弥勒

浜辺で弥勒菩薩が詩を書いている

気が向けば絵を描いた

弥勒の書くものは全て砂となりそれで砂浜ができたのだ

いつ存在し始めたのか僕は知らない

いつ終わるのかも僕は知らない

風のように景色が過ぎ去っていく

私はただこの世界を救うことを使命としてあり始めたそれだけはわかっている

世界のその中に私は溶け出しながらそのかけらを拾う者たちを救う。

男と女が来た。

弥勒の姿は見えない弥勒は二人をみた。

浜辺に座って夕日の落ちるのをみた。

水平線の先を見つめたまましばらく時間が過ぎた

男が砂を集めて山を作った

女はトンネルを掘った。

女は立ち上がっって波打ち際へ向かった

男は砂を掴んで差し込んでくる光にさらした

女は振り返って笑った

男は女に近づいて口づけをする

「愛している」

「私も愛している」

弥勒はかつて自分が書いた言葉を彼らがいうのを聞いた。

日は沈み、紫の空気があたりを包み込んだ

男と女は去っていった

そして弥勒は再び記し始めた

そして弥勒は再び描き始めた

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