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ニンジャスレイヤーTRPG第二版用シナリオ【救出】

この記事は「ニンジャスレイヤーTRPG二版」用のシナリオです。
このゲームのシナリオには、「隠された背景」や「マップの構造」など、プレイヤーは読んでいない方が楽しめる要素が含まれているため、基本的には進行役のニンジャマスターだけが読みます。
このシナリオはモータルのアウトロー用に作成されており、普段よりもノワールでピカレスクな設定をお楽しみいただけます。

◆シナリオサマリー

 対象:作成したてのモータルPC3〜4人
 難易度:ノーマル〜ハード程度
 キャラロスト:あり
 余暇:標準(4スロット)


【ダンゴウ】

宵の口。突然君たちのIRC端末にノーティスが入った。
発信元は『笑い爺』。

「ドーモ。仕事の依頼です。緊急の救出任務。下記の住所まで集合」

わざわざ緊急ということは珍しい。
君たちは装備を整え、指定された合流地点に向かった。

指定されたのは、フルカワ・ストリートにある廃墟となったカンオケ・ホテルだった。壁に埋め込まれたカンオケめいたカプセルで人が寝泊まりする、就寝のみを目的とした完璧なリラクゼーション空間である。
いまやカプセルは取り外され、十字の枠だけが残っている。6階66番の札が掛かったところに、屈強なヤクザバウンサーが腰掛けていた。
『笑い爺』の代理人だ。

「ドーモ、よくぞお越しいただきました」

バウンサーは丁寧にオジギし、話を始めた。

「あなたたちに頼みたいのは救出任務です。いまから74分前、ターゲットを乗せたバンが襲撃されました。彼はブチコワシ・コンストラクション社の大規模な不正に関する裁判の重要参考人でした。恐らくは口封じでしょう。
護衛は全滅しましたが、ターゲットは地下に逃れることが出来たそうです。ただ、地下は危険な場所です。助け出さなければ遠からず彼は死ぬでしょう。敵の追っ手が彼を見つけ出し、口を封じる方が先かもしれません。
ASAPでお願いします。この依頼を引き受けてくださいますか?」

君たちへの依頼は以下の通りだ:

◉行方の分からなくなったターゲット、『タカハシ・タケシ』を救出する。
◉障害は必ずしも排除する必要はなく、あくまでターゲットの確保が優先。
◉最悪の場合、ターゲットの身に付けているハンドヘルドUNIXだけでも確保しなければならない。これには裁判を有利に進められる様々な証拠が収められている。

「何か質問はあるか? ……なければ仕事を始めてくれ」

【情報収集フェイズ】

今回は緊急の任務であるため、PCにはMAPを手に入れたり、情報を得ることは出来ない。
各PCは【ニューロン】と【ワザマエ】の判定を一回ずつ行う。難易度はHARDであり、サイバネなどの修正を加えることは出来るが、知識技能や交渉技能を加えることは出来ない。
成功した場合、【ニューロン】なら「即応ダイス」を2個、【ワザマエ】なら「緊急回避ダイス」を2個獲得する。

【メインフェイズ】

悪臭漂う下水管の入り口。ここからターゲットの逃げ込んだ地下空間に辿り着けるようだ。ネオサイタマの地下は上下水道はもとより旧世代の地下空間や地下鉄遺構、更に違法採掘された坑道や密輸経路が野放図に広がり、崩落し、繋がり出来上がったアリの巣めいた地下迷宮だ。

もはや完全に内容を把握しているものなど一人も存在せず、また調査を行おうにも危険なバイオ生物が棲みつきそれすらままならない。ナビゲーションシステムの助けがなければ入って出ることすら叶わないだろう。

ターゲットがバイオ白ワニのエサになるのも時間の問題だ。君たちは死の領域に足を踏み入れた。

このフェイズでは本格的な地下道の探索が開始される。地下は光の届かない闇の中だが、特に光源については気にしなくて良い。気にするプレイヤーがいるなら、プロフェッショナルである君たちは当然暗所で活動出来る装備を持っていることを理解してもらおう。暗視ゴーグル、または民生品のサイバーサングラスでも十分暗闇に対応出来る。


【救出】MAP

【救出】MAP - Google スプレッドシート

こちらはGoogleスプレッドシートで作成したMAPだ。敵の配置などがすべて記載された『ネタバレ』仕様なので、NMは必要に応じて情報を制限すること。このシートをコピーするか、ドライヴにダウンロードすることで自由に使用することが出来る。

