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逆転検事 ヤンマガ版未発表脚本02

燃え盛る逆転(2)

《登場人物》
・御剣怜侍(みつるぎ・れいじ)……検事局始まって以来の天才検事
・糸鋸圭介(いとのこぎり・けいすけ)……所轄署で殺人の初動捜査を担当している刑事、御剣とは旧知の仲
・鞍馬満天(くらま・まんてん)……体操選手
・智槍啓太(ちやり・けいた)……競輪選手
・大地翔(だいち・かける)……陸上選手
・河童沙良(かわどう・さら)……水泳選手
・目樽望(めだる・のぞむ)……学長

▼シーン3(続き)

〈目樽〉[午後7時を示した時計を見上げ]「そろそろお引き取り願えますか? 今からここで学生たちとの会食がありますので」
〈糸鋸〉「それは好都合ッス。連続放火事件についてどう思っているか、学生さんたちの話も聞きたいと思っていたところッス」
〈目樽〉[眉をひそめ、困った顔で]「放火事件って……大げさな……」

 学長室のドアが開き、4人の学生が姿を見せる。全員、どことなく元気がない。

〈鞍馬〉[糸鋸に気づき]「学長――あ、すみません。来客中でしたか」
〈目樽〉「いや、気にしなくていい。このかたはもうお帰りだ。予定どおり、会食を始めることにしよう。食事は隣の応接室に用意してある」
〈糸鋸〉[4人の学生を見て]「あれ? みんな、どこかで見たことのある顔ッスね」
〈目樽〉[誇らしげに胸を張り]「当然だよ。全員、日本を代表する超一流のアスリート選手だからね。君たち、こちらのかたに自己紹介をしてあげなさい」
〈鞍馬〉「体育学部体育学科3年、鞍馬満天です。現在、体操部のキャプテンをやっております」
〈糸鋸〉「ああ! いわれてみれば、何度かテレビで見たことがあるッス! 全国大会5連覇の体操王子ッスね」[胸ポケットを探り]「こりゃ大変ッス! サインをもらわなきゃならないッス!」
〈大地〉「オレは体育学部スポーツ教育学科3年、大地翔。陸上部所属でハンマー投げが専門だ」
〈糸鋸〉「おおっ! この前、筋肉バトルで優勝した大地さんじゃないッスか! 大ファンッス!」
〈智槍〉「体育学部社会体育学科2年、智槍啓太。競輪部に所属しています」
〈糸鋸〉「うひゃあっ! 人力機関車の異名を持つ、チャーリー啓太ッ! あなたもよく知ってるッス! 感激ッス!」
〈河童〉「健康福祉学部福祉学科1年の川童沙良です。水泳部でバタフライを専門種目に頑張ってます」
〈糸鋸〉「河童沙良って……バタフライ日本記録保持者のカッパちゃんッスか?」
〈河童〉[恥ずかしそうにうつむいて]「……はい」
〈糸鋸〉「すごいッス! こんなことなら、色紙とマジックペンを持ってくるべきだったッス」

                           つづく

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