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15年目で、7回目の夏

時が経ってしまうのは早い。

昨日、Eさんが旅立ってから7回目の夏が来た。7年前は何故か、私も後2年でEさんと同じように大腸ガンでこの世を去るんだろうなと、本気で思っていた。

実際には、少しも体調が悪くなることもなく、7年経った今でもピンピンしてる。

Eさんが亡くなってからの2年間は、自分でも何をしていたのかほとんど覚えていない。

そして、自分もきっとこの世を去るんだろうなとなぜか思っていた5年前の夏、自分が元気で病気のカケラもないことに、内心パニックになっていた。

表面上は、淡々と生活していたと思う。

でも心の中では、Eさんは亡くなったのに、私はどうして病気にもなってないの?という疑問が湧く、先の見えない毎日。
(今では、なんでそんなこと思ってたんだろう?と不思議に思う)

その夏は、富山に来ていた。山田村であった5日間のWRAPリトリートキャンプ。その時に、15年前に楽しかった出来事と、その時の先の見えない現実の先が、やっと一つになった気がして、本当にもう一回やり直せるのかもしれないなぁとぼんやり思った。

前に住んでいた立山の家と出会ったのも、この時だった。

家に帰ってから、2年前の2016年8月29日で止まっていた、ホコリを被ったまま飾ってあった日めくりカレンダー(ネコめくり)を、一気に全部めくったところから、何かが動き始めたと思う。

15年前の夏、転職2回目の職場で、たまたま「WRAP」のファシリテーター養成研修に出ることになった。半ば強制的に。

その頃は、職場でやりなさいと言われたことは、嫌でもやっていた。給料をもらうため、生活をするために。

WRAPの研修に出て、たまたまEさんと出会って、なんだかわからない衝撃を受けた。
仕事にも日常にもすべてに疑問が湧き始めたら、それまでの灰色だった世界が急に色を取り戻して動き出した。お金には困ってないのに灰色だった日々。

灰色の石になったオズの世界がもとに戻った時みたいに。

やりたくないことをしているのは何で?そもそも、自分は何をしたくて、何をしたくないのか。

それまで、そういう問いかけを自分に丁寧にしてみたことがなかったんだなと思った。

いや、正確に言うと、子どもの頃には、したいことしたくないことを考えていたということを思い出した。なのに、いつからか分からないけど、それを考えることを放棄していて、放棄することが大人になることだと思ってしまっていたと気がついた。

その後、WRAPの研修で知り合ったたくさんの人々と話す機会が広がって、それがもう、本当に楽しくてしょうがなくて、2ヶ月に一回くらいは飛行機やら新幹線やら、夜行バスやらに乗って各地の研修へ参加する。忙しいけど充実した日々を過ごしていた。

Eさんは、日本と14時間の時差のある、ニューハンプシャー州に住んでいて、日本に来て研修をしている時以外は、スカイプを使って3日に一回くらい話をしていた。

海外なんて怖くていけません‥、クレジットカードも持っていません‥という生活だったのに、メアリーエレンさんやシェリーミードさんに会いに、バーモント州&ニューハンプシャー州に行く機会に恵まれて、行ったら帰ってこれないという気持ちで行った、3回のアメリカ。

北海道のような気候で、カバーブリッジや、湖がきれいなところでした。
後に行った、北海道の塘路(とうろ)というところが、ニューハンプシャー州と景色や雰囲気が似てた。

Eさんは研修を考えてファシリテートする側、私は運営を手伝うだけで、参加する側、という生活が楽しくて、それがずっと続くものと思っていた。

その、3回目のアメリカの半年後に、お酒が大好きだったEさんが、お酒が飲めない熱が出て体調が変というところから病気が見つかって帰国。それからは、スカイプで話すというのは難しくなった。

Eさんと企画したワークショップに、Eさんが出てこれないこともある、という今までにない事態。

大切なことは、全部お任せだったことに気がついて焦る日々。

お見舞いに行って、痩せ細ったEさんから、ワークショップどうだった?と聞かれて、今のうちに聞いておきたいことは聞いておかねばと思う気持ちと、いやいや、Eさんはきっと復活して元気になるんだから、と思う気持ちが行ったり来たりした、病気発覚からの1年半。

この15年は、天国と地獄を行ったり来たりしたような時間だったなと思う。

もう一回は、体験したくない15年ではあるけど、今思うのは、気がついたら富山に来ていて、この15年の日々が夢だったかのような、まあまあ楽しい平凡な毎日を過ごしてる。

でも、確実にこの15年が無ければ、今の生活には辿り着いていない。

Eさんと、あちらで再会できるのは、まだまだ先のようですよ、と報告したい2023夏です。

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