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「土地事故で負け」を減らす方法を考える

 くろきです。現在MTGアリーナはあまりやることがない状態です。時間に余裕があるので、タイミングに影響されにくいような内容の記事も書きたいなと思いました。あまり競技勢向けの記事ではないので、始めたばかりの方に読んでいただけたらとても嬉しい!

 最近たまたまMTGの土地システムについて、「初心者には受け入れがたいシステムなのではないか?」と提起するようなツイートを見かけて、それが考えるきっかけに。土地システムがいいとか悪いとかそういう話をするわけではなく、土地事故はカードやデッキの選択によって減らせるし、事故に強いデッキは単純に強い傾向にあるよという話をしたいです。現在のスタンダード環境で実践できる具体的な方法を提示する形で書いていきます。

 この記事を書くにあたって、自分が大きく影響を受けた記事がこちら。約2年前のものですが非常に読みやすいうえに得られる教訓も多いので、興味を持った方はぜひ読んでほしいです。

土地事故とはどんな状況?

 マジック:ザ・ギャザリング(以下MTG)は基本的に土地カードから出るマナを使って呪文を唱えるゲームです。特定の呪文を唱えるためには適切な枚数・種類の土地カードを合わせて引く必要があり、引きのバランスが悪く満足にカードをプレイできない状態を土地事故と呼んでいます。土地事故には主に次の3種類のケースがあります。

土地が序盤に詰まってしまう(マナスクリュー)

 土地を十分な枚数引くことができず、呪文を適切にプレイできない状態をマナスクリューと呼びます。MTGは1ターンに1枚しか土地をプレイすることができないため、マナスクリューを起こしてしまうとどんどん相手との差が広がっていってしまいます。

土地をたくさん引きすぎる(マナフラッド)

 マナスクリューとは反対に、土地を過剰に引いてしまって呪文をあまり引かないケースがマナフラッドです。ゲームが進むと十分な枚数の土地が並ぶことが多く、終盤のマナフラッドは不要な土地カードをたくさん引いていることになり致命的です。

使いたい特定の色マナが出ない(色事故)

 上記とは別に、特定の色マナが出せずにカードをプレイできないケースを色事故と呼びます。(事故の1つではあるものの、土地事故に含めるかどうかは人による気がします)

具体的に土地事故を減らす方法

マナベースを検討する

 マナベースを検討することが色事故を軽減するための第一歩です。具体的なデッキを例に考えてみましょう。

例:【ボロスアグロ】のメイン。
引用元:スタンダードチャレンジ(6/20) 4位

 このデッキのサイドボードとして、追加の除去を増やしたいとします。《スカイクレイブの亡霊》は盤面を強化しながら様々なパーマネントに対処することができ、一見デッキにあっているように思われます。

 しかし、このデッキでは白マナを捻出できる土地が14枚しかなく、現状のマナベースでは3枚の土地を引いたときに《スカイクレイブの亡霊》をプレイできる確率は約66.8%です。どこまで許容できるかは人によるとは思いますが、個人的にはこの確率では不十分だと思っており、《スカイクレイブの亡霊》を採用する場合は通称スロウランド《日没の道》を増やして色マナの数を増やすことを検討しても良いでしょう。

 デッキを回していて色事故の頻度が気になる場合は、カードのシンボルの厳しさと色マナを捻出する土地の枚数を再確認してみましょう。特に3色、4色とデッキの色が増える場合はより重要な問題になっていきます。

特殊な能力を持つ土地を使う

 特殊な能力を持つ土地はマナを出す以外にも役割を持たせることができ、マナフラッドを回避するためには非常に有用です。またこれらの土地を採用することで土地の総枚数を増やすデメリットが小さくなり、土地を増やしてマナスクリューしにくいデッキを作ることもできます。

◆両面カード
 「ゼンディカーの夜明け」で登場した裏面が土地になる両面カードはその最たる例です。土地が少なくマナスクリューが懸念される状況では土地として機能させることができ、土地を多く引きすぎている場面では呪文としての役割を持ちます。両面カードを採用するとキープできる手札の幅が増えてマリガンに強くなる点が特に嬉しい。

ジュワー島の撹乱

◆魂力土地
 
基本的な性質は両面カードと同じ。土地として置いてしまうとただの土地ですが、手札から捨てることで特殊な能力を発揮します。伝説の土地なので複数枚採用することが難しいというデメリットはありますが、土地として置いてもアンタップインである点を加味すると非常に優秀です。

見捨てられたぬかるみ、竹沼

◆クリーチャー化できる土地(通称ミシュラランド)
 ミシュラランドはマナを払うことでクリーチャーにすることのできる土地の通称です。現在のスタンダードでは「フォーゴトン・レルム探訪」収録の単色のミシュラランドと《這い回るやせ地》が使用できます。序盤は土地として置きながら必要な場面でクリーチャー化することで、後半の引きが悪くても押し切ることができるシーンも多いです。通常は土地の状態なのでソーサリー除去で対処がされにくいところもポイント。

バグベアの居住地

◆サイクリング土地
 「ニューカペナの街角」で登場したレア3色土地(通称トライオーム)にはサイクリングという、手札から捨てることでドローに変換できる能力があります。1枚で3色捻出できるだけでなく、不要なタイミングでドローに変換できるのは素晴らしいです。

スパーラの本部

◆その他
 
特に強力な土地は紹介しましたが、上記以外にも特殊な能力を持つ土地は数多くあります。WCが足りないという方でも、コモン・アンコモンで変わった機能を持つ土地も存在しているので検討の余地はあるかと思います。

ドローを安定化させるカードを使う

 マナスクリューやマナフラッドを軽減するためにはドローを与えてくれるカードを使用するのがよいでしょう。

 《考慮》や《表現の反復》のような軽量ドロー呪文はマナスクリューのリスクを大きく軽減してくれます。後半に引いた場合でもカードを選択的に引くことができるのは非常に嬉しいです。

 《鏡割りの寓話》は2章の能力で手札を最大2枚入れ替えることができ、マナスクリュー・マナフラッドの両方に耐性のあるカードです。1章、3章だけでなく、全ての章能力が破格!

