ウェルダンのお話
スペースでウェルダンのことについていろいろおしゃべりはしましたが、そういえば文章には残してなかったな~と。私が頭の中でやっていたことを整理していこうかなと思います。1周年ですしおすし。
急な思いつきで書いたので文章がまとまっていないかもしれません。許してください。
テーマとして渡されたのは「大人になって忘れてしまったことを思い出す」です。
きっかけ
私がウェルダンのmvを制作する事になったきっかけは、なんと漫画がきっかけだったそうです。
「この漫画が描けるなら任せたい」と思ったとのこと。思えばウェルダンのmvのテーマとこの漫画は少し近いんですよね。好きだった物を手放してしまって、それを思い出すという点では似ていますね。
以下、mvの原案として駱駝さんと森さんに渡された文章
テーマ「大人になって忘れてしまったことを思い出す」
ぬいぐるみ(例えば くま? ご自由にお願いします)
主人公 女性
絵の枚数が多くなりそうなので上手に手を抜いてほしい
これはあくまでアイデアなので改変・省略等ご自由に創作してください
このくらいのラフさの白黒動画
あまり歌詞を説明しすぎない
でも絵は微妙に歌詞とリンクさせられたらうれしい
https://www.youtube.com/watch?v=n_yROh-N_LU
https://www.youtube.com/watch?v=3cwSor33KGw
https://www.youtube.com/watch?v=3Um_xMmE8OA
イントロ
大きな水滴が一つずつ落ちるループ 最後に地面から若葉が芽吹く(モノクロ)
タイトル ウェルダン
Aメロ前半
校庭でたくさん子供が遊んでるイメージ(初音ミクはジャングルジムの上とかから楽しそうに眺めている)
※それになじめないひとりの子供(そのこの視点で遠くの子供たちを眺めている→寂しそうな顔が映る)
部屋に帰ると唯一の友達という感じでぬいぐるみが登場
(うつむきながらランドセルを棚に置くorフックに掛ける→ぬいぐるみのほうへ飛び込みながら抱きつく)
Aメロ後半
※ぬいぐるみがいつもそばにいてくれたエピソードいくつか
・ニコ動でボカロを聴く (PCを見てるうしろでミクさんが歌ってる)
・ぬいぐるみと一緒のベッドで寝る(あるいは、抱きしめて寝る)
・スケッチブックかノートに絵を描く(絵の中にもぬいぐるみがいる)
Bメロ
ぬいぐるみを抱いて公園のベンチでぼーっとしている
ひとりの子供が近寄ってきて、ぬいぐるみを指さす
「これかわいいね」みたいなことを言われて、満面の笑みで返す
同じベンチに座って話す
仲良くなる→友達ができた!
ハイタッチするふたり
ベンチに座らされたぬいぐるみがそれを見つめている
サビ
※ぬいぐるみと友達との楽しい生活
一緒に自分の家で遊ぶ
・絵を描く、友達がそれをのぞき込んで褒める
・テレビゲームをする(アクションゲームのボス面、ミクさんが巨大なたこルカorミクダヨーと戦っている)
・自分の好きな曲を、ヘッドホンを渡して友達にも聞いてもらう→気に入ったように身体を揺らす友達
(時間があればの予備・友だちが自分もぬいぐるみ欲しいと言い出したので、一緒に雑貨屋へ選びに行くことにした ぬいぐるみも一緒
手をつないで道を駆けていく
雑貨屋の中で「あれかな、これかな」と見て回る
友だちがひとつのぬいぐるみを指さす
そのぬいぐるみの表情は、どこか主人公のものと似ている気がした
主人公の家の前で、お互いにぬいぐるみを抱えて笑い合う
ぬいぐるみ同士をじゃれ合わせる)
ブリッジ
曲のガチャっという音に合わせて時計の針が一つ進む
※2A
大人になるにつれて大変なことが増えていく
(さりげなくミクさんもお仕事で大変な感じに)
夜遅くまで勉強に明け暮れる日々 机にはたくさんの参考書
仕事を終え、ふらふらになりながら家(アパート)に帰る
ほこりを被ったギターとピアノ(もし細かく描写できるようなら、本棚にひっそりしまわれた初音ミクのパッケージ)を一瞥する
浮かぶ思い出
しかし壁にかけた時計(ブリッジと同じもの)に目が行く(もう遅い時間)
あきらめたように楽器から目を背け、ベッドに倒れ込む
リアアカのSNSからも離れる(ログアウト画面を開いて、「はい」をタップする)、友人とも疎遠に(チャットアプリの最後のトーク履歴は数年前)
しだいにぬいぐるみのことも忘れてしまう
帰り道(通行人にミクさん)、主人公ため息をついて月を見上げる
間奏前半
吸い込まれるように月を見上げる主人公
※何か心に引っかかるものがある
間奏後半
月がぬいぐるみの目のように見えて
ぬいぐるみと友人のことを思い出す(フラッシュバックみたいな感じで1サビのリプレイ)
2サビ
