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【デッキガイド】イゼットフェニックス【ヒストリック】(MID環境)

 こんにちは、くろきと申します。今回の記事はヒストリック環境での【イゼットフェニックス】のデッキガイドとなります。【イゼットフェニックス】は現在のヒストリックでもトップクラスのデッキパワーを持ち、非常に勢いのあるデッキですが、細かな呪文を用いたアクションが多くプレイの比較的難しいデッキです。そんな本デッキについて、回すコツや構築・サイドボーディングで意識したいことを記事にしました。少しでもお役に立てる部分があれば幸いです。

※2022/7/7の調整で、《邪悪な熱気》と《ドラゴンの怒りの媒介者》が弱体化されることになりました。記事は調整前に書かれたものですのでご注意下さい。詳しい調整内容はこちらを参照。


(10/11(月)以降、ラダーで110マッチ使用。10月のミシックランクで最高#2、最終#8を達成)

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1. 現在のヒストリックと代表的なデッキ

 ヒストリックのカードプールは最近大きな変化がありました。8月末に『Jumpstart: Historic Horizons』が実装。デジタル専用カードや『モダンホライゾン』,『モダンホライゾン2』に収録されていた強力なカードが大量に追加されたのです。また9月には新拡張の『イニストラード:真夜中の狩り』も実装された他、禁止改訂もなされています。詳しい環境の変化については前回の記事も参考にしていただければと思います。

 【イゼットフェニックス】は3枚の新カードによって大きく強化されました。

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 『イニストラード:真夜中の狩り』実装後の大会結果などによって環境の研究が進んだ現在のヒストリック環境では、トップクラスに強力なデッキが3系統あり、それらが三すくみの様相を呈しているように感じられます。

☆トップメタ
・【イゼットフェニックス】
・【セレズニア人間】
・サクリファイスデッキ【ジャンドフード】【ゴルガリフード】

相性

またその他にも、
・【ジャンド城塞】
・【5Cニヴ】
・【シミックマーフォーク】
・【ジェスカイコントロール】
・【ジェスカイ独創力】
・【エンチャントレス】
・【緑単アグロ+α】
・【オーラ】
・【赤単マッドネス】
・【ラクドスアルカニスト】

などなど…見かけるデッキの種類は多岐にわたります。

2. ヒストリックの【イゼットフェニックス】

 【イゼットフェニックス】はデッキ名を冠している《弧光のフェニックス》を、1ターンに3回のインスタント・ソーサリー呪文(以下スペル)を唱えることで復活させるギミックを中心に添えたミッドレンジデッキです。《弧光のフェニックス》をなるべく早く、確実に復活させられるように軽量のスペルが大量に採用されており、それ以外のクリーチャーも軽量スペルと相性のよいもので固められています。

 本デッキは墓地対策に非常に弱いと思われがちですが、墓地に依存しないクリーチャーも多く、サイド後も墓地対策カードを喰らったうえでも十分に戦うことができます。

 【イゼットフェニックス】は現在パイオニアでも活躍していますが、ヒストリックでは《信仰無き物あさり》,《ドラゴンの怒りの媒介者》,《邪悪な熱気》のような1マナで強力な効果を持ったカードを使用できます。パイオニアのものと比較するとより高速で仕掛けやすい点が特徴的です。

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3. デッキのカード選択・構築思想

 前置きが長くなりましたが【イゼットフェニックス】のデッキ内容について見ていきましょう。次のデッキリストは自分が使用し、調整していたものです。

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※インポート用のリストは末尾に記載しています。
(MTG Decklist Viewerを使用させていただいてます、ありがとうございます!)

