制作、コアスタッフとしてイベント統括を担当しました

FRENZがどういうイベントなのかについては、公式サイトや自分が昨年のイベント前に書いた記事を参考にしてください。

まずは、OP制作にあたってご協力いただいたFRENZスタッフの皆さん、特にポエム部分のブラッシュアップをやってくださったやんわりさん、本当にありがとうございました
また、作品出展をしてくださった方、チケットを買って現地へ来てくださった方、会場のLPOのスタッフさんも、皆様のご協力あればこそのイベントでした。本当にありがとうございました。

登壇時にしゃべったこと、しゃべれなかったこと含めて制作関連のことを色々書き残しておこうと思います。


大テーマ「いつかの、見る側だった自分へ」

全体通して「いつかの、見る側だった自分へ」というのが大きなテーマになっています
昨年の出展作で、登壇時に「自分の創作感・10年ぐらいの映像制作人生を込めた。数年に一度しか使えないワイルドカードを切った」という話をさせてもらいました。

すでに自分の手札からワイルドカードがなくなっている状況で、じゃあこの手札で戦えるのか?というのを、OP制作前からずっと考えていました。
最終的に「自分のこと」を落とし込むのが一番良い映像になると思ったため、その方向で考え続けたところ「いち視聴者から、作る側へ」「作る側から、出展者へ」「出展者から、スタッフへ」を経た自分のことを思い出し、テーマが「いつかの、見る側だった自分へ」のような形になりました。
(昨年の、創作人生〇年を元に出したのが「ワイルドカード」だとしたら、今年は自分自身を削ぎ落して生み出した「ジョーカー」だと、勝手に内心思ってます

自分がFRENZに作品出展をしたのが2012~2017,2022という感じでして、2018・2019は出展をせず現地で見る側でした。(2011より以前はイベントの存在を知らなかった)
多くのFRENZ参加経験者が思ったであろう「コロナ禍で2020・2021は本当にイベントがなくなってしまった」は自分としてもすごく衝撃的でした。
2019の終わりに来年こそはと少しためていたからこそ、本当になくなってしまったことの衝撃は大きかったです。
そういった状況だったのもあり、今年スタッフになったことでFRENZという一度消えかけた灯火を継いでいく側になったことも、こうしたテーマを見出すのに一役かってたのかもしれないです

キーフレーズ「どうか、盛大な拍手を」

このフレーズ、OP用の楽曲が決まった後にポエム内容をどうしようかとずっとメモ書きを書いてる頃に、電車の中で思いついて、考えた自分ですらポロポロ泣いてたので「これだ」ってなりました。(完全な不審者)
後で感想をいただく際に、このフレーズに言及してくださってる方が多くて、本当に嬉しかったです。

前述のテーマが決まっていたこともあり、「FRENZに出展しないけど観に来た方に、どうやってこのイベントの空気に参加してもらうか」を考えた時に最後のフレーズである「盛大な拍手を」というのが出てきた感じでした
参考資料を探してるときに過去OPもいくつか見ましたが、2018年かえるボイラーさんのOP「HISTORY」の中に、一部観客がスクリーンを見ていたカットがあったのも、自分の中でこうしたフレーズが出てきた一つのきっかけなのかもなと思ってます。

ポエムの締めが決まったら、後はゴールにたどり着くような逆算的な作り方で、テーマができるだけブレないように構築していく感じでした。
深夜OPの制作されたヤスさんが、事前にアイデア出しの仕込みとして作られてた「yama_ポエムGPT」も、自分のポエムの言い回しを探すのになんどか使わせていただき、本当に助かりました

壇上で「封切り」をするギミック

当日、現地に来てくださった方は見たかと思いますが、OPラストシーンで実際に蝋封をした封筒を、壇上にもってきて封をあけるというパフォーマンス(?)をしました
これ、撮影全部終わってから思いつきました。