①入り口

街中から集められた重金属酸性雨がひと所に集められ、ロクな処理もされないままに垂れ流されている。黒々とした水にはゴミ、何らかの容器、注射器などが浮かんでいる。

凄まじい悪臭のするアーチ型の下水路に君たちは入り込んだ。水路を挟んで両脇には辛うじて人が2人通れるくらいの足場があり、錆びた橋もかけられている。最奥には鉄格子があり、UNIXの筐体、流木、人骨などが引っかかっている。格子は強固で破壊は出来なさそうだ。

探索はここの「初期配置マスやから開始される。ターゲットを確保すると、「初期配置マス」は「脱出マス」に変化する。

②メンテナンス通路1

エアロックを開くと、壁面にパイプがいくつもヘビのように絡まったメンテナンス用の通路が姿を現した。頼らないタングステン・ボンボリの灯りが部屋を照らしている。老朽化した配管から、時折スチームが漏れている。

壁にあるいくつかの配管は『体力:1』を持ち、0になった場合その攻撃フェイズの終了時に隣接しているすべてのキャラに蒸気噴射による1ダメージを与える(回避難易度NORMAL)。このダメージは『時間差』として扱われ、何らかの攻撃が他に行われていたなら個別に回避しなくてはならない。

③広間

入口とはちょうど鉄格子を挟んで向かい側にある合流スペース。高所から落ちてくる滝めいた汚水の流れがいくつかある。闇はずっと奥まで続いており、暗視装置でも見通せない。左手側にはエアロックがあり、もう少しマシな場所まで続いていそうだ。

この部屋に入った段階で、すべてのPCはd6を振る。5以上の目がひとつでも出た場合、水辺にどこかから流れてきた白いケースが浮かんでいる。幸いロック機構は流れてくる間に壊れており、開けることが出来る。

ケースの中身
1〜2:【万札】2
3〜4:ZBRアドレナリン
5〜6:気化オハギ(『精神力』4回復、次の手番開始時まで『崩れ状態』。売価【万札】10)

④バイオ白ワニの生息地

④バイオ白ワニの生息地全きな闇の中に気配を感じた。暗視装置越しにそれを見た君たちは息を呑んだ。バイオ白ワニの群れがおぼつかない眠りに微睡んでいる……!

この部屋には8体の「バイオ白ワニ」がいる。

7:モブエネミーリスト:ニンジャスレイヤーTRPG2版ルールブック(2023/01/15更新)|ニンジャスレイヤー公式/ダイハードテイルズ (diehardtales.com)

なんらかの攻撃を仕掛けた段階で目を覚まし、怒りに任せて襲い掛かって来る。この部屋は行き止まりであり、何のアイテムも存在しない。
また、この部屋は「③広間」から繋がっており、射線を通すことが出来る。バイオ白ワニは攻撃を行ったキャラがバイオ白ワニよりイニシアチブが低くない限り、攻撃を受けたそのターンから行動を開始することが出来る。
バイオ白ワニの知性は低いため、近くにいる敵を優先的に攻撃する。

⑤連絡通路

覚束ないタングステン・ボンボリの灯りに照らされた連絡通路。無機質なコンクリート打ちっぱなしの壁には「安全第一」「急ぐと死ぬ」「二人一組」などの警句ショドーが掛けられている。
L字型の通路の左手側に『休憩室』とプレートのつけられた扉があり、その奥には分厚い耐圧ドアがある。ドアは向こう側から施錠されており、大量の爆薬でもなければ開くことは出来そうにない。

一番奥の扉はPCがいかなる手段を用いたとしても破壊することは出来ない。

⑥休憩室

快適な室温と新鮮な空気が保たれた休憩室。簡素な造りのテーブルとイス、それから壁際には仮眠用であろうソファ。テレビ、ラジオなどの娯楽設備に加えて、冷蔵庫や簡単なキッチンもある。
入るなり、君たちはキッチンから物音を聞いた。見ると、そこには白いワイシャツを赤黒い血で染め、血走った目で見返してくる男がいた。

この部屋ではいくつかのイベントが起こる。まず、この部屋には救出ターゲットである『タカハシ・タケシ』がいる。タケシは40代後半の男性で、頭髪はやや後退して退色している。中肉中背、かつてヤブサメ部に所属していた頃に鍛えていた肉体はもはや見る影もない。それなりに仕立てのいいスーツを着ていたが、いまはもうない。君たちが自分たちの身分を明かすと、タケシは安心し君たちを歓迎する:

