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ライダーでもサイクリストでもドライバーでもない人も、さんふらわあ端ッコスタンプラリーに挑戦したい(6)

こんにちわ、くろもあさんです。

今回はさんふらわあ端ッコスタンプラリーを通しで達成した旅の二日目後半の記録です。さんふらわあ だいせつで大洗港まで行き東京を目指します。

この旅の全体概要については『ライダーでもサイクリストでもドライバーでもない人も、さんふらわあ端ッコスタンプラリーに挑戦したい(1)』をご覧ください。

前回はこちら。

今回の記事での移動距離

苫小牧から大洗まで、だいたい海路で750kmあります。今回はその後半戦ということで、その半分の375kmと、大洗港から東京駅まで陸路でおよそ130km。

Google Mapsではフェリーを使った経路出せないのが残念。

大洗港を出た後はこんな感じ。普通列車で移動したからもっと時間かかったけどね。

なにもない時間をどう生きるか

昼食(前回参照。やき弁を食べました)を終えると、再びやることないタイムとなりました。

なにか面白いことはないかと外部デッキに出てみると雲ひとつない快晴。周囲は水平線しか見えません。時折、貨物船とすれ違うくらい。貨物船はさんふらわあ だいせつから遠いところを航行するのがほとんどのようです。しっかり観察したいなら双眼鏡がほしいところ。

青い空、青い海、赤いファンネル

仙台湾沖の航行中は陸地は見えません。丑三つ時を除けば、深夜便の南行の航路においては仙台湾沖で陸地から最も遠い海域を航行するようです。
それゆえか、とうとう携帯電話の電波は圏外になりました。朝起きてからこれまで携帯電話の電波は基本的にしっかりと届いていたのに。
船上でリモートワークやワーケーションしたい人は仙台沖の1時間で休憩時間を取ることにすれば、同僚に気づかれることなく仕事を完遂できるかもしれません。

このやることがない時間帯を利用して再び大浴場へ赴き入浴して身を清めておきました。
長距離フェリーにおいて入浴は最高の時間つぶしであると、わたしは思っています。とくに、露天風呂がある船なら無限に過ごせますね。深夜便をはじめ商船三井さんふらわあさんの船には残念ながら露天風呂はありませんが。
深夜便に限らず、手持ち無沙汰な時間が長くなる航路を利用される場合は複数回入浴できるようにタオルはたくさん持っていくと良いと思います。あるいは、タオルの部屋干し方法をマスターしておくことをおすすめします。

ひとっ風呂あびたあとは、自分の寝台に戻ってゴロゴロ。こういう贅沢な時間の使い方も良いものです。

夕焼け

船旅のハイライトについては各人いろいろ思うところはあるでしょうが、おそらく最大公約数といえるのが日の出と日没。ということで、日没の感動のひとときを最大限に楽しむため、いそいそと外部デッキへ。

陽が沈む西側には陸地があるはずですが、このときは陸地がかすむところで夕焼けの時間を迎えました。

さんふらわあ〜、さんふらわあ〜♪

燃えるような夕焼け。

せっかくなので、新会社発足記念の御船印越しに夕陽を見てみたりして。

新会社発足記念の御船印

ちょっといいですよね。
夕日の位置が円の中心からずれているのはご愛嬌。強い海風にあおられるため位置合わせがなかなか難しいのです、これが。

それからしばらくして、日が沈み黄昏時が訪れたころ、福島第一原子力発電所と福島第二原子力発電所が見えてきました。2023年時点で、一般人は両原発へは陸路から到達できません。ゆえに、その姿は海路からでないと見えません。大洗港行きの深夜便に乗船するとはすなわち両原発を社会科見学できる貴重な機会を得ることであるともいえるかもしれません。

夕闇に覆われたふたつの原発
左が福島第二原子力発電所、右が福島第一原子力発電所

ただし、深夜便は両原発が立地する双葉郡沖への到達時刻が遅めです。現在の原発の姿をしっかりと目に焼き付けたいのであれば、日の長い夏季に大洗港行きの深夜便に乗船する必要があるでしょう。あるいは大洗港行き夕方便であれば季節を問わず見ることができます。もしくは太平洋フェリーを利用するのもアリです。

大洗港入港

日が完全に落ちて夜を迎えると、陸地の明かりも乏しくなり見るものがなくなってゆきます。しばらく自室でぼんやりと過ごすことに。このあたりまで来ると、携帯電話の電波事情がかなりよくなりますので、X(旧Twitter)を更新しまくったり、ソシャゲなどで遊んで時間を潰すのもよいでしょう。

ひたちなかのあたりまで南下すると陸地も近づき、煌々と灯る工場群の明かりが目に飛び込んできます。

久しぶりに見た街の明かり

人の少ない深夜便に長時間乗船していたこともあってか、ほっとしたような感覚がありました。
ある意味で修行めいた深夜便乗船によって、悟りを開き達観していた気になっていましたが、人の営みという俗世に安心感を覚えるあたり、わたしはまだまだ仙人には程遠い存在のようです。

