見出し画像

【環境考察】ヒストリックって今どうなってるの?【MID環境10月下旬】

 こんにちは、くろきと申します。今回の記事は『イニストラード:真夜中の狩り』実装後のヒストリック環境がどのように変化したのかを確認して、デッキ選択の基準を考えたものです。自分の思考整理が主な目的となってしまっていますが、少しでもお役に立てる部分があれば嬉しいです。

1.ヒストリックがホットな理由

 第4回セカコロの2次予選やアリーナオープン等も終わり、個人的には今期のスタンダード・イベントはほとんど終了。(Red Bull Untappedの国際予選は出るかも) その代わりに今週からはヒストリックへ意識を向けています。というのもヒストリックには大きなイベントが2つ控えているからです!

 1つ目はRed Bull Untapped 2021 日本大会
[予選ラウンド 10/23(土),10/24(日)、決勝ラウンド 11/6(土)]
参加費無料にも関わらず優勝賞金10000ドルと夢のような大会です。

 2つ目は10/30(土)~31(日)の予選ウィークエンドです。予選ウィークエンドでは世界的な競技イベントである『イニストラード』チャンピオンシップへの権利を得ることができます。

2.以前のヒストリックと与えられた変化

 『イニストラード:真夜中の狩り』実装前の大きな大会は9/10(金)~9/12(日)に行われたSCG Tour Onlineになります。『Jumpstart: Historic Horizons』実装によって激変したヒストリック環境で、Satelite予選の段階から【ジェスカイコントロール】が圧倒的な存在感を見せつけていました。

画像4

【ジェスカイコントロール】SCG Tour Online - Satellite #1 1位(6-0)
(MTG Decklist Viewerを使用させていただいてます、ありがとうございます!)

 また【ジャンドフード】も大きな活躍を見せ、Championship Qualifierでの優勝を勝ち取っています。

画像3

【ジャンドフード】$5K SCG Tour Online Championship Qualifier優勝(11-1)

 Championship Qualifierでの使用率に関しては【ジェスカイコントロール】と【ジャンドフード】のツートップ。それに【シミックマーフォーク】や【白単人間】、【セレズニアカンパニー】や【オルゾフオーラ】といったデッキが追随しています。

画像5

$5K SCG Tour Online Championship Qualifier(9/12) デッキ使用率
(MTGmeleeより)

 そんなヒストリック環境に『イニストラード:真夜中の狩り』のカードが追加されたのですが、その他にも禁止改訂・カードの再調整によって手が加えられました。

《ティボルトの計略》 禁止
《記憶の欠落》 一時停止
《ダブリエルの萎縮》,《魂の仲介人、ダブリエル》,《顔なしの工作員》,《シヴの放浪者、サルカン》,《破壊分子の見習い》に再調整

 競技シーンに特に影響を与えるのは《記憶の欠落》の一時停止。トップメタの一角である【ジェスカイコントロール】のような青いデッキの多くには複数枚採用されており、弱体化を余儀なくされました。

画像10

3.10/18(月)のThe Pizza Box Open

 上記のような変遷を経たヒストリック環境では初めての、89人規模の大会が10/18(月)に行われていました。そこで優勝、準優勝を飾ったのはこれまで多くは見られなかった2つのデッキタイプです。

〇【5C二ヴ】

画像1

【5C二ヴ】The Pizza Box Open優勝(9-1)

 優勝はなんと【5C二ヴ】。新たに登場した2色土地、通称スロウランドによってマナベースが強化されています。【ジェスカイコントロール】のカウンターが弱体化したおかげで《ニヴ=ミゼット再誕》の通りが良くなった等の影響もあるかもしれません。『Jumpstart: Historic Horizons』で追加された《縄張り持ちのカヴー》も強力な2マナクリーチャーであり注目するポイントです。

画像13

〇【赤単マッドネス】

画像2

【赤単マッドネス】The Pizza Box Open準優勝(8-1)

 さらに準優勝は【赤単マッドネス】。『Jumpstart: Historic Horizons』で追加された《猛火のルートワラ》《癇しゃく》などのマッドネスカードを《信仰無き物あさり》,《歴戦の紅蓮術士》等で捨てながらテンポ良く戦うことのできるアグロデッキです。

画像14

 またこのトーナメントには特徴的なポイントがあり、【ジャンドフード】が89人中18人、使用率(約20%)と圧倒的な人気を誇っているということです。2番目に多かった【ジェスカイコントロール】(5人,約5.6%)と比べるとその使用率の高さは歴然。前環境でもトップクラスの強さを持っていたにも関わらず弱体化もなかったので安定した選択肢だと判断されたのでしょうか。勝率に関してもミラーを除いて59.7%であり、使用者が多いことを加味すると高水準のように思えます。

画像6

The Pizza Box Open(10/18) デッキ使用率 (MTGmeleeより)

4.その他の有力なデッキ

上記の【5C二ヴ】,【赤単マッドネス】,【ジャンドフード】以外の有力なデッキについて考えます。

〇【ジェスカイコントロール】
 前述のとおり《記憶の欠落》の使用不可によって弱体化はしたものの、《マグマ・オパス》を《奔流の機械巨人》や《ミジックスの熟達》で踏み倒す強力な動きは健在。《記憶の欠落》が埋めていた枠を《中略》や《検閲》,《本質の散乱》といった他のカードに変更した形でも依然として活躍することでしょう。

画像11

・参考リスト

画像8

【ジェスカイコントロール】The Pizza Box Open 10位(5-2)