「ドーモ! 君たちが私の救出に来てくれたのか! ありがとう、文字通り死ぬところだった。ブチコワシの連中に襲われたんだ。おかげで俺も殺されかけたが……何とか生き延びた」
「ブチコワシ社はこうやって、邪魔なものを力づくで排除するんだ。そのせいで泣かされた人は一人や二人じゃない。どうにかしたいんだ」

ひとしきり演説した後、タケシは顔をしかめてうずくまる。見ると、右足の脹脛がざっくりと切り裂かれているのが分かる。自力での歩行が出来ないため、誰かがタケシを『運搬』する必要がある。

加えて、この部屋には救急治療用のアイテムや対バイオ生物用の武器、あるいは作業員が置き忘れたバリキドリンクなどが存在する。この部屋には3つのトレジャーボックスがあり、それぞれA、Bと区分けされている。対応する獲得アイテムについては以下の通りである:

ボックス一覧(開ける際にd6を振る、出目による獲得物は以下の通り)
トレジャーボックスA
1~2.【万札】1
3~4.濃縮バリキドリンク(『体力』1回復、使い捨て、売価2)
5~6.濃縮バリキドリンクが1d3+1個

トレジャーボックスB
1~2.【万札】2
3~4.ショットガン
5~6.マシンガン

タケシを助けた後

ニンジャの出現

タケシを助け、「⑥休憩室」を出る際は必ず全員で部屋を出る。この際、PCは通路の初期配置マスに配置されなくてはならない。全員の配置が終わったら、NMは以下の描写を読み上げる:

ギギギ、という金属が擦れるような音を君たちは聞いた。奥の耐圧扉からだ。そちらを見ると、信じ難い光景が広がっていた。

分厚い耐圧扉から、カタナが生えている……

板切れでも切るように、あっさりとカタナは扉を滑り、四角く切断した。ぽっかりと空いた穴から、なにかが滑り出してきた。

ひとつは細長いバケツのようなものを被っていた。LED走査光が右から左に走っており、それ以外にも赤や緑のランプが点灯している。サイバネか? だが、あんな大規模な改変に人体が耐えられるはずがない。
もうひとつは、猿めいた小柄な男。両手にはダガーナイフが握られており、すでにてらてらと血で濡れている。よく見ると、顔には猿を模したメンポを着けている。

そして、二人ともニンジャ装束を着ていた。
君たちは本能的に理解する。

ニンジャが現れたのだ。

御伽話の怪物が、目の前に現れたのだ。

「スキャッター」と「オフェンダー」がMAPに配置される。また、それ以外の敵も配置される。PCは彼らから逃れなければならない。
ニンジャと遭遇したため、これまでにニンジャを殺したことのないPCは「NRS判定」を行わなければならない。タケシはニンジャの恐怖を味わい失神する。特に不利な要素はないが、「ZBRアドレナリン」などを使ってもこ
のシナリオの間目覚めることはない。

10:PCキャラメイクのオプション集:ニンジャスレイヤーTRPG2版ルールブック(2023年4月27日更新)|ニンジャスレイヤー公式/ダイハードテイルズ (diehardtales.com)

なお、スキャッターとオフェンダーはモータルであるPCを舐めているため、アトモスフィアの上昇は緩やかになる。5ターン目開始時ハードに、10ターン目開始時にウルトラハードになる。
敵の配置と行動パターンについては以下の通り:

【トレジャーボックス・オブ・ニンジャ】AoS-052「スキャッターとオフェンダー」|ニンジャスレイヤー公式/ダイハードテイルズ (diehardtales.com)

スキャッター:

スキャッターはPCたちから付かず離れず移動を行う。最初に連続側転移動を行い、その後2ターンに1回の割合で連続側転移動を行う。その場合でも、少なくともすべてのPCから2マス離れた場所に移動を行う。攻撃はもっぱらスリケンを使う。彼は比較的カラテで劣ることを知っているし、近接カラテを行いながらでは趣味の残虐行為撮影が行えないからだ。彼の手には常に旧時代のハンディカムがあり、ニンジャの恐ろしい暴虐を常に記録している。

オフェンダー:

オフェンダーはタケシを運搬しているキャラを追いかけるようにして移動を行う。最初に連続側転移動を行い、その後2ターンに1回の割合で連続側転移動を行う。連続側転を行うターンには「カタナ」を装備し、そうでないターンには「カタナx2」を装備する(そのため、『連続側転判定』はダイス5個、難易度NORMALとなる)。もし移動して追い付ける相手がいなかったなら、装備を素手に変更してスリケンを使って攻撃を行う。

③広間

汚水の滝から複数の足音とヤクザスラングが聞こえてくる。
スキャッターとオフェンダーの呼んだ増援だ!