 またこの構築では不採用である《くすぶる卵》と《大魔導師の魔除け》を採用したタイプも存在します。細かなカード選択もリストによって様々です。

3.1. クリーチャー選択について

 【イゼットフェニックス】に採用されるクリーチャー枠についての評価を行います。今回のリストでは不採用としたものについても簡単に触れています。

[確定枠・優先枠]

◆《弧光のフェニックス》

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 デッキの核となり、このカードを複数体戦場に戻すことが一番の狙いです。しかし、墓地から復活させずに手札から唱えた場合も及第点といえるスペックを持っています。

◆《ドラゴンの怒りの媒介者》

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 《弧光のフェニックス》を探すのに便利な諜報能力を備えつつ、昂揚によって自身もアタッカーとなれるため非常に強力。ゲームの序盤から終盤までのどのタイミングでも活躍できます。

 ここまでは基本的なクリーチャー構成です。これ以降紹介するクリーチャーは一長一短であり、リストや構築思想によって違いが現れます。

[選択枠]

◆《弾けるドレイク

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(〇メリット)
・打点を伸ばしやすく、単体での影響力が高い。
・《ドラゴンの怒りの媒介者》の諜報能力は墓地の呪文を増やせて特に相性がいい。
・リソースを取りつつフィニッシャーになるのでコントロールプランに適する。
・常にタフネス4であり、《神々の憤怒》等で流されず軽い火力呪文に強い。

(×デメリット)
・4マナと重たく、序盤に引いてしまうと動きにくくなる。
・多色である上に重めなため《霊気の疾風》,《神秘の論争》などの色対策カードが特に効きやすい。

◆《嵐翼の精体

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(〇メリット)
・点数で見たマナコストが5であり、《スカイクレイブの亡霊》や《致命的な一押し》といった除去に強い。
・素のパワーが3と十分であり、リソースの枯れた状態でも最低限のアタッカーになる。

(×デメリット)
・5マナでのキャストは難しく、軽い呪文と一緒に引かなければ使いにくい。そのためこれを複数枚引いてしまったときに動きづらい。

◆《スプライトのドラゴン

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(〇メリット)
・デッキに不足している2ターン目のアクションを埋められる。
・速攻を持っており、《覆いを割く者、ナーセット》などのPWに対処しやすい。

(×デメリット)
・《致命的な一押し》や火力除去などで対処されやすい。
・もともとのサイズが小さく、受ける展開では弱い。
・リソースが枯れた後はうまく育てられず、後半トップデッキしても影響力が小さい。

◆《アゴナスの雄牛

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(〇メリット)
・《信仰無き物あさり》等で失ったリソースを取り戻すことができ、コントロールプランを立てやすい。
・ゲームが長引けば継続的な攻め手となりうる。

(×デメリット)
・他のクリーチャーは飛行を持っているものの、このカードは飛行を持たないため、相手の地上のクリーチャーを有効に使われてしまう。

◆《くすぶる卵》

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(〇メリット)
・デッキに不足している2ターン目のアクションを埋められる。
・アグロデッキ相手にもブロッカーとして機能する。
・変身後は盤面を制圧でき、コントロールプランのゴールとなる。

(×デメリット)
・変身させなければ攻め手とならず、後半トップデッキした場合には有効に使いにくい。
・本デッキは軽い呪文で構成される傾向にあるため、変身に時間やカード枚数が必要となる。構築に工夫が必要。

 この構築では、単体でのカードパワーと能動的に攻められるかどうかという点を重視して、《弾けるドレイク》3枚《嵐翼の精体》2枚の採用としました。これは現環境のヒストリックでは多種のデッキが存在するため、受けに回る展開は好ましくないという考えからきています。ほとんどのマッチアップで、メインボードの段階では自分のやりたいことを先に押し付けた側が大きく有利になる展開が多いという認識です。

3.2. スペル枠について

 《弧光のフェニックス》をなるべく早く、安定的に復活させたいため1マナのドロー呪文は必要不可欠です。またリソース回復手段になりつつ必要なカードを探すことのできる《表現の反復》は非常に強力です。

