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日本選手権の振り返りと使用した【エスパー】の話とか

 くろきです。先日行われた「日本選手権2022 -Tabletop Returns-」に参加しました。運よく2日目までは残れましたが、成績は振るわず結果を残すことはできませんでした。しかし初めてのオフラインでの大型イベントということもあり、貴重な経験や反省点、今後のモチベーションなど様々な収穫がありました。また、お会いできた方は魅力的な方ばかりでとても充実した2日間でした。

 今回はその振り返りやデッキのことについて書き残せたらいいなと思っています。

1. 持ってきた【エスパーミッドレンジ】の話

 「日本選手権2022 -Tabletop Returns-」はスタンダードで2日制のイベントです。デッキリストは非公開となりますが、3日前に確定させて提出する必要がありました。

 今回自分が選択したのは人気のあるデッキの一つである【エスパーミッドレンジ】(以下【エスパー】)  デッキ選択の理由は2つほどあり、個人的な好みが大きく影響していると思います。(別に悪いことではないと思ってるけど)。

MTG Decklist Viewerを使用

選択理由①:様々なレンジのゲームができ、多角的な攻め方がある強力なデッキと判断した。

 【エスパー】は強力な序盤のドロップと対応の難しいリソース獲得手段を備えており、短いゲームにも長いゲームにも対応しやすいことが大きな特徴です。

 2マナ域に採用される《光輝王の野心家》は素早くライフを詰めることができる力強さを持っており、同じく2マナ域の《しつこい負け犬》もロングゲームでのリソース獲得手段兼攻め手となる優秀なクリーチャーです。適当に使っても2/3/2と十分なサイズであり、早い展開にも遅い展開でも役割を持っています。強力な低マナ域のカードを持つデッキはスクリューに強くなる傾向にあり魅力的でした。

 またデッキの中心となる3マナ域のカードは《策謀の予見者、ラフィーン》,《漆月魁渡》,《婚礼の発表》が採用されますが、カードタイプや対処の方法が異なり、デッキに多角的な攻め方をもたらしています。

 上記の要素から環境初期から最強デッキの風格を感じます。デッキが認識されだしてからも、受ける側になって相手にしたくないデッキだったので自分でも使うべきだと判断しました。

選択理由②:早い段階で決め打ちし、リソースを集中した。

 SNC環境の初期から頭角を現したのは【エスパー】と【ジャンド】のミッドレンジ。両デッキとも新カードの影響を大きく受けており、様々なゲームレンジに対応できる点が強力です。【白単】や【緑単】のようなアグロデッキやコントロールデッキは姿を減らし、環境はミッドレンジばかりの環境になっていきます。

 ミッドレンジ対決ではサイドボーディングでの適切な調整が難しく、ゲームが長引きがちでプレイミスの有無が大きいと感じて、リソースを注ぐデッキを絞って上記の技術を補完しようと考えました。【ジャンド】と【エスパー】のどちらが優れているのか当時はわかりませんでしたが、【ジャンド】は構成が完成されていない印象があり、本戦の3週間ほど前から【エスパー】に決め打ちすることに。単純にカード自体も全体的に【エスパー】の方が好みでした。

 紙のイベントにも慣れておきたかったのもあり、リアルのデッキも早めに組みました。それもあってデッキを変えるという選択を取りづらくなっているとは感じたものの、直前に新しくデッキを揃えようとは思えなかったので仕方ないのかなと割り切ることに。

 数をこなせばわかってくることも増えていき、特にミッドレンジ対決でのゲーム感は十分掴めてきたようには感じていて、そのまま【エスパー】を持っていくことに不満はありませんでした。

使っててわかったこと・感じたこと。

・先攻後攻の差が大きい。
 既によく言われる話ですが【エスパー】はミラーで先攻後攻の差が大きいデッキです。その理由は攻めているときに強いカードや、先に出したほうが有利になるカードが多いから。《光輝王の野心家》は先に出したほうがサイズが大きくなって殴りやすいし、《策謀の予見者、ラフィーン》の謀議は殴ったときに誘発する能力だし、《婚礼の発表》は先に出したほうが先に変身して盤面を取りやすいし、《漆月魁渡》は殴ってリソースを得るカードだし… といった具合に殴ることが前提でデッキが組まれています。

・3マナと2マナのパワーの差が大きい、4マナと3マナのパワーの差は小さい。
 2マナのカードと3マナのカードには、盤面に残ったときの影響力で大きく差があります。《婚礼の発表》や《漆月魁渡》は対処が遅れると簡単にリソースを稼ぎ、《策謀の予見者、ラフィーン》は盤面を強化しながら不要なカードの変換を狙えます。2マナ域の《光輝王の野心家》も毎ターン盤面を強化してはくれますが、次の展開に繋がるようなカードではなく、3マナ域のカードと比較して影響力はありません。また、3マナ域のカードは1枚のカードで対処するのが難しいのも特徴的です。《策謀の予見者、ラフィーン》のみ例外ですが、護法1を持っていることから除去されてもテンポ面での損をしにくいカードにはなっています。