 一見すると地味ですが、血トークンのようなメカニズムも馬鹿になりません。《税血の収穫者》は2マナ3/2と十分なサイズを持ちながら、戦場に出たときに血トークンを生成してくれるため引きムラを緩和する助けになります。

コストが可変的なカードを使う

 様々なマナコストで使用できるカードをデッキに入れることでも、マナスクリュー・マナフラッドを緩和できます。

 わかりやすいのは敵対者サイクル。軽いコストで使用してもそれなりの強さを持ち、土地が伸びた後半は追加のコストを払うことで能力を最大限に発揮できます。いつ引いても有効に使いやすいカードです。

 両面に呪文の面を持つ両面カードや、キッカー・切除を持つ呪文、マナコストにXを含むような呪文にも同じことが言えるでしょう。これらのギミックを持つカードを入れることで、デッキの得意とするゲームレンジを広げることができます。

その他マナフラッドに強いカードやメカニズム

 他にもマナフラッドに強いカードやメカニズムがあるので紹介します。

◆《しつこい負け犬

墓地から繰り返し奇襲コストで唱えることができ、攻めながらもドローを進めることができます。

◆《記憶の氾濫》(フラッシュバック)

4マナのドロー呪文としても十分な性能を持っていますが、墓地から7マナで唱えることもできます。フラッシュバックはドローしたカードが1枚で2枚分の働きをする非常に強力なメカニズムです。

◆《心悪しき隠遁者》(降霊)

フラッシュバックと同様、降霊も引いたカードが2枚分の働きをする強力なメカニズムです。《心悪しき隠遁者》は青いデッキ同士でのサイド後のゲームでは重要な役割を果たします。

◆《レンジャー・クラス》(クラス)

クラスとは、コストとしてマナを払うことでどんどん強力な能力を持つようになるエンチャントです。特にクリーチャーの多いデッキでは《レンジャー・クラス》がおすすめ。

その他マナスクリューに強いカードやメカニズム

 マナスクリューに強いカードやメカニズムはマナフラッドと比べると少ない印象です。それでもいくつかあるので紹介します。

◆《ドゥーム・スカール》(予顕)

予顕によって土地が満足に引けていない状況でも強力な呪文を使うことができます。

◆《象徴学の教授》,《環境科学》(講義/履修)

講義カードは履修カードをサイドボードから手札に加えることができ、マナスクリューが懸念される状況で《環境科学》を持ってくれば土地を探すことができます。

◆《策謀の予見者、ラフィーン》(謀議)

謀議はドローを整えながらクリーチャーを育てることもできうるメカニズムです。クリーチャーを強化するためには呪文を捨てる必要があるので、マナスクリューしている状況で特に輝きます。

◆《冬を彫る者》(マナクリーチャー)

マナクリーチャーは高マナ域のカードを早いターンにプレイさせる役割だけでなく、土地の少ない状況でも展開が遅れることを防ぐ役割があります。

土地事故に強いデッキの特徴

 次のような特徴を備えるデッキは土地事故に強い傾向があり、個人的にも非常に高く評価をしています。

・マナフラッド受けのカードがある。
・得意とするゲームレンジが広い。
・強力なリソース獲得カードを持つ。
・軽くて強力なカードが使える。

デッキの具体例

【エスパーミッドレンジ】

【エスパーミッドレンジ】
引用元:スタンダードチャレンジ(6/19) 3位

強力な2マナ域の《光輝王の野心家》を使用でき、謀議や《しつこい負け犬》、ミシュラランドや両面カードなどでマナフラッドを受ける工夫が随所に見られます。多角的な攻めを持つことがデッキの特徴です。

【グリクシス吸血鬼】

【グリクシス吸血鬼】
引用元:スタンダードチャレンジ(6/19) 5位

2マナ域のクリーチャーがどれもロングゲームに強く、《死体鑑定士》や《漆月魁渡》、《欲深き者、エヴリン》等の豊富なリソース獲得手段を持ちます。全体的に軽いカードで構成されているためマナスクリューに強いものの、粘り強く戦うことのできるデッキです。

【ジェスカイ日向】

【ジェスカイ日向】
引用元:スタンダードチャレンジ(6/20) 3位

《ジュワー島の撹乱》や《表現の反復》のお陰で土地が伸びやすく、高マナ域の脅威を押し付けることができます。《マグマ・オパス》は8マナと重いですが、《黄金架のドラゴン》や《暁冠の日向》で補助できる他、捨てて宝物に変換することもできるため柔軟なカードです。

終わりに

 MTGはランダム性のあるゲームではあるので、土地事故は無くすことはできません。しかし構築やカードの選択によって土地事故は減らすことができます。デッキを構築する段階で、そのような事故を減らせないか試行錯誤できるところもMTGの醍醐味だと私は考えています。

 今回の記事は以上です。普段よりも気軽に読んでいただけるような記事を目指して書いてみました。もう知ってるよ、という内容は多いかとは思いますが、少しでも誰かのお役に立てる部分があれば幸いです。今後ともよろしくお願いします。


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