息を切らせて走って実家に帰る
部屋に戻るとぬいぐるみが変わらず待っていてくれた
ぬいぐるみを抱きしめるとベッドの上にスマホが落ちる
スマホ(ミクさんデザインのカバー)の通知
昔の友人からの「元気?」
涙を流す
アウトロ
最初の水滴のループ、 芽吹き(ここだけカラー、どことなくミクさんを想起させられるとうれしい)
原案からの解釈
駱駝さんともりさんから渡された原案を振り返ってみるとだいぶ手を加えられていますね。絵コンテ渡した時に「こんなに改変して大丈夫だろうか」と不安でしたが、「すごく良い」といってくださり嬉しかったです。
私は、mvを作る時、曲で言っていることを膨らませようと意識しています。
この曲は初音ミクと共に生きてきた人の曲として広げてみようと考えました。
懐かしいなと思ってもらえる作品にしよう。やっぱり初音ミクっていいよなって。
電車や線路って「人生」のメタファーとしてよく使われるんだよといった話を聞きました。いろんな人たちが乗り降りする電車。それは人との繋がりの入れ替わりを表してるようですよね。いつか使ってみたいなと思っていました。初音ミクが大好きな私たちの電車には、きっと初音ミクが一緒に乗ってくれてるんだろうなと思います。そして、初音ミクをきっかけに繋がった人たちもですね。
かつ、懐かしさを感じてもらいたいとも思いました。懐かしさに訴えかけることで「やっぱり初音ミクっていいよな」ってことを思い出して欲しかった。じゃあ過去のmvのオマージュをしてみようと考えました。そこで思い至ったのがストロボライトです。
https://www.nicovideo.jp/watch/sm15496537
この楽曲は部屋に閉じこもっている少女が乗っている電車が下手に進んでいきます。その対比としてウェルダンでは上手に電車を進ませようと思いました。
2007から2022へ
1番から2番の切り替え、過去から現在へ移り変わる際の描写…ですね、どういった表現が適切なんだろうなと考えた結果、至ったのはエヴァンゲリオンのs-datでした。プレイヤーのトラック番号で話数を表現していると言われていますが、ウェルダンでは年齢と年数を表現してみようと思い至りました。
大人になって忘れてしまったことを思い出す
肝心のテーマですね。この曲にあたって、具体的に何を「忘れてしまったこと」に当てはめると適切なんだろうな~と考えて、「星空」に行きつきました。星空を美しいと思う感性って、大人になってから忘れてしまうことはないでしょうか?見上げればそこにある物を「いいな」と思える感性って、どんな個性も受け入れるボカロの世界が持っていて欲しい感性だなって思います。
(星空をインターネットの数多ある作品たちに例えていると考えた人もいました。それも素敵なので採用させてください)
ウェルちゃん(オレンジ髪の女の子)が大人になり、目の前のことで精一杯になってしまって、大切だったはずの昔の思い出が無かったことかのように感じていました。そんな時、ふと上を見上げると満点の星空。その星空はあの日あの子と見上げた空と同じ夜空で、形を変えずにただそこにある。それはまるで、緑のツインテールのあの子みたいですよね。そして二人はまた同じきっかけで出会い直します。
初音ミクの立ち位置
近年、ボカロの素材が希薄になっていると感じている人も多いのではないのでしょうか。サムネイルからボカロキャラが減っているなーと感じている人もいると思います。(最近は増えてる傾向に感じますが、ウェルダン制作時はそう感じていました。)そんな中で昔の初音ミクの立ち位置を保っているマジカルミライが10周年を迎えました。そんなマジミラのコンテストに応募された曲がウェルダンです。
マジカルミライには、今の初音ミクを見て欲しいと感じています。今年のマジカルミライの初音ミクには少し驚きましたし動揺もありましたが、マジカルミライも今の初音ミクを見て欲しいのだと解釈しています。
話が逸れました。では今の初音ミクはどこにいるのか?私が出した結論は「隣ではなく向かい側」でした。私はよくボーカロイドは鏡だよって話をするんですが、ボカロの存在が希薄になりつつある今、まさにボカロが鏡に近づいていっているような気がするんですよね。じゃあ初音ミクがいるべきは向かい側の席だろうと。初音ミクはいつでも向かいの席にいて、私たちを映してくれます。
そんな彼女となら、もっと素敵な明日を作っていける気がしませんか?
いかがでしたでしょうか?この記事を読んで、もっとこの曲に対する愛を深めていただけたなら、それ以上に嬉しいことはないです。
2023/06/13 黒岩秀太‼️
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