#11 コラム5

第4章が終了しました。

にわかに賑やかになってきている、増税・軽減税率・キャッシュレス還元については、ここまでの物語やコラムでもできるだけ触れてきました。この辺りは、また新しいニュースなどがでた時に、共有をしていければと思います。

さてここからは、2019年もあと1/4を残すばかりとなる中で、皆さんの来年以降の事業にとって、今から準備しておくと、有益と思われるお話を、この5章ではしていきたいと思います。

以前にも触れましたが、2020年度各省庁の概算要求が先日出ました。

全体としていえることは、日本の産業全体をいかに持続させていくか、という大テーマに沿って、それぞれの省庁が、その役割に応じた施策を考えている、という印象を受けました。

皆さんに置き換えると、「いかに事業の成長を促す売り物を作るか」、そして「いかにそれらを高い価値で売るか」、更にそうした事業を「いかに守っていくか」「いかに引き継いでいくか」と言った点で、国の施策とは大きく関わっていくものと考えられます。

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こうした、「つくる」「売る」「守る」「引き継ぐ」に関わる制度や補助金をうまく使いながら、事業のたゆまない成長と、末永い継続を目指して、来年をうまく乗り切っていきましょう。

皆さんが、それぞれの事業を、どう発展させよう、どう永続させよう、と考え、それに対して、有効なお手伝いができれば、私としてもニヤリです。

では、4つの視点において、どういう準備が考えられるかを見ていきたいと思います。

まずは、皆さんにとって共通性が高い「売る」から始めます。

ここでは、来年度も実施が濃厚と思われる「持続化補助金」について触れていきます。この補助金は、事業を持続化させるのに必要な販路の開拓に資することであれば対象となります。

本年は、応募が幾分少なかったのでしょうか、全体の採択率も高く、申請した方にとっては、良い年だったかと思います。

一方、来年が同じ競争率とは限りませんし、今年と同じようなレベルで通るとも限りません。

とはいえ、この補助金に関しては、さほど申請時に必要とされる要件は変わらないと思いますので、今年採択されて、来年も考えている方、または、来年は申請したいと考えている方は、今からの準備をお勧めします。

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この準備は、実はご自身の事業の振り返りや棚卸しにもなり、補助金の申請以上の大きな意義があったりします

公示が出てからの準備期間では間に合わないケースもありますので、時間がある時に、落ち着いてしっかりとした計画を立てて来年万全で臨みましょう!準備にあたっては、補助金で何をしたいかと言うのを明確にする以前に、ご自身の事業がどのような事業で(事業背景・沿革)、その事業はどのような市場環境にあるのかを整理します。できればSWOT分析を織り交ぜて整理をすると、わかりやすく伝えられます。

また、市場環境の整理時は、グラフや表を使いましょう。商工会議所や商工会で、面談をすることになるのですが、その際に、意外と指摘されるのは、見た目がどれだけ整っているかという点です。

ストーリーも大事ですが、キレイに作っているというのも大事なので、そういう点では、まだ時間がある今のうちに準備すれば、そうした細かいことも対応できますよね。

市場環境の分析の後には、この補助金を使って、どのようなことをしたいのかを述べるのですが、それが、自分の事業と市場環境の分析を踏まえて、事業の持続に繋がるものになっているか、のストーリーがうまく描けているかが一番重要なポイントとなります。

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このストーリーが腹落ちするものになっていれば、十中八九通ります。

最後は、その具体案がもたらす効果を、数字を使って示して終わりです。

一見難しいようですが、書き方のコツをつかんでしまえば、それほどの難易度ではありません。私が支援した事業主の皆さん、どの方もこの作業を通じて、普段は考えもしなかった事業を見つめ直すことができたと喜んでいました。来年は、皆さんもぜひ体験してみてください~

さて、そんな持続化補助金ですが、「やってみたいが、どんなことをしたら良いのか?」と迷われている方も多いかと思います。

今までは、とかくホームページ補助金などとも言われ、販路開拓の第一ステップとしてホームページ作成をされる方が多かったようです。

これは私の個人的な考えも混じるのですが、ホームページは、与信時などには必要かと思いますが、一方、今の時代、本当の意味で顧客の開拓や維持に繋がっているかと言うと、疑問もあります。ホームページができることは、サイトを訪れてきた方に対して、情報を伝えることですが、裏返すと、こちらから相手に対してアプローチすることは難しい手段とも言えます。

そこでズバリ、来年のおススメは、アプリ開発です!

今、アプリ開発のコモディティ化が進み、持続化補助金を使って自社アプリが開発できます(ここだけの話ですがニヤリ

下に、ホームページとの比較を載せていますが、一度接点を持ったお客様との継続的な関係づくりにはアプリはとても便利です

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LINE@(ラインアット)をやっているよ!と言う方もいらっしゃるかと思いますが、お客様との細かい関係づくりには、アプリの方が向いています。お客様との関係強化を図っていきたい!と思われている方は一度検討されてみてはいかがでしょうか。持続化補助金は、手軽で使い勝手も良いので、皆さんの事業に合わせ様々な活用が考えられますので、まだやったことのない方は、一度考えてみてはいかがでしょうか。

では続いてのお話は、事業を存続させることにフォーカスを当てた、
「守る」「引き継ぐ」です。

「守る」については、
中小企業強靭化法がこの夏に成立しました。つい最近も、記憶に新しいところで九州や千葉県での台風による被害が社会問題になっています。こうした自然災害に対して、防災・減災の観点で、いざという時の被害を最小化し、事業の再開を早めることなど、企業が事前にできることを考えるよう促す制度が成立しました。それが前にも述べた経営持続力計画です。私の会社でも、この制度にのっとり、防災・減災対策を計画している最中です。災害は考えたくない出来事ですが、万一に備えることが事業継続には欠かせないことでもあるので、この機会に考えることは重要かもしれません。

「引き継ぐ」においては、
現在日本の高齢経営者の事業承継に関わる課題が取りざたされています。中小企業約400万社弱の中で、2025年までに70歳を超える経営者は250万人弱と言われています。更にその半数以上が、後継者が決まっていないとも言われています。

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今の経営者が健康でいるうちに、事業を引き継ぎ、健全な形で緩やかに承継することが大事だと思われます。そうした健全な承継をした時、これも前に述べた、承継補助金は、来年もあると思われますので、うまく活用していってもらいたいと思います。

このコラムの最後のテーマは「つくる」です。

事業の新しい売り物をつくる、と言うのはとても大変なことです。特に、働き手人口が減っていく中で、事業を成長させていくことは、並大抵のことではありません。そういう意味でも、革新的な売り物をつくり、事業の持続を図ることはとても意義のある事ですね。その点で、ものづくり補助金は、とても良い制度だと考えます。一方で、この補助金の今の使われ方で言うと、製造業を中心に、既存の製造ラインの延長上で申請されていることも多いように感じます。

そんな中、先日、こんな話を聞きました。

私の知り合いのデジタルサイエンティストが、水産会社と一緒に、AIを使ってカツオの一本釣りの漁場選定をするシステムの開発を始めたというのです。漁獲量の減る中、AIを活用して効率的に小型漁船でも採算が取れるようにし、燃料コストの削減、省人化を図るのだそうです。彼曰く、様々な産業をデジタルを活用し、構造的にリノベーションすることで、就労人口の減少問題、環境問題、廃棄ロス問題社会課題など、多くの社会問題を解決できるだろうと言っていました。

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こうした、大義のある事業革新こそ。ものづくり補助金を使う意味があるのではないでしょうか。皆さんの中にある大志を、こうした制度も活用して実現するというのは素敵なことだと思います。

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