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 新カードの《邪悪な熱気》は昂揚さえ達成していれば6点火力であり、わずか1マナで相手の3~5マナのアクションに対応することができます。現在のヒストリック環境では6点火力で倒せないクリーチャーはほとんどおらず、このカードを有効に使いやすいという点が本デッキの強く評価されるべきポイントです。言うまでもなく、これを1マナ6点火力として運用できるかという点はゲームに非常に大きな影響を与えます。

 その他、追加のリソース回復手段として《約束の終焉》といったカードや、【セレズニア人間】等のアグロデッキを意識した軽い火力呪文を追加していきます。

 適当に入れたいカードを入れていくと、インスタント呪文がソーサリー呪文よりも増えていく傾向にあります。しかし、ソーサリー呪文が少ないと昂揚の達成が難しくなるためインスタント・ソーサリー割合は必ず意識したいポイントです。この構築では火力除去の枠にソーサリーである《火柱》を採用しています。

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3.3. 土地枠について

 土地の枚数については21枚+《棘平原の危険》1枚の計22枚で使用していますが、この枚数に不満はありません。《弾けるドレイク》や《アゴナスの雄牛》のような重たいカードを採用しない場合は土地の枚数を削ってもよいかもしれません。

 特殊地形を選ぶ基準として、3マナ目のアンタップインを重視しています。このデッキの最上の回りは3ターン目に《弧光のフェニックス》を復活させることであり、この動きを狙う際には必要な土地枚数が足りない状態でもドロースペルを使っていく場面が数多くあります。

 :次の状況ではアンタップイン土地を引き込む前提で《考慮》や《信仰無き物あさり》を使っていく。

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 このときにアンタップインの土地を引き込むことができるかどうかはゲームの明暗を大きく分けます。

 《弧光のフェニックス》を3ターン目に復活させるほかにも、3ターン目に《表現の反復》を使用する場合にアンタップイン土地が手札にあれば《表現の反復》からめくれた1マナの呪文をテンポよく使用することができます。本デッキにはマナフラッドに弱く、《表現の反復》はなるべく呪文を集める目的で使いたいため重要です。

 後半余分に引いた土地は《信仰無き物あさり》や《稲妻の斧》等で捨てたい場合も多く、《尖塔断の運河》(ファスト)はデメリットのあまり気にならない最高の2色土地です。また確定でアンタップインさせることのできる《河川滑りの小道 / 溶岩滑りの小道》(両面)は《硫黄の滝》(チェック)よりも優先されます。

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 《寓話の小道》は昂揚を達成させる目的では優秀ですが、3ターン目に確定タップインとなってしまうことを重く見て不採用としています。

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4. プレイの指針

◆キープ基準
・厳しいマリガンは必要ない。
 本デッキはドロー呪文が豊富で、大部分が軽い呪文で構成されています。デッキを回すうえで土地の枚数もあまり要求せず、ほとんどの初手をキープすることができます。(特定マッチアップのみ例外あり)

 土地が1枚しかなかったとしても、追加の土地を探すことのできるカードがあればキープできないかをいったん検討しましょう。一方で土地の多すぎる手札はマナフラッドの危険が大きいため、マリガンするべきです。

 ただし《信仰無き物あさり》があれば土地5枚でも十分キープできる場合があります。マリガンでよりよい手札を求めるよりも《信仰無き物あさり》を使って手札を整える方が昂揚を狙いやすく、リターンが大きいためです。

・クリーチャーの有無と呪文のバランスを意識。
 繰り返すように、今のヒストリックでは先に押し付ける側に立つことが大切です。そのためクリーチャーを出して能動的に攻めていけるかどうかという点は最初の手札を決めるうえでの1つの基準になります。

 クリーチャーを引き込めなければドロー呪文をいかすことができず、ただカードを交換しているだけとなってしまいます。そのためクリーチャーが初手にある方が好ましいです。

 一方で、クリーチャーばかりを引いてしまうとクリーチャーの能力を発揮できずに効率の悪い動きをせざるを得ません。クリーチャーとその他の呪文のバランスは意識しましょう。

