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異世界の名のもとに!! ♯10

 見た。  白い部屋。病院の様なところ。どこかわからないこの場所は、しかし嫌な感じがする。  瞬間痛みが走る。どこから? 全身から。 痛い痛い痛い痛い…  肩…腹…頭…目…指…脚………… 「あぁぁああぁあぁ」 「痛い痛い…」 「っは……」  どうやら眠っていたようだ。 「悪夢からの目覚めはきついなぁ」  と、ため息をつき、顔を上げた。  ここは何処? と言いたくなる場所に居た。見渡す限りだと牢獄の様なところだ。  長細い鉄製の棒を見つけた。先端が曲がっ

    • 異世界の名のもとに!! ♯9

      「クエスト行きましょう!」  次の日の出来事だ。 寝そべっているボクに、言ってきたのはクルだ。 「どうした急に?」 「お兄様とクエストに行きたいのです!」 「はぁ。まぁ クエストはしないとだが、早くないか?」  と、スマホで時間を確認した。5:00ぐらい……うん、早いですね。 「じゃあ、お休み」  そう言ってタオルケットに頭を入れた。 「寝ちゃダメです~、起きてくださ~い!」  そう言って手を引っ張ってきた。このまま引っ張られるとベッドから転落する。 「

      • 異世界の名のもとに!! ♯8

        「ヤベーよ、こいつぁヤベーよ!」  語彙力のない言葉が聞こえる。 まぁボクが喋ったんだけどね。  ……ところで、ボクがこんなに驚いているのは他でもない、このギルドの建物! お城のようにも見える、きらびやかな装飾の数々。 因みにこのギルドの建物、酒場はないとか。そもそも受付しかない、らしい。 と、まぁ 感想などはこの辺にして入ろうか。 「おー、これはすごい!」 「お兄様どうなされました? 驚く事ってあります?」  あー、そうか。この世界の住人だ、こんなのは普通

        • 異世界の名のもとに!! ♯7

          「あの、早くそこを退いてくれます?」  美鈴はいきなりそう言った。 どうしたのだろうと、美鈴の向いている方向を見ると、その少女が寝起きの眼で美鈴の方を向いた。 「どうしてですか?」 「どうして、じゃないです。あなたがお兄ちゃんの傍に居るのがおかしいんですぅ!」  ありゃぁ。こりゃまた面倒な事になりそうだ。 「私、お兄様のお供をする事にしましたので、傍にいないといけません」 「どうしてそうなるんですか!?」 「私は、お兄様の優しさに憧れました!」  ボクに優し

        異世界の名のもとに!! ♯10

          異世界の名のもとに!! ♯6

          「……壱曁様」  え、様付けって…。 「様なんて付けなくて良いよ」 「では、お兄様……と///」  おい待て、それはおかしい。どうしてそうなったんだ。 そうこうしていると美鈴がこっちまで来て言った。 「私を差し置いて。何言っちゃってるんですか!?」 「何か問題でも?」  美鈴は何を怒こっているんだ? よくわからない。 「ありますよ!」 「妹でもないあなたがお兄ちゃんをお兄様なんて言わなくていいんですー!!」  あぁ、喧嘩になっちゃったのか? どうしようか

          異世界の名のもとに!! ♯6

          異世界の名のもとに!! ♯5

           宿屋。それは旅をする者には必ずしもついてくる休息する為の場所。  と、まあそんな事はおいておくとしてだなぁ。 「おい、これ宿屋かよ…」 「その筈ですけど」 「いや待て、すごくボロいのだが…」  ボクと美鈴が見たそれは、いつ崩れてもおかしくない程朽ちてきている二階建ての宿屋だった。 ただ他の家々は普通だったのだ。 「なんで、ここだけボロいのか、皆目見当もつきません。はい。」 「まあ、仕方ありませんね。 たぶんこの辺りじゃ、ここ以外に宿屋は無さそうですね」  

