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ライダーでもサイクリストでもドライバーでもない人も、さんふらわあ端ッコスタンプラリーに挑戦したい(5)

こんにちわ、くろもあさんです。

今回はさんふらわあ端ッコスタンプラリーを通しで達成した旅の二日目前半のできごとをつらつらと書いていきます。苫小牧から大洗まで、さんふらわあ だいせつの乗船記となります。

この旅の全体概要については『ライダーでもサイクリストでもドライバーでもない人も、さんふらわあ端ッコスタンプラリーに挑戦したい(1)』をご覧ください。

前回はこちら。

今回の記事での移動距離

苫小牧から大洗までは、だいたい海路で750km。その前半部ということで、苫小牧西港から仙台湾のあたりまでの移動となります。

Google Mapsではフェリーを使った経路出せないのが残念。

さんふらわあの深夜便とは

この旅でお世話になった商船三井さんふらわあさんが運航する航路は、ざっくり分けて首都圏ー北海道航路と関西ー九州航路の2つがあります。この2つは元は別会社でしたが、2023年10月に合併して一つの会社になりました。
そのうちの、本記事で取り上げる首都圏ー北海道航路は毎日、夕方便と深夜便の2便が運行されています。いずれも茨城県の大洗港と北海道の苫小牧西港を結びますが、夕方便と深夜便ではかなり性格が異なります。

今回乗船した深夜便のさんふらわあ だいせつ
夕方便のさんふらわあ さっぽろ(昨冬のすがた)

深夜便はガチの深夜に出港するので名実ともにですが、夕方便は太陽が沈んでから出港することも多いです(とくに大洗港発は)。

夕方便は一般の旅客も意識した船内空間。お子様や団体客のにぎやかな声が聞こえてきて人が多い印象です。

夕方便の共用スペース
(プロムナード)

一方で、深夜便は大型トラックドライバーが主要顧客ということで、基本的に静か。すれちがう人もまばら。深夜便を旅行で利用することを冗談めかして?貨物船についでに乗せてもらっていると表現する人もいるようです。ちょっぴり、わからんでもない。

夕方便の共用スペース
(元レストラン)

食事は夕方便も深夜便もどちらも自動販売機で買えます。

夕方便の自動販売機
(バイキング休止時のすがた)
深夜便の自動販売機

船内レストランで調理されたものか、冷凍食品かの違いはありますが。

深夜便はレストランの営業はありません。よって、乗船前に食料を買い込んで持ち込むか自販機で冷凍食品を買うか、自販機または案内所でカップ麺などを買わないと食いっぱぐれます。
ちなみに、さんふらわあの深夜便と同様に食事を自販機で提供するオーシャン東九フェリーさんの船と同様の品揃えを期待してはいけません。あれはバリエーションが豊富すぎてもはやテーマパークと化している特別な存在です。

船室の等級のバリエーションは深夜便と夕方便の一番の違いかもしれません。
深夜便はモノクラス(昔はデラックスもありましたが)ですが、夕方便は等級が複数あり、ご予算と旅行形態に応じて選ぶことができます。

深夜便のカジュアルルーム
一段寝台で天井は高いです
夕方便のコンフォート
二段寝台でちょっぴり窮屈ですが
秘密基地感が楽しい
夕方便のスーペリアインサイド
中央にある円形の造作は窓ではなく
室内から海を見ることはできません
夕方便のプレミアム
プライベートデッキ付き
夕方便のプライベートデッキはいいんですけど
安全対策のせいか?柵に遮られて海から遠い
日本のフェリーの中でも屈指の遠さ

なお、深夜便のカジュアルルームと夕方便のコンフォートは同じ運賃です。一段寝台と二段寝台(テレビ付き)が同額というのは、人によっては色々思うところがあるかもしれません。

深夜便の出港まで

深夜便の苫小牧西港出港は深夜1:30(大洗港出港は深夜1:45)である一方、乗船開始時間は徒歩の場合22:30と出港まで3時間ほど船内で過ごすことができます。その間、ホールで食事するなり、案内所でお買い物するなり、ゲームコーナーで遊ぶなり、展望浴場で汗を流すなり、さっさと寝るなりして過ごすことになります。