 クリーチャーの有無はキープ基準の一つになりますが、ドロー呪文を使って探しにいくことができるため厳しく考えすぎる必要はありません。 

■キープ・マリガン判断の例
 
ラダー等のリストがわからない相手を想定しています。

ケース1

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 《弧光のフェニックス》こそないものの、《ドラゴンの怒りの媒介者》や《考慮》で積極的にデッキを掘り進められることに加え、除去やリソースカードもあり全く不満のない初手です。キープします。

ケース2

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 攻め手となるクリーチャーはいないものの、《考慮》や《表現の反復》で探すことができ、序盤を捌くことのできる除去も揃っています。キープします。

ケース3

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 土地は1枚しかないものの、《ドラゴンの怒りの媒介者》の諜報能力や《考慮》,《選択》で土地を見つけることはできそうです。《ドラゴンの怒りの媒介者》は2体並べると簡単に昂揚し、序盤から圧力をかけることができ魅力的です。キープします。

ケース4

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 ケース3と同様に土地が1枚です。しかし肝心の土地が《島》であり現状は《考慮》しかプレイできず、赤マナを引けなければ思うように動けません。リスクが非常に大きいためマリガンします。

ケース5

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 土地が5枚と多く、マナフラッドのリスクがあります。しかし《信仰無き物あさり》で手札を入れ替えることができ、《表現の反復》で必要なカードを探すことができます。よりよい6枚を求めてマリガンするよりもドローに期待する方がよいと判断してキープします。

ケース6

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 キーカードとなる《弧光のフェニックス》は2枚あるものの、序盤から使えるスペルがいっさいなく、クリーチャーとスペルのバランスが悪いです。何もできないターンが続くリスクが大きいためマリガンします。

◆ドロー呪文はどう使う?

選択》,《考慮》,《信仰無き物あさり》は単体ではカードを交換するだけのカードであり、何のために唱えるのかを強く意識して使用することが大切です。本デッキでは主に以下の目的で使われます。

①特定のカードを探す
(攻めるためのクリーチャー、除去、リソース獲得のための《表現の反復》等、状況にあったカードを探す)
②昂揚の達成
③《弧光のフェニックス》の復活
④呪文に関係するクリーチャーの強化・有効活用

 ドロー呪文を使用する目的を意識することで、様々な判断・決定を行いやすくなります。以下で判断・決定の例を示します。

 例1:初期手札に《考慮》,《信仰無き物あさり》,《弧光のフェニックス》が各1枚ある。土地ともう1枚のスペルを引き込められれば《弧光のフェニックス》を復活させられるため、《考慮》は3ターン目まで温存した。

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 例2:《考慮》と《選択》を1枚ずつ持っている。今は「①特定のカードを探す」目的で使用するため、墓地を増やせる《考慮》は温存して《選択》を優先的に使用することとした。

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 例3:《考慮》を使用して、魅力的な《表現の反復》がライブラリートップに確認できた。しかし、この《考慮》は「②昂揚の達成」を目的に使用したため墓地へ送ることにした。

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 例4:手札に《弾けるドレイク》と《選択》があり、相手の終了フェイズにマナが余っている。現状特定のカードが欲しいわけではないが、将来的に戦場に出す《弾けるドレイク》のパワーを上げておきたいため《選択》を使用することにした。

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◆諜報はなるべく墓地へ。

 《表現の反復》は破格の性能を持つリソース獲得カードであり、諜報でデッキトップに確認できた際には思わずそのままライブラリーに置いておきたくなります。しかし、昂揚を達成していない状況ではそのような魅力的なカードでも墓地へ送ったほうがよい場面が数多くあります。先述のように《邪悪な熱気》が2点火力であるか6点火力であるかは、これだけでゲームの勝敗を十分に分けうるものであり、昂揚の達成は非常に重要です。