  • 前半「色んな風景と文章を結びつける」
     → アイデア出しの過程の暗喩

  • 中盤「前半の風景を何らかの物理的な作品(写真?)として残す」
     → 作品制作の暗喩

  • 紹介パート「各出展者アイコンのチェキ化」
     → 各出展作品の比喩的な表現と、出展者紹介

  • ラスト「ここまでのものを1つのロゴ入り封筒にまとめる」
     → FRENZというイベント自体の暗喩

蝋封の開け方をリハーサルしておけ

各パートについては、こんなことを想像しながら途中制作はしていました。
ここまで考えてましたが、OP制作全部やり切ってから「これ、壇上で封をあけたら楽しくない?」となって、壇上で話した「新作映像の封切り」のくだりを思いつきました

他にも実際にチェキを刷るようなパフォーマンスもしましたが、やりたいことが多すぎて、もっと壇上トークを洗練しておくべきだったなと...…反省してます。

制作の経緯

順番が前後してますが、制作に至った経緯の話をしていけたらと。

4月頃に「次の10年をどう生きたらいいですかね~」という相談を、主催の地生さんにしたくてご飯に行ったタイミングがありました。
本職のCG業界向けのフリーランスシステムエンジニアとして4年目に突入していて、そろそろ次のキャリアをどうするか考えないといけない時期になっていたので、何か良い方向性が会話の中で生まれたらよいなと思って、この時期何人かご相談に伺ったりしていました。

人生相談ついでに飲み比べしていた日本酒。美味しかった覚えが

その場で、仕事のこと、世の中のこと、その中で何をしたら世の中に貢献しながらお金も稼げるのかみたいなことを話していた覚えがあります。
その話の途中で「今年のFRENZのOP、やらない?」と打診されました

壇上でも話しましたが、この時に実はOP制作を一度断りました
今思えば多分今年のOP作家候補の中で一番最初に声をかけてもらってたんだろうかと思うと、申し訳ないことをしたなと思いつつ、この後もう一度出番をいただけて本当にありがたかったなと思ってます。
断った理由としては、やりたいことがいまだとできなさそうという技術的ハードルを感じていたことと、先に書いた通り前年に「ワイルドカード」を切った作品を出してしまったために、次をどうするか悩んでいたというのが大きな理由でした。
断った際に、代わりじゃないですが、2020年頃から地生さんには伝えていたFRENZスタッフやりたいというのを、今年こそはと伝えて、コアスタッフとなりました。

よくFRENZにいらっしゃる方はご存知だとは思うんですが、今年は本当にスタッフ体制が大きく変わりました。自分はスタッフやりたいと名乗り出た4月のタイミングで、この体制変化の話を伺いました。
こうしてスタッフ編成が変わってしまった中で自分は何をできるんだろう?昨年までの実行委員会が維持してくれた体制の中で何をしたらFRENZを、特に「新しい人たち」へ残すことができるんだろうかと、6月中旬ごろに正式にスタッフ入りしてからずっと目の前のタスクをこなしながら割りと考えてました。
やはり、自分自身が2012年にFRENZへ初出展したのをきっかけに、多くの出会いの機会をいただくことが非常に多く、このイベント自体に感謝している気持ちがあり、どこかで恩返しのようなことができたらなと考えていました

機材や上映用ソフトのテストをしている自宅の図

最終的に全出展者一覧が出てもなお、ラスト1枠のOPが決まらずどうするのか地生さんが困ってる時、
「こうなるのは、今年OPをやれという運命なんだ」
「恩返しだ!腹を括れ~!」
「やるかーやるしかないかー」
という感じで、OPへ着手することになりました。
結果的に、この追い込まれ方すらもアイデアのひとつになったのかなと考えてますし、尻に火がついた方が良いものが作れるんだなとしみじみ感じています
また自分の尻に火をつける、ドM映像制作を今後も続けていきたいので、健康維持の努力をしたい….…(デブ並感)

制作過程について

普段の仕事で、専門学校で講師をすることがあり、学生からよく「何を作ったら良いかわかりません」という質問をもらうことがあり、正直自分もそれに対して明確な回答を出すことができずにいました

今までの自主制作や、お仕事として頂いた映像制作の殆どは、MVとして音楽先であったり、宣伝すべき内容が固まっていたり、分担が決まっていて自分のやるべきタスクが明確化されていたりと、何かしらやるべきことがはっきりしていることが多かったです。