X-18、Y18、Z-18の3マスと、Q-12、R-12、Q-13、R-13の4マスに合計7体の「クローンヤクザ」が出現する。加えて、4ターン目にはAD-17とAD-18のマスに2体の「クローンヤクザ・チーム」が、7ターン目にZ-12、AA-12、AB-12のマスに3体の「クローンヤクザ」が出現する。

①入口

正気の世界の光が見える。出口はすぐそこだ!
だが、入り口を塞ぐ巨大な鉄塊がある……否! 鉄塊は両腕に備えたガトリングガンを威圧的に旋回させながら電子音声でアイサツした!
『ドーモ、モーターヤブ、デス! 投降ヲ10秒間受ケ付ケテイマス!』
制御システムのバグであり、投降は不可能だ!

C-15に1体の「モーターヤブ」を配置し、H-17とI-18、そしてH-12に「クローンヤクザ」を配置する。
モーターヤブはもっとも多くの敵を巻き込めるように《●射撃スタイル:銃弾の雨》による攻撃を行う。巻き込める敵の数が2体以下の場合、ガトリングガンによるバースト射撃を行う。

腕のデバイスを切除する:

追い詰められたPCは「少なくとも腕のデバイスを確保する」という依頼の要件を思い出す。タケシのデバイスだけを『取る』ことは可能だ。
タケシを運搬しているキャラは手番『終了フェイズ』を消費することでデバイスを切除し、運搬を即座に終了することが出来る。気絶していたタケシは目を覚ますが、泣き喚くだけで判定には一切影響を及ぼさない。
更に、置き去りにされたタケシをスキャッターとオフェンダーは嬲り殺しにしようとする。そのため、運搬を終了した次のターン、スキャッターとオフェンダーは一切行動を行わず、スリケンの的にして楽しみ撮影を行う。タケシは死亡し、その次のターンからニンジャたちは行動を再開する。

【エンディング】

ニンジャたちの追跡をかわし、君たちはついに下水道から脱出した。
正気の世界、文明の世界の光が君たちを出迎える。ニンジャなど!

このシナリオの結末にはいくつかのパターンがある:
①タケシを助け出し、脱出した
②タケシのデバイスだけを確保して脱出した
③任務に失敗した
④脱出出来なかった

①タケシを助け出し、脱出した

『笑い爺』の代理人が指定してきたのはネオサイタマ・グランドホテル。君たちの年収では一生縁のない超高級ホテルだ。仕事終わり、若干の居心地の悪さを感じながらラウンジへと進んで行くと、代理人の男と黒衣の女がボックス席に腰掛けていた。
「タカハシ・タケシ」
女はタケシの姿を確認するため、虚無的な目を向けた。声は低く、ハスキーどころかデスヴォィスと言っても過言ではない。
タケシは気圧されながらもサラリマン流の自己紹介を行った。二人は連れ立ち、ホテルの上階へと向かって行った。
「彼女がタカハシ=サンの護衛につく。何が来ようとも、これで安心出来るだろう。君たちもよくやってくれた。報酬を受け取ってくれ」
代理人はテーブルに万札素子を滑らせた。

②タケシのデバイスだけを確保して脱出した

君たちは依頼を受けたのと同じ、廃カンオケ・ホテルの一室に呼び出された。依頼を受けた時と同じく、代理人はすでにそこにいた。
「ドーモ。依頼のブツは?」
君たちがそれを差し出すと、代理人は少し逡巡して受け取った。
「依頼はこれで完了だ。では」
慇懃な態度で頭を下げ、彼は退出した。
君たちも、都市の闇に紛れる時が来た。