 また諜報を連続で複数回行える場合では《弧光のフェニックス》へのアクセスも狙えます。引いてもよいと思えるカードでも積極的に墓地へ送っていきましょう。

◆リーサルを見逃さないよう注意する。

 このデッキは《嵐翼の精体》,《弾けるドレイク》等で急激に打点が伸びることがあります。盤面の有利不利に関わらず、相手のライフを削り切れないかということはなるべく意識しましょう。

 盤面が極端に不利な場合は《弧光のフェニックス》を全力で探しに行くことで逆転できないかを考えます。逆に盤面が有利な状況でも、余っている火力呪文を自分のクリーチャーに使用したり、相手のクリーチャーに余分に使用することでスペルを唱えた枚数を増やして打点が足りている、といった場面は見逃しがちです。

◆余分な土地は置かずに持っておく。

 《弾けるドレイク》や《約束の終焉》などの高マナ域、《信仰無き物あさり》のフラッシュバックからの追加アクション等を考えても、本デッキは土地が5枚あれば十分な場合がほとんどです。そのため《信仰無き物あさり》を引いた際に捨てるカードに困らないように、不要な土地は適当に置かずに手札に持っておいた方がよいでしょう。《神秘の論争》をケアしたい等、例外となる場合も当然あるので注意してください。

5. サイドボーディングの概観

 サイドボーディングの基本的な考え方、意識したいポイントについて解説します。

◆昂揚のためのバランスを崩さない。

 デッキ構築のときだけではなく、サイドボーディング後も昂揚達成のためのバランスが適切かを意識します。単純に除去やカウンターを入れるだけだとインスタントの枚数が多くなってしまうので、ソーサリーやディスカード手段はなるべく残す等の工夫が必要になります。

◆墓地対策に弱いカードを減らす。

 《弧光のフェニックス》や昂揚を意識して、相手は墓地対策カードをサイドインしてくることが多いでしょう。それを踏まえたうえで墓地対策をされたら全く機能しない《約束の終焉》のようなカードは積極的にサイドアウトします。

◆自分の狙うプランと噛み合わないカードを抜く。

 《神々の憤怒》は強力な全体火力呪文ですが、このカードは自分のクリーチャーにも被害を与えてしまいます。これを採用する場合は除去で相手のクリーチャーを捌きつつ《弾けるドレイク》のようなカードで逆転を狙うプランを取ることがほとんどです。その場合《ドラゴンの怒りの媒介者》は《神々の憤怒》で巻き込まれてしまい、プランに噛み合わないカードであるためサイドアウトします。このような単純な入れ替えはクリーチャーデッキ相手には非常によく行うコントロールプランとなっています。

6. 各マッチアップとサイドボーディング例

 ヒストリックで特によく見かけるデッキについて、マッチのポイントやサイドボーディングについての考えを記載します。サイドボーディングについては例に拘りすぎず、相手のデッキ構成やサイドボーデイングを見て柔軟に変更してください。

◆【セレズニア人間】

 《エスパーの歩哨》,《スレイベンの守護者、サリア》が厳しいものの、ゲームが長引けばリソース差をつけて勝つことも不可能ではありません。相手の行動を火力呪文で捌いたあと、《弾けるドレイク》や《弧光のフェニックス》による1~2ターンのアタックで勝つのが理想です。

 サイド後は典型的なコントロールプランに移行します。《エスパーの歩哨》や《スレイベンの守護者、サリア》で簡単に負けないよう、少なくとも1マナ除去が1枚はある初手をキープしたいところです。またこちらの除去が火力呪文であるため《ドロモカの命令》をうまく合わせられないように注意する必要があります。

〇サイドボーディング例

[in]
《削剥》2
《砕骨の巨人》2
《神々の憤怒》2

[out]
《信仰無き物あさり》1
《ドラゴンの怒りの媒介者》4
《約束の終焉》1

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 有効な除去はすべてサイドインし、墓地対策に弱い《約束の終焉》と《神々の憤怒》と相性が悪い《ドラゴンの怒りの媒介者》をサイドアウトします。前述のように、これがアグロデッキに対する基本的な入れ替えです。