本作で不採用になった空を余白埋めにドン

しかし、今回のOP制作では「オープニングである」こと以外の縛りは非常に少なく、音楽も何も決まっていなかったため、「何を作ったら良いのか分からない」状態から完成させた自負もあるので、今後誰かの、特に学生の参考になればと思うため、できるだけ過程について思い出せることを書き残しておこうと思います

大前提「自分ごとをできるだけ形にする」

これは最近自分が曲先MV含めて、映像をゼロからやろうとするときに大事にしていることです。
特に、楽曲世界観に合わせつつ、裏テーマとして自分自身のことを込めるようにすると、多くの人に共感をしてもらえるような作品が作れるのかなと考えたりしています。

今回のOPの一番最初は、「自信のない自分へ」というのが初期プロットにありました
何か主軸になるような原作があった方が制作時間的にも良いと思い、幼少期の思い出にあった「ネバーエンディングストーリー」(果てしない物語)を題材にした、自信のない主人公がFRENZという絵本に出会って世界を知ることで自信を持っていくようなものを想像してました

実際の完成形にはこの形がほぼないので、この次のリファレンス200本ノックの段階でこれをほぼひっくり返すような内容に作り変えるわけですが、出だしは後で変わるぐらいには曖昧でも良いと自分は思ってます。

少なくともこの最初のプロットは、手を動かすためのきっかけが欲しいだけだったので、このあたりは固めきらずに、大まかにぐらいの気持ちでした

何を作りたいのか固める作業「リファレンス200本ノック」

ざっくりでも企画のベースが決まったので、youtubeの「あとでみる」に入ってた700本以上の初見映像をともかく頭からしばいていく作業を始めました。
最終的に2日で200本ほど見たので、自分の中で「リファレンス200本ノック」と勝手に呼んでます

当初、ここが700ぐらいの数字だった。だいぶ減らした

この作業で、何か1つでもピンとくる技法・表現・構図などを大まかにもリストやメモ書きを使って仕分けしました。
この過程の最中でより良いアイデアが出てくることもありえたので、もっとプロットをこういう形にしたらいいんじゃないか?のような変更は容認していました。

150本ぐらいのところで、壇上でも話したドンピシャのリファレンス「坂の上の雲」OPシーケンスが見つかったので、残り50本ぐらいはもっと良いアイデアが出てこないかを探すような形でした。

1日目昼の部、一般的な掃除機のテクノロジーさんの出展作「どうぶつクッキング幕末史」の直後ぐらいの時代が原作の歴史小説が元のドラマのOPですね!(???)

今回のOPはこれを元に、「文章で魅せる形」「背景に実写映像」「音楽は劇判風の荘厳な楽曲」というところまで決めて、手前にどういう文章(ポエム)を載せるかは、楽曲尺にもよるので先に曲を決めようということになりました。

楽曲について、探し方と絞り込み

今回のOP楽曲ですが、ロイヤリティフリー素材です

自分が契約してるenvato elements内で探していたらありました。
ロイヤリティフリーのためか、作者名とかが見つからないため、こうして紹介することで楽曲作者さんへ感謝できたらなと。本当に良い楽曲をありがとうございました。

探し方としては「Royalty Free Music」の欄で、条件検索を付けずに上から順に確認をしていき、少し引っかかるものがあれば新規タブなり、envatoのリスト機能に入れておくなりでチェックをしておきます。
10~20ぐらい集まったら、共通していそうなタグやキーワードの情報をもとに、絞り込み検索をかけて、改めて上から聴いていく……という作業の繰り返しでした。
ありがたいことに、一回目の絞り込みの時点でこの楽曲が見つかりました。
中盤からの盛り上がりが、完全に出展者紹介パートで使うイメージでマッチしたので、残りの箇所をどうするかをこの後決めていきました

大まかなカット割りと、ポエム尺の確定

こちら、楽曲決まって最初に作ったVコンテです。
「 な ん か い い 感 じ の ポ エ ム 」

はい。マジで何も決まらないままカット?構成?を決めました。
どこでカットを割るのかや、ポエムが挿入できる概ねの量が楽曲に合わせることで確定できたので、これで詳細を詰める準備ができました。

