chips S#1

chipの三人称単数現在。chipの複数形。(木・ガラス・瀬戸物・ペンキなどの)かけら、 こっぱ、 切れ端、 削りくず。


メモ帳に文字ではなく絵を描いている人を電車の中で見かけた。どこかの美大生だろうか。向かいの席で居眠りをしている背広の男の薄くなった頭、いやその形を何度も線を引いてデッサンしている。電車が止まり絵描きは慌てて降りていった。相変わらず背広の男は居眠りをしたままだ。私はその男の首の曲がり具合を真似てみた。背広の男の背後の窓が大きく開けて青い空が広がった。

コニーアイランドというところがある。ニューヨークのマンハッタンから電車で一時間くらい。AトレインだったなNトレインだったかなをずっと乗って行く。ビルの立ち並ぶいわゆるニューヨークはその中心部だけでマンハッタン島を出ればただのアメリカだ。ピザを私買って食べた。夏の暑い日にコニーアイランドで、一人で、1枚まるまるだからそれは4,5人分くらいあったのだろう。

渋谷の牛丼屋で明け方に彼女とならんで飯を食った。撮っていた写真を何枚か見せていて、「こんど私も撮ってよ」と言った。「地元にね、神戸なんだけれどいい遊園地っていうか、動物園といっしょになっているところがあってね」「売れる前のアーシャだね」私は答えた。
彼女はいい絵を描いた。

平日の遊園地はひとがまばらで動物園もそうだ。どこへ行けばいいのかわからないまま、なにがその遊園地のメインなのかわからいないまま。強い陽射しが壁に模様を作っていた。中央に観覧車がある。統一されているわけではなく青やピンク、黄色などとりどりのゴンドラ。50代くらいのおばちゃんが制服を着ながら立ち話をしている。100円を入れると動き出す動物をかたどった乗り物がある。動物の柄のか入った帽子が売っている。彼女のいない遊園地と動物園で私は写真を撮った



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