◆【ジャンドフード】【ゴルガリフード】

 相手にこちらの飛行クリーチャーを止める手段が乏しく、《パンくずの道標》を用いたリソースエンジンを形成している間に殴りきれることが多いです。《ドラゴンの怒りの媒介者》がタフ3になって生き残りやすくなり、《邪悪な熱気》で《波乱の悪魔》や《フェイに呪われた王、コルヴォルド》,《貪欲なるリス》に対処しやすくなる、といった具合に昂揚の達成がゲームの明暗を大きく分けるマッチです。他のマッチ以上に積極的に墓地を増やしていくことが求められます。

〇サイドボーディング例

[in]
《霊気の疾風》2
《削剥》2

[out]
《火柱》2
《稲妻の斧》1
《約束の終焉》1

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 多くのカードに対処できる《霊気の疾風》、《波乱の悪魔》にも《魔女のかまど》にも対処でき、相手のエンジンを鈍らせることができる《削剥》をサイドイン。墓地対策に弱い《約束の終焉》や使いにくい除去を減らします。《魂標ランタン》は食物が余っているときに《大釜の使い魔》には効きづらいためサイドインしません。

◆【イゼットフェニックス】ミラー

 メインは先に多くの《弧光のフェニックス》にアクセスできた側が極端に有利になり、《火柱》等で返せなければ一方的なゲーム展開となります。

 サイド後はお互いに墓地対策を入れるため、《弧光のフェニックス》を復活させるのが困難になるほか、《邪悪な熱気》でタフネス3以上のクリーチャーが対処されづらくなります。サイド後はぶん回りで勝負が決まることは稀であり、細かなリソースを稼ぎながら《弾けるドレイク》等の影響力の強いクリーチャーをどんどん展開していくことができた側が有利になっていきます。

〇サイドボーディング例

[in]
《魂標ランタン》2
《神秘の論争》2
《覆いを割く者、ナーセット》1
《砕骨の巨人》2

[out]
《稲妻の斧》2
《棘平原の危険》1
《邪悪な熱気》1
《約束の終焉》1
《嵐翼の精体》2

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 《魂標ランタン》や《覆いを割く者、ナーセット》、《神秘の論争》といった妨害手段となるカード、リソース勝負を意識した《砕骨の巨人》をサイドイン。インスタント・ソーサリーでない呪文が増えて使いづらくなる《嵐翼の精体》や、リソースを失ってしまう《稲妻の斧》のようなカードをサイドアウトします。

◆【ジェスカイコントロール】

 はじめに目指すところは《ドラゴンの怒りの媒介者》を展開して《弧光のフェニックス》を探しながらライフを詰めていくことで、相手に対処を迫りながら最終的に《弾けるドレイク》を叩きつけて勝利します。とはいえ《マグマ・オパス》を早期に決められてしまうとそのままライフを詰められて厳しい展開になります。ある程度は仕方ないと割り切ってしまいましょう。サイド後は《神秘の論争》や《否認》などの妨害手段を用意することができるので、相手の大振りな動きには対応しやすくなります。

 このマッチでは《神々の憤怒》に注意して、《弧光のフェニックス》を一度にたくさん出しすぎないプレイが必要になる場合もあります。1ターンに高い打点をたたき出すよりも継続的に対処を迫っていけるほうが相手にリソースを多く使わせることができます。