ここで参考資料の追加とかをどんどんしました。
以下の写真は自宅で使えそうかなと思った物理参考資料の写真です。

物理書籍写真

大体が直近みた映画の中でも「創作にまつわる」作品のパンフレットや、DVD・BD、監督よりも美術系の統括してる人のインタビューが載ってた覚えのある作品のムック本と、風景実写は使うつもりだったので写真集なんかをかき集めてきました。
「自信のない自分へ」という初期プロットのレールに乗って、多くの人に届くようなポエムを作るなら、できるだけ先人がどういう創作感でインタビューを受けてたのかなどの情報が欲しくて本棚ひっくり返してました
ちらっと見えるものだと、下の紙袋が映画「ハケンアニメ!」のパンフレットが入っている「カット袋」風のコンポーネント。白地に黄色のロゴが見えてるのが映画「バクマン」のパンフレットですね。
上の方にBDケースがありますが「Arc -アーク-」「サマーフィルムにのって」の円盤を引っ張り出してきて、良いシーンやセリフがないか確認してました。

今回の代表的なリファレンス群については、この後改めて細かくまとめておきます。

ポエムの下書き

4月に地生さんにOP誘われて断った状態で、もしもう一度やる機会があればと、「自分自身にとってFRENZや創作ってなんなのか」をできるだけ言語化したメモがあったので、そこを足掛かりに「自信のない自分へ」という話とも絡めながらキーフレーズを生み出そうとしました。

自信のなかった、何も作ってなかった時の自分ってどうだったんだろうと思うと、やっぱり良い作品をくらった時に絶対に悔しさがあって、もう一歩踏み出せたらと後悔してた気がするなと、ふと思いました。
そんな自分に対して、自分が作った今年のOPを見たら何をしてほしいんだろう?作家という自分が、視聴者の自分には一体何をしてほしいんだろうか?
作家の自分は、きっといろんな作品や世界を咀嚼することで、新しく何かを生み出そうとしている。そんな作家が一番うれしい時って、そうして咀嚼したものを誰かに認めてもらえたのをちゃんと認識できたときだろうなと。
大テーマ「いつかの、見る側だった自分へ」、キーフレーズ「どうか、盛大な拍手を」というのは、この流れで生まれたものでした。

ここまで来たら、後はともかく長さをそろえてポエムをゴリゴリ書き出す作業をするだけ。出先でGoogleKeepやnotion、スプレッドシートにともかく書きなぐる日々でした。
そんな中で、もう一つ大事なフレーズとして「言葉に表せない手紙」というのも出てきました。Twitterでどなたかが「映像作品って、作者が言葉に表せないような何かを伝えようよしている、新しいコミュニケーション手段なのかも」ということをツイートされてる方がいらっしゃったのを思い出し、それを元に作り出した形になります

一通り書ききったところで、筋の通ったポエムができましたが、今ひとつ言い回しが弱い感じだったため、よりよい形へと変えようとしたところで、やんわりさんが監修をしてくださるということで手を上げてくださり、最終的な形へと変えてくださいました。

ポエムを元に何を撮影するのか決め、再度リファレンスと、テスト撮影用の小物集め

キーフレーズをラストに据える構成にして、下書き段階で出展者紹介の前に「言葉に表せない手紙」というのを据えるのも決まったので、撮影したい小物をどうしたらよいのか含めて、画作り関連のリファレンスでも収集を始めました。
色んなリファレンスを集めていくうちに「ハンドクラフト」「アンティーク」という2大ジャンルで小物を集め、その中心に手紙を据えるという撮影の形が決まってきました
最終的にそろえたリファレンスの中でも、代表的なものをこのあたりでまとめておきます。