ゲームコーナー
AKB48のパチンコ台から時折音声が響き渡る

乗船後、まずは自分の寝台のある船室へ。今回利用した船室は寝台の数が4つで、わたしの他にあと1人だけお客さんがいました。深夜便はお客さんの数が少ないとはいえ船室貸し切りにはならないくらいの利用率のようです。

自分の寝台に荷物を置いて身軽になったら、さっそく旅の本懐であるさんふらわあ端ッコスタンプラリーのマーカーにアプリをかざしてスタンプゲット。

さんふらわあ だいせつのマーカーは
Aデッキの階段脇にあります

その後、ホールでおそい夕食として苫小牧駅に一番近いセイコーマートで買ってきたカツ丼を食べました。ホットシェフのカツ丼はおいしい。

遅い夕食

お腹を満たした後は、案内所で御船印を購入しました。
夕方便の案内所のスタッフは女性比率が高いですが、深夜便の案内所を担当されていた方は全員海の男という言葉が似合いそうなかっこいいメンズでした。

通常版の御船印と
合併記念の御船印

夕食で少々いただいたお酒の酔いが落ち着いたら展望浴場へ。展望浴場にはサウナがあったりします。あまり旅行客向けとはいえない船内ですが、レジャーとしてというよりはトラックドライバーの方向けの癒やしとしてサウナが設置されているのでしょうね。

紳士用の浴場はゲームコーナーの奥にあります
婦人用の浴場は階段の踊り場の手前にあります

お風呂でさっぱりした後は、外部デッキで夜風に吹かれてクールダウン。

ファンネル

その後、深夜1:20頃。さんふらわあ だいせつは苫小牧西港を出港しました。定刻だと1:30出港のはずなのですが、早発?公共交通機関は早発は御法度というイメージがありますが、深夜便がどういったルールの元に運航されているのかはよくわかっていません。

苫小牧西港を出港したさんふらわあ だいせつ

苫小牧港周辺の景色は見慣れていたのと、深夜1時すぎと遅い時間でもあったので、外部デッキにあまり長居せずに寝台に戻ることにしました。翌朝の日の出を見ようと思ったら、この日は朝の6時頃には起きてないといけませんでしたからね。

日の出?

翌日……というか、同じ日なのですが、朝焼けを見ようと眠い目をこすりながら、もそもそと寝台から這い出して展望デッキへ。

みょーんと伸びた細いのはアンテナ?

おや、なんだか雲が多いような?

残念

うむむ、こんなに霞んでいては太陽が上るところを見ることはできませんね。でも、さんふらわあなら大丈夫。

さんふらわあ〜、さんふらわあ〜♪

船体に書かれているのと同じ太陽が壁に描かれています。実物の太陽は見えなかったけれど、ちゃんと太陽に守られたのでセーフ。しかも、青い水平線付き。まさに海上の日の出です。この青いラインはブルーハイウェイライン由来のもので、現在は首都圏ー北海道航路にのみ受け継がれています。

日の出を拝めないことが確定したので、外部デッキに長居は無用と船室へ戻ることにしました。しばらくは見るべき景色もないので二度寝をキメようかとも思いましたが、船室の奥には共用のテーブルが配置されているのでそちらに収まることに。

船室の奥にあるテーブル
ちょっと狭いですがオーシャンビュー
コンセント付き

同じ船室を利用する人で譲り合うことにはなるものの、お高い個室でなくともお手軽な寝台料金だけでオーシャンビューを楽しめるのは破格ですね。ぼんやりと海を見ながらスマホいじりしていましたが、結局手持ち無沙汰になったので寝台に戻ってもうひと眠りすることにしました。

