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フェデラーとナダルが "史上最高のライバル" だと言われる理由

今年のウィンブルドンもいよいよ大詰めですね。最終日の今日は、男子シングルスの決勝戦、ノバク・ジョコビッチ vs ロジャー・フェデラー が行われます。トップシード2人による激闘を見守りましょう。

さて、決勝戦の前には当然、準決勝があるわけで、今年はフェデラー 対 ナダル のカードが実現しました。言うまでもなく、この2人は、テニス史上最高のライバル関係と評されているわけですが、今年の試合でもまさにその通りの素晴らしい試合が展開されましたね。

結果は、フェデラーから見て、7-6(7-3) / 1-6 / 6-3 / 6-4 のセットカウント 3-1 でフェデラーが勝利。ずっと試合を見ていましたが、内容はスコアでは表せないくらいの激戦でした。この2人が長い間「最高のライバル関係」と言われる理由が改めて分かったような気がするんですよね。

では、何がそう感じさせるのか?ちょっと考えてみたわけです。

2人の関係が素晴らしい理由①「リスペクト」

2人の言動を見ていると、いつもお互いにリスペクトしていることが伝わってきます。プレースタイルも、出身国も全く違う中、テニスを通じて心が通い合っているのがよくわかります。試合前後のコメントでも、必ず相手の実力を認め、勝っても負けても、相手を称える。これ、意外と誰にでもできることではないんですよね。しかも、決して馴れ合いではなく、ラケットを持てば、自分が持てるものを全て賭けて戦いに挑む姿も素晴らしいのですね。
印象的だったのは、ナダルが地元スペインでテニスアカデミーを開講したときに、フェデラーがお祝いに駆け付けたときのこと。ナダルは「ロジャーが来てくれたことには感謝の言葉しかない。故郷は彼の登場でお祭り騒ぎだったし、子供たちにとっても素晴らしくエモーショナルな経験になったと思う」と話し、一方のフェデラーは「もし、自分の4人の子供がテニスをしたいと言ったら、ラファのアカデミーに入講させることにするよ」と話していました。2人の信頼関係が表れている気がします。

2人の関係が素晴らしい理由②「得意なサーフェス」

しばしば、フェデラーは「芝の王者」、ナダルは「クレーキング」と表現されることがあります。グランドスラムの優勝回数を見ても、グラスコートのウィンブルドンでフェデラーは8回の優勝(男子史上最多)、クレーコートのローランギャロスでナダルは驚異の12回の優勝(これももちろん最多記録)を誇ります。
お互いに得意とするフィールドがはっきりしていることで、ライバル関係をより明確にさせている気がするんですね。クレーで2人のカードが実現すれば、ナダルには「絶対負けられない」という闘志が湧くでしょうし、フェデラーにとっては「クレーでラファを倒す意味」を意識させるでしょう。逆も同じですね。

2人の関係が素晴らしい理由③「プレースタイル」

彼らのプレースタイルは全くと言っていいほど違います。わかりやすく言えば、華麗に舞うようなプレースタイルのフェデラー、野性味あふれる情熱的なプレースタイルのナダル、といった感じですね。
例えば、ナダルの強烈なスピンによって高く跳ね上がるボールは、片手バックハンドのフェデラーには不利です。ラリーが長引くほど、ナダルのプレースタイルが活きてきます。となれば、フェデラーはネットに詰めて、できるだけショートポイントを狙いに行く。彼が、数年前に使い始めた SABR(Sneak attack by Roger=ロジャーによる奇襲)もその一環だったのかもしれません。
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お互いのプレースタイルが異なり、得意不得意が噛み合うことによって、2人の戦いのコントラストが表現されていると思うんですよね。

2人の関係が素晴らしい理由④「不屈の闘志」

もちろん、年齢で一概に判断することはできないのですが、フェデラーは現在37歳、ナダルは33歳。年齢だけ見れば、キャリアの後半(フェデラーは終盤と言ってもいいかもしれません)に差し掛かっています。それでも、ランキングを見てみれば、ナダルが2位、フェデラーが3位、依然トップレベルです。
特にナダルは度重なる故障で、ツアーを離脱することも多く、限界説がささやかれることも一度や二度ではありませんでした。それでも、ツアーに帰ってくるたびに強くなっているんですよね。フェデラーは、昨シーズンまでは負担の大きいクレーシーズンをスキップするなど、意図的に休養を多くしたり、自身のクオリティを維持することを意識しています。
今なお、このレベルで2人が揃ってツアーを回っていることには大きな意味があるし、2人の「不屈の闘志」があってこそのものでしょうね。

こんな感じで、完全に僕の独断と偏見で分析?してみたわけですが、グダグダ書いた割に、言いたいことはただ一つ。

史上最高のライバル関係は伊達じゃないし、今後この2人のような関係の選手は出てこないかもしれない。そんな時代に、彼らの戦いを見て、応援して時間を共有できること自体がこの上なく幸せだ ということです。

これからも、この2人の素晴らしい関係が続き、熱い戦いができるだけ長くみられることを願いながら、今夜のウィンブルドン決勝を見届けたいと思います。

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