☆文字みせ、ポエム、リリックの参考資料

  • NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」OPシーケンス

    • 前述のとおり、本作最大のリファレンスです。

  • 【Live2D_2020】Bravery

    • ストーリーを文字で見せるというアイデアと、後ろに映像入れてもいいんだという感覚の大元になってます。

  • 日本エステティック業協会(AEA)コンセプトムービー「十年分の私へ」フルバージョン

    • 言葉回しというか、ストーリーと絡めた画としての表現が参考になっている印象です。

  • BUMP OF CHICKEN「記念撮影」リリックビデオ

    • リリックを殺さずに後ろに映像を置くのにどうしたらいいんだろうなと考えてたタイミングでよく見てました。


☆ポエム自体に活かせそうということで参考にした作品

  • 映画「ハケンアニメ」

    • アニメ制作の現場を描いた「おしごともの」映画。

    • クリエイティブの現場で考えていることが非常に端的なセリフでまとまっていてすごく良いです。

  • 映画・漫画「映画大好きポンポさん」

    • FRENZの現場ではある意味おなじみ?の漫画と、それを原作にした映画。

    • 創作者の狂い具合を表すような言葉を探すのにだいぶ見返しました。

  • 漫画「海が走るエンドロール」

    • 映画を作る少女漫画。

    • 主人公のうみ子が「映画を見ている客席を見るのが好き」な人ということで、「いつかの、見る側だった自分へ」の大テーマへつながる感じになりました。

  • 漫画「ハックス!」

    • 機能美pさんにおススメされて読んだ漫画。

    • 部活でアニメを作る話だが、言語化が苦手な主人公みよしがひたすら作品にかじりつく姿が「作品は、言葉に表せない~」というくだりがツイッターでどなたかがつぶやいていたのを思い出すきっかけになりました。

  • FRENZ2018二日目夜の部OP「HISTORY」

    • 前述の「海が走るエンドロール」から、見に来た人・客席のことを思い出したときに、FRENZのOPでそのことを描いていた作品だったことを思い出して確認しました。

  • そんな話を彁は喰った。/ 機能美p

    • 昨年のFRENZ出展作で、めちゃくちゃに話題になった一本でした。

    • 特に後半の怒涛の畳みかけの箇所は、クリエイティブとは何だと問いかけられているような気がしていたので、良い言い回しがないか参考にしました。

  • ののの、FRENZ2022に出てみた!配信と会場の反応まとめ【#VTuber切り抜き #FRENZ_JP

    • こちらも昨年の出展作から。

    • クリエイティブの苦しさを端的な言葉に表されていたような覚えがあって参考に見ました。

  • 自主制作MV - 地下二階の魔物

    • 同じく昨年の出展作から。

    • 歌詞は「板の上の魔物」とほとんど変わらないものの、「言葉の印象」が背景の映像によってどう変わるのか、それがクリエイティブの現場・作品から受けたものだとどうなるのかを参考にしたくて見ました。


☆小物などのデザイン参考例

  • Kaoru Miyazakiさん作品から2つ

    • 昨年の自分のFRENZ出展作でタイトルロゴのデザインを担当してくれた友人の制作物から2つほど参考にしました。

    • 何度かハンドクラフト系ジャンルに挑戦していたのと、シーリングスタンプを試していたのを思い出し、手紙を使うとなったときに真っ先に参考資料に上げました。

  • ヨルシカ - 藍二乗 (Music Video)

    • 手紙と言えば、万年筆とインク瓶!という安直な発想で、このMVを思い出して、インク瓶どれを買うかの参考資料にしました。

    • 最終的にこのMVに出てくるのと同じシリーズと同じインクを買いましたが、いろんな色があってバリエーションがスゴイ良いのでおススメです。

    • 選んだインク瓶が「深海 shin-kai」だったのは色が気に入ったのもありますが、自分のハンネIDの「kuroi_shin」と被ってるのと、昨年の出展作で音源提供いただいたのが「エルセとさめのぽき」という「海の底から来たVtuber」だった繋がりで選びました。

  • アニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」シリーズ

    • 昨今のアニメで「手紙」と言えば、本作を思い出す人も多いでしょうし、自分もそうでした。

    • 手紙繋がりから「アンティーク」ジャンルの小物を探す参考資料としてかなり見ました。

  • エルマ (Album Trailer)