大洗港直前でさんふらわあ ふらのと反航

この日は大洗港の改修工事の関係で入港時間が20:20と50分ほど遅れてることになっていました。その結果、普段はない夕方便のさんふらわあ ふらのとの反航シーンを見ることに。執筆時点での正規の深夜便の入港が19:30、夕方便の出航が19:45なので、通常は大洗港で15分ほど両者が顔を合わせる時間があるはずです。

岸壁が近づいてきた

とうとう着岸のとき。船旅における最後の一大イベントです。乗組員の方と陸上作業員の方との間でスムーズに作業がすすめられますが、実は一歩間違えば命を落とすこともある緊張感のある瞬間です。

無事に接岸作業が終わると、タラップがかけられて下船。およそ19時間(通常は18時間)に渡る長時間の船旅が終わりました。

お疲れ様でした

下船後に陸地を踏み締めると、いろいろな感情が沸き起こりますね。

洗港フェの灯りが消えている

東京へ

大洗港ですが、首都圏とはいいつつも東京からはかなり距離があります。あまり地理が得意でない人は今すぐ乗換案内サイトを開いて、東京から大洗までどれだけ時間がかかるか確認するべきです。

この日は深夜便の到着時刻が通常の19:30から50分遅れの20:20となったため接続する路線バスはなし。たとえ乗客がいなくとも定刻で発車してしまうのが一般の路線バスにアクセスを担わせている航路のつらいところ。

大洗港から大洗駅までの移動にはタクシーを使うのもアリですが、今回は大洗駅まで歩いてゆくことにしました。所要時間はおよそ20分程度。健脚の方なら無理のない範囲です。
大洗の古い街並みとガルパンの不思議なマリアージュを楽しみながら駅まで歩くのは結構楽しいです。もちろん、日中の方がおすすめですが。

大洗駅からは鹿島臨海鉄道の気動車に乗って、水戸駅まで移動します。北海道で楽しみにしていたにもかかわらず、かなわなかった気動車の乗車でしたが、それがトコロかわって地元の関東で果たされるとは、なんとも複雑な気分。

鹿島臨海鉄道の気動車

水戸駅に到着後は完全にクタクタになっていました。長距離フェリーに乗船した後は体力が回復するのがわたしにとっては通例なのですが、ここまで疲労したのは深夜便がはじめてかもしれません。というわけで、満身創痍のわたしは普通グリーン車に課金して上野まで運んでもらうことにしました。北海道から密輸したセコマ(※)ブランドのガラナサワーを一発決めれば、即入眠。

※=セイコーマートの略称は、個人的にはセイコマ派

北海道といえばガラナ

上野駅で常磐線の普通列車を降りた後は山手線を東京駅まで乗車して、この日の宿……というか自宅へ向かいました。自宅が首都圏にあると東京の高いホテル代を払わずに済みますね。まあ、一度の旅行で東京をまたぐことは稀なので、自宅がホテル替わりになる機会はほとんどありませんけどね。

深夜便について思うこと

基本的に、関東または北海道の旅行目的で船に乗るのであれば夕方便あるいは仙台経由で太平洋フェリーや新潟経由で新日本海フェリーを利用した方が楽しい思い出になると思います。特に徒歩で乗船する方には深夜便利用には厳しい条件がつきまといます。

それでも深夜便ならではの魅力はあるので、一度乗ってみるのも良いと思います。わたしが感じた深夜便の魅力は以下の4点でしょうか。

  • 昭和の香りがする船内

  • 転落対策が厳しくない

  • 人が多くない

  • 朝焼けと夕焼けを両方見ることができる

まあ、どの魅力も船旅の上級者というかマニア向けですかね。ただし、上の2点は将来の新船導入で失われてしまうかもしれません。気になる方は早めに乗船した方が良いかもしれませぬ。

あなたが深夜便に乗船して楽しめるかどうかは、オーシャン東九フェリーに乗船してみることが一種のリトマス試験紙になるでしょう。オーシャン東九フェリーは船内レストランがなく、通常は乗客があまり多くない、と深夜便と共通点が多いです。一方で、

  • 航路の景色が起伏に富んでいる

  • 航行中に行きかう船が多い(旅客船、貨物船含む)

  • 新しい船内

  • 自販機で販売されている商品は異様にバリエーションが豊富

  • お風呂には24時間入り放題(荒天時を除く)

  • 個室あり

と、深夜便よりも一般の人がとっつきやすい要素が多かったりします。
きっと、オーシャン東九フェリーをエンジョイできなかったとすれば、深夜便の乗船はさらに過酷なものになるでしょう。
というわけで、深夜便に乗る前にオーシャン東九フェリーに乗船して様子を見てみることを個人的にはおすすめします。

次回予告

さんふらわあ端ッコスタンプラリーを北から順に埋める旅。
ようやく東のさんふらわあである首都圏ー北海道航路を制覇しました。であれば、次は西のさんふらわあであるところの関西ー九州航路に挑むことになります。関西ー九州航路には大阪ー別府航路、神戸ー大分航路、大阪ー志布志航路の三航路があります。最終目的地である佐多岬に最も近いのは大阪ー志布志航路ですが、はたして筆者はどの航路を選んだのでしょうか。

次回もよろしくお願いします。

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