 これらのことから2マナのカードを使った2アクションでは先後で生じた差を埋めることが難しいと考えます。

 また4マナ域でよく見られる《放浪皇》や《軍団の天使》も、押されている状況やケアされた場合での盤面への干渉力が控えめであり、ミラーマッチでは3マナのカード達で作られた盤面を簡単にひっくり返すのは難しいと感じていました。勿論単純な比較だと4マナ域のカードの方が3マナ域のカードよりも強いのですがその差は小さく、マナ効率を考えて4マナのカードを使うよりも3マナのカードを優先的にプレイしたいシーンも多いです。

自分の構築で工夫した(つもりの)点とか。

・1マナのカードをなるべく入れたい。
 
4ターン目でも3マナのカードを優先的にプレイしたい場面が多かったため、3マナ+1マナの2アクションを取れたらいいなと考えました。《消えゆく希望》は軽いインスタントであり、後攻から盤面を返しやすい点や占術でスクリューやフラッドを避けやすい点も含めて非常に好感触でした。《呪文貫き》も先後の差を埋めてくれるカードであり、上手くいったときのリターンが大きいと感じます。他には《ポータブル・ホール》のようなカードをメインから試したりもしましたが、コントロール系のデッキも増えるかもしれないと考えサイドのみに。

・2ターン目を埋められるアクションを多くしたい。
 《策謀の予見者、ラフィーン》を3ターン目に出すことや後手を取ったときのことを考えると2ターン目は極力アクションしたいです。(それはそう)。 単除去は2マナ以下のものだけ採用したいし、2マナのクリーチャーも標準8枚のところを気持ち多めの9枚にしました。2マナのクリーチャーは2ターン目以外で出したときに影響力が小さいため、《光輝王の野心家》以外のクリーチャーは後から引いても何かしら役割があるものがいいです。

 《敬虔な新米、デニック》は井川さんや森山さんなどの日本人プロの調整チームが採用していたのを見て試してみて、好感触だったので2枚採用しました。2/3のサイズが優秀で、ゴブリン・シャーマンにフリーアタックをさせない点や《電圧のうねり》を構えられている状況で出しやすい点がよかったです。裏面もアドバンテージを稼いでくれる能力を持ち、フラッドしそうな際には特に頼もしい。

・《軍団の天使》不採用の代わりに《ヘンリカ・ダムナティ》に。
 《軍団の天使》は簡単にリソースを稼げて強力なカードですが、白いカードであるため《レイ・オヴ・エンフィーブルメント》でテンポを取られてしまいます。その点が受け入れがたいと感じたことや、サイドにカウンターを増やしたかったことから不採用に。

 代わりに採用したのが《ヘンリカ・ダムナティ》です。出したターンにアドバンテージを取ることもでき、変身後の戦闘能力も非常に高いです。絆魂のお陰でライフに余裕を持たせることもできるので、《しつこい負け犬》の奇襲を繰り返し使いやすくなります。生贄のモードはあまり使う機会は多くはありませんが、【ジェスカイ日向】のようなクリーチャーの少ないデッキではとても良い交換ができる場合もあります。総じて非常に取り回しのよいカードでした。

・マナベースについて。色マナカウント多め、ユーティリティ多め。
 マナベースはニューカペナCSでTOP8のZachary Kiihne選手のリストを参考に調整しました。土地27枚の色マナカウント白18、黒18、青17とかなり余裕を持たせるように。元のリストはかなり青マナの枚数が多いようにも思ったものの、2マナ域に《敬虔な新米、デニック》を取ったことで青マナを17カウント取りたいと考えました。

最終的なマナベース

 ランドの総数が多めだとフラッドしやすくなってしまうのでユーティリティランドは極力採用しました。ランデスを意識して基本土地を2枚以上取ってデッキが弱くなるのも不快に感じたので基本土地は全部抜くことに。CSでは《廃墟の地》はランデスデッキにしか入ってなかったので問題ないだろと思ってました。日本選手権ではTOP8の【イゼットコントロール】は普通に取っていたのであんまり良くなかったのかな…
 細かいですが、ユーティリティランドは基本的に単色しか出ないので2ターン目に《敬虔な新米、デニック》と《消失の詩句》を唱えることを阻害しにくいよう白いものを優先的に採用しました。自然に伝説のクリーチャーが多い構成になったので魂力土地が使いやすいのはいい感じ。

 スロウランドに関しては最終的な色マナカウントを調整する関係で青白1、青黒3、白黒2の枚数に。スロウランドの間にも強弱がある気がするなとリスト提出期限の当日にぼんやり考えていました。あんまり自信はないですが、青白>白黒>青黒の順に優秀だなと考えています。文章にすると長くなってしまいそうなので根拠は配信の方で… 結果的に提出したリストではスロウランドが弱いと考えている順に採用枚数が増えてるのでちょっとモヤモヤが残りました。

・サイドの《かき消し》。
 
現スタンのミッドレンジ対決では基本的に先に3マナのカードを出したほうが大きく有利になるという認識があります。そこで後攻から先攻後攻を入れ替える手段として、相手の3マナのアクションをカウンターして相手より先に3マナのカードを通すことを狙いました。メインから入れることも検討しましたが、相手のデッキがはっきりわからない状態で構えるのも難しいと考えてサイドからのみに。