    • 手紙ではないですが、机の上をどう配置したら見栄えが良くなりそうかなどをすごく参考にしました。


☆その他参考資料

  • 上白石萌歌/adieu「よるのあと」

    • 風景パートでどういうのを挟むときれいに見えるのかを検討する際の参考資料にしました

  • FiND YOTSUBA -「よつばと!」カレンダー写真集-

    • 個人的にすごい参考にする機会の多い「キャラ×実写」の写真集

    • どういった風景をもってきたら良いかなというのになんどか目を通しました。



テスト撮影と小物について

色々リファレンスは集まりましたが、まだ出展者紹介どうするかも決まっていない状態でした。それでもともかく、まずは自宅での撮影で最低限「バえる」のかの確認のために各種小物を買ってきてテスト撮影をしました

特に制作開始時は、自前で持ってるカメラが4月に買い替えたばかりで、レンズも単焦点1本しかなかったので、ちゃんと良い画が自力で撮影できるかは急ぎで確認すべきポイントでした。
以下が実際にテスト撮影したシーケンスのスクショです。

テスト撮影のスクショ

小物ですが、7割Amazon、2割ダイソー、1割自前です。
ハンドクラフトジャンルにおいて、ダイソーは神がかり的な品ぞろえをしています。かゆいところに手が届く。スゴイです。おススメです。
デキャンタ瓶やダミーブックなんかの大きめの物はAmazonでそれっぽいデザインのものを注文したら、その週の土曜日には届いたので、日曜日ぐらいにはテスト撮影できた覚えがあります。

自前のものですが、背景用の黒布は、FRENZ実行委員会とAEオフというイベントが共同でやったオンラインイベント「RENDA」にて、自分がユザワヤで購入して持ち込んでいた黒背景用の布だったりします。

(実際のRENDAの様子はこちらからどうぞ。LEDパネルの裏の黒布が今回の黒背景用の布に転用されました)

上記の画像のようなテストショットで、OP完成に向かっての道筋が概ね見えたので、方向性を確定させて走りきる決意をしました。

チェキについて

かなり悩んだのが出展者紹介でした。
概ね全体の方向性を決めたので、ここからブレない形で一人ずつ、丁寧にやりたいという思いはあったのですが、じゃあどうやってやろうか~!と部屋をぐるぐる見渡していたら、

※自宅の制作デスクの後ろのディスプレイエリア
※自宅の制作デスクの後ろのディスプレイエリア

あ~~~!そういえば!!
以前お手伝いしていた、角巻わためさんのライブOP制作で、配信切り抜いたチェキを使ったし、チェキ用のプリンターとフィルムが残ってる!!!!

最初はアイコン写しただけのチェキにしようかと思ったんですが、オープニングのレギュ的にも名前を載せるのは必須だぁ~~~となって、普段手描きの文字書くことがほとんどなくなっていて慣れてないのですが、無限にペン文字の練習してました。
できるだけ皆さんの名前に失礼がないように、丁寧に、きれいに、美しく……(頑張っても汚い部分はどうかご容赦を)

記録用に、全員分名前書き終わった時に撮影した写真

撮影機材・実写素材について

今年4月にカメラを変えたのは先述したとおりです。
使っているのはSONY ZV-E1。

以前がBlackmagic Poket Cinema Camera 4K(BMPCC4K)でした。

交換をずっと考えていて、BMPCC4Kをついに交換した形でした。
BMPCC4Kがともかく重くて、重くて……「ポケット」の名前を恥じてもろて….…
そんな事もあって、BMPCC4Kは良い画角を探すのに体力をめちゃくちゃ使うカメラのため、ワンオペ撮影マンが取り回すには不向きな印象のカメラでした。

そこでずっと交換先のカメラを探していたため、前述のZV-E1へと取り替えて、競馬場とかで遊んでました。
作中のバラの花のカットは、まさに競馬場で撮影した物でした(???)