③任務に失敗した

最悪の展開だ。クライアントの顔に泥を塗ることになった。
今頃ブチコワシ・コンストラクションではエンカイでも開かれているだろう。逆に、クライアント側は計画していたいくつかの工作を白紙に戻さなければならなくなったはずだ。すべては企業同士の抗争、より上位のレイヤーでの戦い。一介の傭兵では到底見通せない深い闇。
命は助かったが、死ぬより恐ろしいことも覚悟しなくては……

④脱出出来なかった

君たちは恐るべきソウカイ・ニンジャたちに始末され、タケシも殺された。記録はすべて抹消され、ブチコワシ・コンストラクションは安堵した。
望むなら、セッション終了後に「アンセレクテッド・リザレクション現象」を起こしてもよい。その際、ニンジャとなって蘇ることに成功したなら、ふわふわローンの一切は減免される。死んだ人間からは金を取れないからだ。

【評価と報酬】

シナリオの評価と報酬は以下の通りである:

・タケシを助け出し、脱出した       :【万札】+35、『名声』+1
・タケシのデバイスだけを確保して脱出した :【万札】+25、『名声』+1
・任務に失敗した/脱出出来なかった    :【万札】なし、『名声』-1

【隠された背景】

ブチコワシ・コンストラクションはソウカイ・シンジケートのケツモチを受ける大規模建設企業であり、ピンハネ、建築基準法違反の建て増し、税の不正申告など様々な悪行を行い私腹を肥やしていた。従業員の待遇も最悪であり、上級社員や一部の監督役以外は奴隷めいて酷使されていた。

タカハシ・タケシも監督役として私腹を肥やす側にいたが、ある時設計ミスと資材費のピンハネのため耐久力が著しく不足していた大型ショッピングモールが崩落するという事故が起こった。数百名の死者が出たこの事故で、タケシの幼馴染であり初恋の人であったハリマ・キヌヨも亡くなってしまう。
この段に至って、タケシは自分が如何に愚かで恐ろしいことをしていたかに気付いた。しかし会社は政財界との繋がりも深く、事故の責任もワイロとマイコ・セッタイによって下請けの零細企業にすべて押し付けられ、ブチコワシ社は一切のダメージを負うことなくむしろ株価を上げた。

絶望感に駆られたタケシに接触してきたのは、アマクダリ・セクトのエージェントだった。彼らは政界への足掛かりを得るため、ブチコワシ社への正当な(そしてアマクダリにとって都合のいい)打撃を必要としていた。協力者が誰であろうとタケシにはどうでもよかった。ただ真実が明らかになり、自分も含めた関係者に正当な裁きが下ればそれでよかった。

情報を収集し、いよいよ裁判へという段階でソウカイヤも事態に気付き、タケシを消すため方々の工作に打って出た。アマクダリにとってはもはやタケシの生存はさして重要ではなかった。すでにブチコワシ社と繋がりがあった政治家を脅迫するだけの材料は整ったからだ。もしタケシが殺されたなら、系列のTV局を動かしセンセーショナルな報道で世論を動かす原動力ともなる。むしろ死んでくれていた方がありがたい。

しかし、そこで救出のため動いた男がいた。タカハシ・ケン。アマクダリ・セクトのエージェントであり、タケシが幼い頃離婚した際に離れ離れになった弟である。長年離れているため、もはやタケシはケンを見ても誰かは分からないだろう。しかしケンは、離婚してすぐに父が交通事故で亡くなり荒んだ生活を送ってきた。その日々を乗り越えることが出来たのは、温かい家族の思い出があったからだ。タケシを忘れたことは片時もなかった。

セクトの計画を知ったケンは『笑い爺』とコンタクトを取り、タケシを生かすため手を尽くした。タケシに護衛を付け、万が一の時のためにバックアップチームとしてPCたちを用意した。そして彼の想像通り、最悪の方向に事態は進展した。報酬はすべて彼のポケットマネーから出ている。

もしタケシが死ねばケンは酷く落胆するだろう。そしていずれにせよ、セクトの方針に歯向かったケンの立場は相当マズいものになる。遠からず粛清されるか、あるいは過酷な任務の中で果てるか……いずれにせよ、ケンに後悔はないだろう。

【謝辞】

本シナリオのMAPはネヤ=サンが作成したテンプレートを使用しています。
【NJRPG-2ND/プレイエイド】ネヤ式カスタムキャラクターシートV2ND-1.2.0|ネヤ (note.com)
こちらのキャラクターシートにデータを入力し、MAPの右側にある「キャラシURL」の欄にURLを入力すると自動的にデータを入力してくれます。

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