構築の反省点とか不満点とか。

・《強迫》があんまり嬉しくない。
 
サイドに対コントロール用に《強迫》を取りましたが、今は微妙だったなと感じています。対コントロールで鍵になるカードや嫌なカードは《黄金架のドラゴン》や《溺神の信奉者、リーア》などクリーチャーが多く、また序盤はマナカーブ通りに動きたい都合で使うターンが作れないと感じました。特に【ティムール】に対しては高マナ域のクリーチャーが抜けない点が問題だと感じて、初日が終わった段階でサイドインする気が全然起きなくなってしまいました。

・【グリクシス吸血鬼】に対してカードがちょっと足りてない。
 新しく現れたデッキに対しての対戦経験の不足や認識の甘さがあり、リスト提出後にカードが足りていないことに気がつきます。(ふんわり《強迫》で誤魔化す)。【グリクシス吸血鬼】に対しては《未認可霊柩車》が活躍する場面をよく目にしており、これを取るべきだったのかなと感じました。

2. 当日の結果や振り返り

成績

初日 4-2-1で64位
R1:【ラクドスサクリ】(t白)×○×
R2:【ティムール】(佐藤さん)×○×
R3:【白単t青】○×○
R4:【ボロスアグロ】○○
R5:【エスパー】(白単ベース)○○
R6:【グリクシス吸血鬼】○×○
R7:ヤソさんとID

2日目 1-4でドロップ
R8:【ティムール】○○
R9:【ティムール】(茂里さん)××
R10:【ティムール】(赤池さん)××
R11:【エスパー】○××
R12:【ボロスアグロ】×○×

試合を通して感じたこと。

・《茨橋の追跡者》、強すぎ…
 プレイヤーの強さの影響もあるものの、【ティムール】にたくさん負けました。特に《茨橋の追跡者》がこちらの攻撃を牽制しつつリソースを取ってくるので使われて辛かったです。2日間を通して最も嫌いになったカードでした笑。

・メンタルが弱すぎる…
 精神面での未熟さをまだまだ感じました。1日目も本来はIDが厳しいラインだったにも関わらず、相手がヤソさんだとわかるとパニックになってしまい運任せのIDを選択することに。結果的には上手くいったものの、あまり冷静な状態ではありませんでした。
 2日目ではより顕著に精神面の弱さが出てしまったと感じます。戦績1-2の状態で迎えたR11で延長4ターン目に負けてしまい、そのまま気持ちが切り替えることができずにR12が始まってしまいました。そのとき何かのスイッチが切れてどっと疲れや眠気が押し寄せるのを感じ、自分でも驚くようなミスや雑なプレイを繰り返して負け。神河CSで負け続けた時の記憶がフラッシュバックして、「ああ、成長していないんだな」という思いが湧き立ちます。またその時の自分の態度についてはっきりと記憶していないものの、深くため息をついていたような覚えがあり、決して気持ちの良いものではなかっただろうと考えると自分のことがちょっと嫌になりました。

調整の過程等について。

 デッキの調整自体は一人で最初から最後まで行って、最後だけAkioPros内で練習したり、サイドボーディングに変なところがないかを感覚の近い友人に確認してもらいました。結果は振るわなかったものの、用意できたものの精度自体には不満はないです。

 後悔している点があるとするのであれば、どうすればもっと楽しくできたかなという点。(もちろん楽しくなかったわけではないけれども)。せっかく新しく関係性ができてかつ、同じ境遇で【エスパー】を使いそうな方が思い当たっていたので、声を掛けてみればよかったなと後悔しています。

特に嬉しかったこと。

 紙の大型イベントが僕には初めてで、そもそも開催自体が久しぶりということもあってかこれまでにはない楽しさに溢れていました。直接お会いすると、普段から関わってくださっている方が一層魅力的に見えます。そういった方々にお会いできる機会となったことがとても嬉しいことでした。

 中でも言葉にしがたい衝撃を受けた方がおり、並々ならぬ情熱を感じて自分のモチベーションも大きく上がりました。また今回はお会いできなかった方にも、紙のイベントでお会いできる日がいつか来るのかと考えると非常に待ち遠しいです。

3. 終わりに

 今回の記事は以上です。いつも以上に一貫性のないようなものになってしまっていて、自分でもきちんと書けていない点は多かったようにも思います… わかりにくい点や疑問点などあれば遠慮なくお知らせください。

 日本選手権に参加したことで今後のモチベーション自体は上がったのですが、しばらくはわかりやすい目標がなくてどうしたものかなと思っています。特にスタンダードは環境の変化を感じて面白そうなのですが、以前のようなMTGmeleeでの競技イベントがなく残念です。しばらくはゆったりとエクスプローラーやパイオニアで遊ぶのかなと考えています。

 ここまでお読みくださりありがとうございました。noteで何か書くのは久しぶりでしたが、また書きたいことが見つかれば積極的に書きたいと思います。よろしくお願いします。


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