オークス当日に場内散歩して撮影した映像から切り抜いて、本作のバラのカットになりました
推しに勝った馬
頑張ってる推し

ZV-E1、実際触ると分かりますが小型で取り回しがめちゃくちゃ良いです……!これでフルサイズセンサーというのもうれしいポイント。
バッテリー持ちが悪いという欠点はありますが、最悪数を揃えたり、給電しっかりすればなんとでもなるので、さほど欠点らしいものは現状では感じていないです。

カメラとは別に、今回の出展者紹介パートで顕著に活躍したのは、新規導入した80cm電動カメラスライダー

カメラの乗ってる機材がスライダーです

商品説明写真みたいな斜め状態でレールを使うにはもっと軽いカメラにしないとダメそうですが、水平にレール使う分には問題なく使えました。
今回は一定速度で撮影をした素材をAE上でタイムリマップを使いイージングがついたようなカメラワークに見える表現にしていました。

また一部の素材を、昨年の深夜OPを担当されたiimoさんが主催されている素材集「patchwork」シリーズに自分が提供した実写素材から2つ、別の方が提供した素材から2つほど引用しました。
この場を借りて「patchworkはいいぞ!」と宣伝をさせてください
自分が提供した素材2つのうち片方は、FRENZ2017出展作にも使った素材なので、もしかしたらその共通点で自分がOP担当だと気がついた方もいたかもしれないですね。

DL版販売場所
https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=985831

OP内で夕焼けの空に映り込んだ建物の壁面に、FRENZのロゴを合成しているカットがあり、一部の方からその合成で僕が作ってると気がついたという方がいらっしゃいました。
あの箇所は、元々は「OKマート」のロゴが思いっきり入ってしまっていたので隠さなきゃと思って入れ込んだ箇所なので、あそこでバレるのは正直予想外でしたw

元々の看板

OP制作総括

長々と書きましたが、こんな感じでOPムービーを作っていました。

自分の自主制作は、2017年ぐらいまでは「やりたい技術が先行」する映像を多く作っていて、ビジュアルや意味付けがおろそかになっていたなーと思い出す次第です
大体一昨年ぐらいから、自分が映像を作ろうとなる時に、できるだけビジュアルの構成と意味づけをしっかりやろうと意識してきましたが、去年の出展作以降かなりそれができるようになってきた気がします。
今回は時間的にも切羽詰まった中でしっかりやれたので、自分の成長を感じ取れました。

制作風景

FRENZのOPといえば、その年なら誰もがこの人ならと納得できるような人が採用されてるイメージがずっと僕の中にはありました
そのお鉢がついに自分のところに回ってきたというのがやはり嬉しかったですし、一度断ってもなお制作するチャンスが巡ってきて、ちゃんと実力を出し切れたと思える作品が作れたことに本当に感謝しています。
今度はまた、OPではない作品で、いち出展者として、誰かに届く作品を作れたら良いなと思います

今年のFRENZ、個人的な総括

ここからはOP作品関係なしに、FRENZ全体を通して思った個人的な所感を書きたいなと思います。

出展作品全体を通して抱いた印象

具体的な作品を挙げてしまうと、挙げてない作品と不公平感があるので、ここでは具体的にどの作品が~というのは避けたいなと思います。
今年は本当に幅広く、様々なジャンルが入り乱れていた印象が強かったですが、その中でも感じた4点を取り上げておきたいなと思います

現地テクリハをしている黒井の図
  • ともかく手描きの勢いがすごい

    • コロナ渦で、実写MVができないからと、多くのミュージシャンが個人アニメ制作者に声をかけたりしたのをきっかけに始まった「アニメーションMVブーム」の波がFRENZにも到来した感。

    • 今年の出展作でいうと、イラストレーターさんが枚数いっぱい書いてきてMVにするパターンもあれば、インディーアニメ系でおひとりで全部やる系の人も。

    • 作風も各々の個性が絵柄や技法という形でとがっていて、同じ手描き系でも単調にはならず、素直に様々な作品が見れた気持ちで、本当に楽しませてもらいました。

    • 訴求力という点では、昨年のオオトリを務めたえいりな刃物さんの作品が好きで~と壇上でしゃべられている方が多かった印象はあるため、彼女経由で来てくださってるイラスト・描き勢の人がすごく増えたのは一因なのかもと感じてます。

