ワールドワイドヤナセリバーツアーVol.2 誰にでもできる簡単なお仕事

工場ではコンビニやスーパーの弁当と惣菜を作っていた。作業場は二階建てで。二階ではドラム式洗濯機のように廻る炒め物機、生野菜を消毒する風呂、ベルトコンベアーが熱された油の中を回転するフライヤー、フェザー級のボクサーが浸かれるくらいある鍋が8台か10台。それぞれの場所に2人ずつくらい配置されて。
出来上がったおかずをエレベーターで降すと一階はおばちゃん達が黙々とベルトコンベアで流れてくる容器に出来上がった惣菜を詰める。
詰めたそれを150cmくらいの高さに積みあげてトラックに乗せ出荷される。ドナドナ。弁当は泣かない。
ベルトコンベアーで唐揚げがあげたかった。ちょこちょこつまみ食いしながら唐揚げがあげたかった。唐揚げ食べたい。フライヤー係になりたい。
けど
僕が配属された先はいずれでもなかった。
配属先は「冷却。」?とは?
お弁当を作ったことはあるかい?冷まして熱が取れていないうちに蓋をすると蒸れて菌が繁殖して腐るよね。それはコンビニ弁当も一緒。だから、フェザー級ボクサーの鍋で煮た100kgくらいの筑前煮も冷やさないで一階のおばちゃんにパスすると腐るんだ。そこで、登場。冷却係。
通路を挟んで両側に扉が5枚。電車の座席のように並んで冷風が冬のオホーツクのように吹き出す冷蔵庫とエレベーターくらいのサイズで扉を閉めてスイッチを押すと庫内が真空になっておかずを冷やす真空冷却器が1台。
出来上がったおかずを計量する。
品物に合わせて真空冷却機かオホーツク冷蔵庫にぶち込む。
基準の温度まで下げる。
また計量する。
下にいるおばちゃんにパス。これを朝9時から17時まで繰り返す。
それが冷却係。オーケー。

僕は来る日も来る日も冷やし続けた

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