夕方便さんふらわあ さっぽろ との反航

寝台で二度寝という快楽を貪ったあとはGoogle Mapsで現在位置の確認。どうやら八戸沖までやってきたようです。まだしばらくは陸地が見えない海域を進むようです。AISも合わせて確認すると、まもなく夕方便のさんふらわあ さっぽろと反航するようでした。これは見ておこうと再び展望デッキへ。

ファンネル

日の出の時間とは打って変わって雲が晴れています。霞んでいるようにも見えますが雲がないので快晴といっていいのでは?日の出のときもこれくらい晴れていてくれたらと、ちょっとくやしい。

太陽に守られて

右舷側に移動してみると、うっすらと陸地が見えました。三陸海岸ですね。そして、7:30ごろ、夕方便さんふらわあ さっぽろと反航しました。距離はかなり離れています。

さんふらわあ さっぽろ

しかし、同じ会社かつ同じ航路の船とはいえ、汽笛を鳴らしあったりはしないようです。乗船している船が深夜便ということでレジャー要素が排されているのかもしれませんが、なんだかさみしいですね。

船を探検してみよう

さんふらわあの深夜便に使われている船はデッキ部分の構造が面白いです。夕方便よりも古い船だから安全対策がゆるいのか、客層的に危険行為をする客が少ないからなのか、海ギリギリまで行けたり船員以外立ち入り禁止のスペースが少なかったりするのも魅力です。
外部甲板は入り組んでちょっぴり迷路のようになっています。時間つぶしに探検してみるのも楽しいでしょう。
ただし、強風が吹くこともあるので、海に転落しないように十分注意してください。万が一、事故があれば、以後、外部甲板での自由が制約されてしまい多くの乗船客が悲しむことになるでしょう。

薄暗く段差のある通路
反対側へ行くには謎の屋根をくぐり抜け
他の船だと入れなさそうなエリア
夕方便だと、ここまで海ギリギリに近づくことはできません
ブリッジの下まで行けます

リアス式海岸

深夜便ならではの景色として、三陸のリアス式海岸があります。さんふらわあの夕方便や太平洋フェリーは夜間または早朝に通過してしまうので、日中に船上からそのダイナミックな地形を楽しむことができるのは、さんふらわあの深夜便のみです。

ギザギザしておる
切り立った地形
魹ヶ崎
船上から

リアス式海岸は地上から見ることもできますが、海上から全容を見て、その凄さを感じるのもいいものです。大人の社会科見学としておすすめしたいですね。

ちなみに、この辺りの海域でさんふらわあ だいせつの姉妹船であるさんふらわあ しれとこと反航するはずなのですが、深夜便はやはり汽笛を鳴らしあったりしないのでしょうか、まったく気が付きませんでした。近海郵船のRO-RO船の方が近くを航行していてわかりやすかったくらい。

近海郵船のRO-RO船
(配船表によると、ましうっぽい?)

AISによると、さんふらわあ しれとこはすでに過ぎ去っているということで、振り返ってみると白い巨体がうっすらと。おそらくあの船影がさんふらわあ しれとこなのでは……?

さんふらわあ しれとこ?と思われる船影

船内での過ごし方

深夜便は他のフェリーと比べても、かなりまったり。航路は似た景色が続き、船内施設も限られ、船内イベントの類もありませんから、船内でどう過ごすか明確なプランがないと飽きてしまうかもしれません。船に乗り慣れている人でもそうなる可能性がありそうなくらいのまったりさ加減です。
なにもしないをする、それが深夜便の最大の楽しみ方ではありますが、なにもしないとはなにをすることであるのか、その定義の自分なりの答えを見つけておくことが重要です(哲学?)