〇サイドボーディング例

[in]
《魂標ランタン》2
《霊気の疾風》1
《否認》1
《厚かましい借り手》1
《神秘の論争》2
《覆いを割く者、ナーセット》1

[out]
《信仰無き物あさり》1
《火柱》2
《稲妻の斧》2
《棘平原の危険》1
《邪悪な熱気》1
《約束の終焉》1

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 相手の大振りのアクションに強い《否認》や《神秘の論争》などのカウンターや全体除去に強いカードをサイドインし、当てる先の少ない除去呪文をサイドアウトします。相手のサイドプランによっては墓地対策である《魂標ランタン》をサイドインするかどうかを柔軟に対応しましょう。

◆【ジャンド城塞】

 【ジャンドフード】以上に飛行クリーチャーの通りがよく、ライフを削りやすいため《ボーラスの城塞》もそこまでの脅威にならない場合が多いです。火力除去で盤面を捌きながらどんどんライフを削っていきましょう。

 サイド後は《神々の憤怒》が非常に有効です。【ジャンド城塞】はサイズの小さいシステムクリーチャーが多用され、《集合した中隊》などで盤面を作られても流すことができます。

〇サイドボーディング例

[in]
《霊気の疾風》2
《削剥》2
《神々の憤怒》2
《砕骨の巨人》2

[out]
《ドラゴンの怒りの媒介者》4
《稲妻の斧》2
《邪悪な熱気》1
《約束の終焉》1

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 《ボーラスの城塞》や《集合した中隊》を妨害できるカード、盤面に並んだクリーチャーを一掃できる《神々の憤怒》、除去でアドバンテージを取れつつクリーチャー面でライフを削ることができる《砕骨の巨人》をサイドイン。他のクリーチャーデッキと同様、《神々の憤怒》と噛み合いの悪い《ドラゴンの怒りの媒介者》や除去の枠を調整してサイドアウトします。

◆【シミックマーフォーク】

 ロードクリーチャーや《海と空のシヴィエルン》に上手く対処できるかがカギとなります。ロードが複数並んでしまうと2点火力で対処できなくなってしまうので、ロードを1体ずつ確実に除去していきましょう。相手が《集合した中隊》を持っている場合は火力に対応してロードが戦場に出てくる可能性があるため、相手が4マナまで伸びている場合は《集合した中隊》を合わせられないタイミングで除去を使うように注意します。

〇サイドボーディング例

[in]
《削剥》2
《神秘の論争》2
《砕骨の巨人》2
《神々の憤怒》2

[out]
《信仰無き物あさり》1
《ドラゴンの怒りの媒介者》4
《約束の終焉》1
《弧光のフェニックス》1
《嵐翼の精体》1

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 有効な除去すべてと、当たる範囲の広い《神秘の論争》をサイドインし、《ドラゴンの怒りの媒介者》のような墓地対策・受ける展開に弱いカードを減らします。これも典型的なコントロールプランです。

◆【5Cニヴ】

 《ニヴ=ミゼット再誕》でのリソース回復能力が凄まじく、こちらは細かいアクションを連打して対抗することとなります。理想的には相手が《ニヴ=ミゼット再誕》を唱えた返しのターンでの勝利を目指します。また《縄張り持ちのカヴー》にも注意が必要で、墓地を追放する能力によって昂揚や《弧光のフェニックス》の復活を阻止されてしまいます。《邪悪な熱気》や《稲妻の斧》で速やかに対処しましょう。

〇サイドボーディング例

[in]
《霊気の疾風》2
《厚かましい借り手》1
《神秘の論争》2

[out]
《稲妻の斧》1
《火柱》2
《棘平原の危険》1
《約束の終焉》1

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 《縄張り持ちのカヴー》や《運命の神、クローティス》のような墓地を追放してくるカードと《ニヴ=ミゼット再誕》を遅らせることができるカードをサイドインし、当てる対象の少ない除去呪文等をサイドアウトします。