          異世界の名のもとに!! ♯5

          異世界の名のもとに!! ♯4

          「お兄ちゃん 起きてください!」  美鈴の声が聞こえる。 その声は次第に大きくなりボクを起こそうとしている。 もう起きる時間なんだろうか。もしもこのまま目覚めなかったら、美鈴はどんな顔をするのだろう……。 「おはよう、美鈴」 「おはようじゃ ありませんよ!」  ボクが起きるなり、美鈴は頬を膨らませこっちへ駆け寄ってきた。 何だろう。ボク、悪いことしてしまったか。それにしても、美鈴のこの表情かわいいな……。っは、ち、違うぞ。ボクはそんなんじゃない。 「かわいいな…

          異世界の名のもとに!! ♯4

          異世界の名のもとに!! ♯3

           ボクと美鈴は暗闇に浮いていた。しかし浮いている、と言うよりは地面を踏んでいる、そんな感じがした。 「ここは、いったい…何処だ?」 「さぁ? でもここ、何か怖いです」  ううーん。謎が深まるばかり。転送されたのはものの、ボクと美鈴以外誰も居やしない。 「お兄ちゃん!何か見えましたよ」  美鈴が指差す方向に目を向けると。鳥居が見え、その先に神社があった。何でこんなところに…。ついでにホラー感が出てる。ま、たぶん入ってみないとわからないし、ここで突っ立っていても物語(エ

          異世界の名のもとに!! ♯3

          【死】と【消失】

          ※今回は物語ではありません。  皆さんは死ぬのと消えるのは、どちらが恐いですか? というお題。  死ぬときっと報われる。そう思っていますか? それとも、2度目の人生を前回をリセットして歩めるとか。  そもそも考えたことがない、というのも一つの答え。 考えたところで結局のところ〔結果〕は得られませんよね。今のところ。  ですが。消えるというと、その場から居なくなるや、自身の情報が失くなるなど考えやすいですよね。  戸籍上で自身の情報が消えると死んだ扱いも同然ということ。つ

          【死】と【消失】

          異世界の名のもとに!! ♯2

          「あなたがお兄さんですか、妹さんなら無事助けましたよ」  ボクはその言葉で少しホッとした。しかし火事の煙を吸ってしまった為、今救急搬送されることが分かった。 「妹は何処に居ますか?」  ボクは早く妹に会いたかったからかその消防隊に尋ねた。  そしてボクは妹を探し、担架で運ばれていく妹 美鈴が見えた。ボクはすぐさま駆けつけ妹に話しかけた、今にも消えそうな灯火みたいに声を出して言った。 「お兄…ちゃ…ん…ありが…と……う」  美鈴は確かにそういい残して運ばれていった。

          異世界の名のもとに!! ♯2

          異世界の名のもとに!! ♯1

           異世界。それはボクの唯一無二である願望。 異世界に統べる魔王が君臨する世界でただ一人。そう、ただ一人だけが立ち向かうことが出来る勇者。 魔法を使い、時代も中世ヨーロッパ風を醸し出している、そんな世界。時には熱い闘いが繰り広げられ、時には街で噂になりそして有名になる……。  欲望のままに考えてしまった… どうせこの《現実》からは逃れられない。仕方なかったんだ。こんな世界に生まれて生きて、そして……死ぬ。そう、ボク等《人間》はそれを繰り返してる。 「あ、学校…行く時間だ

          異世界の名のもとに!! ♯1

          キミの見えた世界はきっと美しいもの

          鐘が鳴る。深夜の鐘が。午前0時の知らせ。 「あと、4日…か」  ボクは小さい頃から夢があった。こんなこと言っちゃ恥ずかしいが、……勇者という誰もが憧れる存在に。 でも、無理だった。病には勝てない。 先天性の病……、それがボクに課せられたものだ。  足が衰弱していてまともに歩けず、手もほとんど動かない。指をピクピクさせるぐらいなら出来るが、何の意味もない。四肢を動かせないとなると、不便でしかない。  辛くないの?苦しくないの?と言われる事があった。そりゃもちろん、めんどくさい事

          キミの見えた世界はきっと美しいもの