〇【人間】
 『イニストラード:真夜中の狩り』には多くの人間カードが収録されました。これらを組み込むことでデッキのパワーアップを図ることができます。中でも《日金の歩哨》,《ドーンハルトの主導者、カティルダ》,《粗暴な聖戦士》,《輝かしい聖戦士、エーデリン》はラダーで見かける機会も少なくありません。

画像12

・参考リスト

画像7

【セレズニア人間】The Pizza Box Open 4位(7-2)

〇【イゼットフェニックス】

 《考慮》も『イニストラード:真夜中の狩り』の注目カードの1枚です。このカードは【イゼットフェニックス】に不足していた1マナのキャントリップ呪文の枠に綺麗に収まり、《弧光のフェニックス》を墓地へ送りながら復活させることができます。《ドラゴンの怒りの媒介者》,《邪悪な熱気》といった『Jumpstart: Historic Horizons』で加わったカードもあり、個人的には今一番注目しているデッキです。

画像15

・参考リスト

画像9

【イゼットフェニックス】(自分で作成)

 その他にも『イニストラード:真夜中の狩り』には強そうなカードが多く、また『Jumpstart: Historic Horizons』で追加されたカードもまだまだ十分試されていないカードがある印象です。新しいデッキも次々と登場するかもしれません。

画像16

5.デッキの整理

 大会で人気のあったデッキやラダーでよく見かけるデッキタイプをリストアップします。ヒストリックには様々なデッキが存在しているため網羅することは難しいのですが、自分が特に意識しているものを優先的に載せています。

〇アグロ
【人間】(白単、セレズニア、アブザンなど)
【赤単マッドネス】
【マーフォーク】
【オルゾフオーラ】
【グルールアグロ】など

〇ミッドレンジ
【ジャンドフード】
【5C二ヴ】
【イゼットフェニックス】
【セレズニアカンパニー】
【ラクドスアルカニスト】など

〇コントロール
【ジェスカイコントロール】など

6.デッキ・カードの選択で考えること

 それでは今のヒストリックではどのようなデッキを選択するのが良いのでしょうか。ここでは自分がデッキやカードを選択するうえで意識したいことを記載します。

〇デッキ選択

・【ジャンドフード】に対してきちんと戦える

 前環境やThe Pizza Box Openの結果を踏まえても、【ジャンドフード】はヒストリック環境でトップクラスのパワーや実績を持っていることは疑いありません。今後のイベントにおいても最も人気のあるデッキとなることが予想されるでしょう。そのような【ジャンドフード】に歯が立たないようなデッキは選択しづらいと感じます。低タフネスのクリーチャーが軸となったり、地上でしか殴れないデッキには厳しい環境となりそうです。

画像18

・純粋なデッキパワーが高い(特別意識していない相手にも勝てる)

 環境がまだ固まっていないこともあり、様々なデッキが存在することが予想されます。想定外のデッキと対戦することも多々あるでしょう。そうした意識外の相手にもマッチを落とさないよう、純粋なパワーの高いデッキを選択することが重要です。

・ある程度の使用経験がある

 ヒストリックではスタンダードと比べて圧倒的にカードプールが広く、カード間の相互作用の強いデッキが組まれる傾向にあります。
(例えば【ジャンドフード】,【オルゾフオーラ】,【ラクドスアルカニスト】各種部族デッキなど…)
 そうしたデッキではキープ基準やプレイの順番などが難しく、慣れていないと単純な行動でも思考のリソースを使ってしまいがちです。現状はデッキ相性の優劣がつけづらい(相性などを判断する情報に乏しい)ことから、環境的にずば抜けて優れているデッキを発見することは困難であり、それならば使い慣れているデッキを持ち込む選択が良いだろうと考えています。

〇カード選択

・除去は軽さを優先

 現在のヒストリックではインパクトのある1,2マナ域のクリーチャーが非常に多いです。特に【人間】の使用する《エスパーの歩哨》,《スレイベンの守護者、サリア》に関しては除去が遅れてしまうと後々の展開に大きなテンポ損が発生してしまう可能性があります。そのようなカードで嵌まってしまわないよう、除去はマナコストの軽いものを優先して採用したいと考えています。《致命的な一押し》や《邪悪な熱気》は条件を満たせば高マナ域のクリーチャーを除去することもできて優秀です。

画像17

・押し付ける力の強いカードを優先

 環境に存在するデッキの種類が多いことから、受ける展開になるとこちらの除去やカウンターが相手の展開に噛み合わない裏目を引きやすいといえます。そのような場合はサイド後にデッキを調整することで対応せざるを得ないのですが、枠には限りがあり、すべての相手に完璧なサイドボードを用意するのは不可能です。そのためメインボードから押しつける力の強いカードやギミックを優先して採用したいと考えています。例えば【5Cニヴ】に採用されている《縄張り持ちのカヴー》は素晴らしいカードで、ブロッカーとしての性能に優れるだけでなく、強力な押し付ける力をデッキにもたらしています。

7.終わりに

 以上が10/21(木)時点で私がヒストリック環境について考えている事柄です。ジャンプスタート追加直後にも感じましたが、環境の固まっていない環境で様々なデッキを模索するのはとても面白いことです。今週末のRed Bull Untappedではいったいどのようなデッキが勝ち組となるのか、非常に興味深いですね。

 ここまでお読みくださりありがとうございました。今後もどうぞよろしくお願いいたします。


「【環境考察】ヒストリックって今どうなってるの?【MID環境10月下旬】」はファンコンテンツ・ポリシーに沿った非公式のファンコンテンツです。ウィザーズ社の認可/許諾は得ていません。題材の一部に、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の財産を含んでいます。©Wizards of the Coast LLC.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?