  • 一人で全部やるマン達が増加傾向

    • 映像も音楽も全部ひとりでやりきる人が、一時期に比べて増えてきた印象でした。

    • それこそ2022のyama_koさんの作品「MOONSITE」に代表されるような、「映像がメインだった作家さんが音楽に手を出しました」系ではなく、初出展からすでに全部やってる人というのが今年は特に多かった印象でした。

  • 一時期すごかったボカロ・BMS系は少ない

    • ngkz_さん&84yenさんの打ち上げ配信でも言及されていましたが、「VOCALOID」のキャラクターそのものが出てくる機会はすごく減ったと思います。同様に、BMSイベントへの参加を前提として、先にFRENZで公開するような作品はすごく少なくなったように思います。

    • 個人的には以前あったような3DCGゴリッと系のようなBMS系の作品がもう数作増えてもいいなーと感じてる次第です。是非どなたか……!!

  • TLでよく見かけるリリックタイポ系を逆にほとんど見ない

    • 個人的に一番疑問?な点。

    • TwitterのTLでものすごく見かけるリリックタイポ系ジャンルの作家さんがすごく少ない印象でした。今年の出展作で「ギリギリそうかも?」というのを個人的にカウントしてみても5作ほどでした。

    • 毎日のようにTLで見かけるリリックタイポ系の作家さんには、イベントの訴求ができてないということなんだろうか?と少し疑問に思ったりしてます。

スタッフになって思うこと

最後に少しだけ、今年初めてFRENZのスタッフになって思うことを書かせてもらえたら。
悪い話をしようとかは思ってないですし、正直そこまでイベント運営していて、来年に向けて改革したいことはあれど、愚痴るような話はないので、ただただFRENZというイベントへの気持ちを書きます。

今年はイベント統括として、本当に様々なバックエンド部分の運営に関わらせてもらいました。

皆さんの最終提出作品の音量バランスの調整や、専用コーデックへの変換も自分が担当でした。
そんな担当だったこともあり、上映用マスターファイル握ってるのが事実上自分だけで、ここで病欠・重度のけがをしたら~という恐怖に襲われながら、最後の一週間ぐらいは会社に出勤してましたし、当日もそんな気持ちで電車に乗ってました(笑)
一応、クラウドにマスターデータのバックアップ置いてたので、最悪現地でDLできましたが、それでも生きてLPOまでたどり着くことが最大の目標みたいな気持ちでした。
現地で音響的な問題をご指摘いただくことがありその点で出展者・参加者の皆さんに申し訳なかったと思っていますが、無事に全作品を映像そのものは上映がすべて滞りなくできたことは本当にうれしかったです。
とはいえ、このあたりは来年色々仕組みの簡素化やバックアップを取る方式をしっかりして、より安心できる運営体制にしていけたらと思います。

唯一、自分がバックエンド業務でノータッチ状態の内容と言えば、音響部分になるかなと思います
この部分はスタッフのA-KIさんが、ご自身の会社で所有している機材と、社員さんを設営・調整のスタッフとしてご提供いただく形で成り立ってました。そのため、当日の設営や撤収はほとんどお任せしていました。
正直例年にも劣らないレベルで音響がちゃんとできたのはA-KIさんのご協力あってでした。ありがとうございました。

ただ、自分がもっと音響に強ければ、A-KIさんたちをサポートしてより良いイベントにできたのではないだろうか等と、少し傲慢なことを考えてしまいます。
今後またより良いイベントにするために、たぶんイベント統括をする立場としては薄く広く知識を広げておくことが大事だと思うため、特に音響関連の知見を広げていきたいなと薄っすら思ってる次第です
ちょうど上映機材のテストで買ったDTM機材があるので、何年かかけて音楽方面も手を伸ばして知識をふやせれたら色々サポートできる箇所が増えて楽しいかなーとか思ったりしています。

スタッフになって改めて昨年までの体制がいかにすごかったのかを身にしみて体感している次第です。
来年も、皆様により良いイベントをお届けできるように、運営的な努力も頑張っていきたい所存です。

というわけでまた来年、あの場所でお会いできたら!!
お疲れさまでした!!