◆【エンチャントレス】

 こちらにエンチャントを対処する手段がなく、厳しいマッチアップです。メインはこちらがライフを削り切るのが先か、相手が《九つの命》+《厳粛》のコンボを揃えるのが先かを競うこととなります。リソース獲得は軽視して、いかに効率的にライフを詰めていけるかを考えましょう。サイド後は《砕骨の巨人》の《踏みつけ》側を使用することで《九つの命》+《厳粛》のコンボを突破することができるほか、《覆いを割く者、ナーセット》や《否認》,《霊気の疾風》等で妨害もできるようになります。

〇サイドボーディング例

[in]
《霊気の疾風》2
《否認》1
《厚かましい借り手》1
《覆いを割く者、ナーセット》1
《砕骨の巨人》2

[out]
《稲妻の斧》2
《邪悪な熱気》3
《棘平原の危険》1
《約束の終焉》1

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 キーとなる《砕骨の巨人》や妨害手段となるカードをサイドインし、《真の木立ち》によって用途のなくなってしまう火力除去等をサイドアウトします。

その他のマッチアップは要望や必要等あれば可能な範囲で追記していきたいと思います。

7. 終わりに

 【イゼットフェニックス】のデッキガイドは以上です。本デッキは上手く回った時の爽快感が大きく、回すたびに新たな発見があります。細かなスペルを連打して戦うことが好きな方には本当にオススメしたいデッキです!

 思いのほか長くなってしまったのですが、最後までお読みくださりありがとうございました。記事についてご意見やご感想などいただけますと非常に励みとなります。また、もしご要望やご質問などございましたらお気軽にお知らせください。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

8. MTGアリーナ・インポート用デッキリスト

(日本語)
デッキ
4 弧光のフェニックス (GRN) 91
3 山 (ZNR) 275
4 考慮 (MID) 44
3 島 (ZNR) 269
4 信仰無き物あさり (STA) 38
4 選択 (STA) 19
4 蒸気孔 (GRN) 257
4 河川滑りの小道 (ZNR) 264
3 硫黄の滝 (DAR) 247
4 表現の反復 (STX) 186
4 尖塔断の運河 (KLR) 286
1 棘平原の危険 (ZNR) 166
1 約束の終焉 (WAR) 127
2 嵐翼の精体 (M21) 73
3 弾けるドレイク (GRN) 163
4 ドラゴンの怒りの媒介者 (MH2) 121
2 稲妻の斧 (JMP) 341
4 邪悪な熱気 (MH2) 145
2 火柱 (JMP) 355

サイドボード
2 神秘の論争 (ELD) 58
1 覆いを割く者、ナーセット (WAR) 61
1 否認 (STA) 18
2 魂標ランタン (THB) 237
1 厚かましい借り手 (ELD) 39
2 神々の憤怒 (AKR) 138
2 砕骨の巨人 (ELD) 115
2 削剥 (AKR) 136
2 霊気の疾風 (M20) 42

(English)
Deck
4 Arclight Phoenix (GRN) 91
3 Mountain (ZNR) 275
4 Consider (MID) 44
3 Island (ZNR) 269
4 Faithless Looting (STA) 38
4 Opt (STA) 19
4 Steam Vents (GRN) 257
4 Riverglide Pathway (ZNR) 264
3 Sulfur Falls (DAR) 247
4 Expressive Iteration (STX) 186
4 Spirebluff Canal (KLR) 286
1 Spikefield Hazard (ZNR) 166
1 Finale of Promise (WAR) 127
2 Stormwing Entity (M21) 73
3 Crackling Drake (GRN) 163
4 Dragon's Rage Channeler (MH2) 121
2 Lightning Axe (JMP) 341
4 Unholy Heat (MH2) 145
2 Pillar of Flame (JMP) 355

Sideboard
2 Mystical Dispute (ELD) 58
1 Narset, Parter of Veils (WAR) 61
1 Negate (STA) 18
2 Soul-Guide Lantern (THB) 237
1 Brazen Borrower (ELD) 39
2 Anger of the Gods (AKR) 138
2 Bonecrusher Giant (ELD) 115
2 Abrade (AKR) 136
2 Aether Gust (M20) 42


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