ハイボールを度数高めで作っては飲む

お酒が飲めるなら、アルコールで脳の活動を鈍らせると時間がいい感じに過ぎてゆくかもしれません。わたしは、乗船前にセイコーマートでウイスキーを買っておきました。北海道だったのでニッカのウイスキーがいいかなと思いましたが、置いてなかったので消去法でトリスになりました。それを船内の自販機で買った強炭酸水で割って濃ゆいハイボールを作ってくつろぎます。

南大東島をテーマとする番組

展望ラウンジのテレビでは、なんと南大東島をテーマとした番組が流れていました。船上で離島の番組を見るなんてどんな偶然でしょう。しかも、離島の中でもかなり特別な存在であり、わたし個人としても強いあこがれを抱いている大東諸島の南大東島とは……!
中学3年生の息子が進学のために島を離れるにあたり、父親ととる親子相撲のくだりを見て胸が熱くなりました。
この番組を見て、大東諸島に行きたい気持ちが一層強くなりましたね。さんふらわあ だいせつがこのまま大東諸島までわたしを連れて行ってくれまいか……と、叶うはずもない願いを夢想したりして。

前面展望

そういえば、展望ラウンジの紹介をしていませんでした。ここでは、前面展望を楽しむことができます。他の航路の船にも前面展望を楽しめるスペースが用意されていることはありますが、深夜便の船の展望ラウンジは他と比べてもゆとりのある空間で、しかも人が少なくて静か。
もしかすると、展望ラウンジは、深夜便で最も推せるポイントかも。

さんふらわあが飾られています

わたしが展望ラウンジに来た頃は、他に数名ほど先客の方がいらっしゃいましたが、そのうち一人、二人と席を立ち、わたしが立ち去る頃には他のお客さんが誰もいなくなっていました。このスペースで貸し切り状態で過ごせるなら贅沢至極ですね。

奇跡的に他に誰もいない展望ラウンジ

太平洋航路の華、金華山

13:30頃に金華山周辺を通過しました。

ここは、北海道と仙台以南を結ぶ航路に乗るときは外せないポイントですね。末広がりな姿が美しい。ぜひ、外部デッキに出てご覧ください。

金華山と牡鹿半島
両者は金華山瀬戸で隔てられています

金華山は島全体が山となっていて、その姿は実に見事。
金華山と牡鹿半島は地続きではなく、間には金華山瀬戸があります。金華山に行くためには船で渡ることになります。

金華山を背に進む さんふらわあ だいせつ

昼食で北海道を懐かしむ

先述の通り、深夜便では船内レストランは営業しておらず、ホールにある自販機で食事として冷凍食品またはカップラーメンを買うことができます。

元レストランとおぼしきホール
ホールにある自販機たち

それとは並行して、案内所でもいくつか食べ物を販売していて、その中には自販機では取り扱いのないカップ麺としてやき弁ことやきそば弁当があります。

(北海道限定とはいいつつ、やき弁は東京はじめ他地域でしばしば見かけますけどね)

あまり冷凍食品という気分でもなかったし、北海道に一日しかいなかったので未練たらたらだったので、せっかくだから北海道にちなんだものを食べようと思い、結局やき弁を昼食とすることにしました。

ちなみに、歴史的経緯からすると、北海道で流通網的に早期から地盤を固めきっていたから今も人気というだけで、中華スープが付いていたからこそ寒冷地で暮らす道民に支持されたみたいな相関はなさそうです?(諸説あり)

スープ付

ホールには給湯器やベーシンがあるのでカップ焼きそばの調理は問題ありません。やき弁の場合は中華スープを作るためにカップに入れたお湯を使いますが、全部を使うわけではありません。必要なお湯は150mlくらいで、のこったお湯は流し台に捨てることになります。余談ですが、さんふらわあ だいせつ内では、流し台はベーシンと表現されています。

調理例
右の紙カップが中華スープ

そうこうしているうちに、やき弁ができあがりました。まずは、中華スープからひとくち。

……うーん、ジャンクだ。

つづいて、やきそばと呼ばれている、焼いてない麺をすすります。

北海道の味がする

……かもしれない?

次回予告

次回は、さんふらわあ端ッコスタンプラリーの旅二日目後半となります。
夕日に感動。
再び夜のとばりが下りる。
感動の大洗港入港。
そして、下船後は東京駅まで鉄路で移動して翌日に備えます。
ぜひ、またお読みください。

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